「雑(アイデアと表現の不足)」宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 第四章「天命篇」 Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0雑(アイデアと表現の不足)

2018年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

難しい

 ナカナカ難しい事になってきてしまったようです。ナゼかあまり楽しめません。
 自分がオリジナルを楽しんでいたのは小中学生時代。そして今、当時の子供はすっかりオッサンになり、それなりに人生・社会を様々経験してその辺の見る目が肥え深くなりましたが、その視点や観点と作品仕上がりのギャップが露呈している状態? すなわち過去作は当時子供だった我々が理解でき面白かったのでOKですが、今回のヤマトはオッサンになった今の我々を納得させ面白がらせなければなりません(対象を若年層に固定している旨の告知がない以上)。お客さんは自分より上の世代も多く、現在の小中学生も勿論居ましたがメイン客と言うには少なすぎ…な劇場風景でした。
 子供の時分では目に入らず、細かい所も気にならず(ご都合主義・テンプレ・超展開・予定調和など)スルーして全体を楽しめたのが大人になるとそうもいかず、細かい描写の?が小骨のように刺さり、ソレが幾重にも積重なり結果として面白いと感じる以前に不可解な印象だけ強調されてしまう、要するに『頭が硬く』なってしまった観覧者を納得させられる創りになっていない気がするのです。
 頭が硬い大人を否定するのではありません(勿論ノーテンキな子供時代も否定しません)。そう言う大人達に向けて発信する以上、その目線に立たなければならないと思うのです。
 ですが実際は、前作での波動砲で助かった古代&雪に代表されるようなシーンを平気で創ってしまう今回のシリーズ、正直『雑』と言わざるを得ません。子供の時分は壮大で迫力満点の派手な戦闘シーンビジュアルで興奮できたものが、大人になりオッサン化した今は細かい人間ドラマの細部にまでくまなく目線が及んでしまうのです…
 この辺が、過去の偉大な作品を今に蘇らせる難しさだと思います。
 今回の天命篇は、前回の純愛篇ほどの不可解はありませんでしたが、相変わらず表現や創造においてアイデア不足なのが否めません。展開内容を真田や土方に論文朗読的にクドクド説明させてる様ではあまり上質な出来とは言えず、ワープ航法を安直に使いすぎ、だったら効率よくワープしてテレザートまで行けないものか?と揚げ足を取ってしまう、本当の意味で波動砲を都合よく放ちすぎ… そう感じてしまう事は哀しい事なのかも知れませんが…
 自分は子供時代、単艦で大ガトランティスに突っ込んで蜂の巣にされつつもしぶとく生き残るヤマトに大興奮したものですが、今はそんな無茶な展開はあり得ないと考えており、ただそれでもオリジナルのヤマト作品は『思い出』として歴史に残る大作だったと記憶に残っています。

Geso_de_Nyoro