劇場公開日 1951年

「ロッコ役のエドワード・G・ロビンソン 彼が全てをもっていっています」キー・ラーゴ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ロッコ役のエドワード・G・ロビンソン 彼が全てをもっていっています

2020年11月9日
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これは傑作のフィルムノワール
ハンフリー・ボガートとローレン・バコールが出演していますが、その二人を食っているのかがロッコ役のエドワード・G・ロビンソン
彼が全てをもっていっています

落ちぶれたアル中の歌手役をクレア・トレヴァーもまた素晴らしい演技をみせています
本作でアカデミー助演女優賞を彼女はとっています
しかし本当にその賞を貰うべきは、ロッコ役のエドワード・G・ロビンソンだと思います

ローレン・バコールは細くて美人で悩殺されます
低い声がたまりません
3年前にハンフリー・ボガートと結婚していて、夫婦共演です

冒頭とクライマックスの海上の活劇以外は、ホテルの中かその周囲だけのほぼ密室劇で進行します

舞台はフロリダ州キーラーゴ島
マイアミから南西に300キロほど小島がいくつも連なっています
それらを海の中の橋で道路が一直線に結んで、ヘミングウェイで有名な一番遠くのキーウェストまでつながっています
よくテレビや映画などで見る光景です
本作でも主人公がのるバスがその橋を走っているシーンが最初にあります
キーラーゴはその途中の島のひとつ
マイアミから110キロほどのところ

国外追放となり、キューバに逃れていたギャングの大ボスのロッコが、またアメリカに密入国してなにやらマイアミのギャングのボスと取引しようとキーラーゴの小さなホテルに一味と共に潜伏しているところに、ハンフリー・ボガートが演じる主人公がやってくるところから物語は始まります

さすがジョン・ヒューストン監督です
序盤を過ぎてロッコが登場するともう目が離せなくなる面白さです

全てが終わり、ハリケーンも過ぎ去り、ヒロインのローレン・バコールが雨戸を開け放つと明るい朝日が眩しく暗いホテルの中に差し込みます
そのコントラストの美しさ!
そして濃霧の中から、ハンフリー・ボガートの操船する釣り船が現れます
舵輪をにぎるハンフリー・ボガートの顔にもまた朝日が眩しく当たり輝いています
それがラストシーンです

その時、カタルシスが訪れています
素晴らしい映画を観たという満足感があります

あき240