劇場公開日 2018年2月24日

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レオン : インタビュー

2018年2月19日更新
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知英、女優生命をかけたこん身の“オヤジ演技” コメディエンヌとして覚醒

韓国の人気アイドルグループ「KARA」の元メンバー、知英が劇場公開映画初主演を飾り、竹中直人と共演する「レオン」が、2月24日に封切られる。地味な派遣OL・小鳥遊玲音(知英)と、女好きなワンマン社長・朝比奈玲男(竹中)の心と身体が事故で入れ替わり、騒動に巻き込まれるさまを描いた痛快コメディだ。「映画 暗殺教室」では殺し屋、カナダ発のヒットドラマをリメイクした「オーファン・ブラック 七つの遺伝子」では7役に挑戦するなど女優として破竹の勢いで突き進む知英は、本作でさらに殻を突き破った抱腹絶倒の熱演を披露している。コメディエンヌとしても覚醒した知英に、たっぷりと話を聞いた。(取材・文/編集部 写真/奥野和彦 スタイリスト/Kan Cheran NEUTRAL メイク/KUBOKI Three PEACE)

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知英が演じる小鳥遊玲音は、優れた美貌の持ち主にもかかわらず内向的な性格が災いし、周囲から煙たがられ、あるいは無視されている“壁の花”的存在。だが、唯我独尊を地でいく豪腕社長・朝比奈玲男と入れ替わったことから、人生に変化が訪れる。「コメディをずっとやりたかった」という知英は、「笑えるだけじゃなくて、最後には感動もある。あとは今回、自分の顔が画面には映っているけど、ナレーションは竹中さん(の役)がやると台本に書いてあって、すごく気になっていたんです」と脚本を読んですっかり物語のとりこになったという。

本作では、入れ替わった直後から、玲男が中身の玲音として文字通り“ぶっ飛んだ”演技を披露。胸をわしづかみにして絶叫し、がに股で走り回り、強烈な“オヤジ演技”で見る者を驚がくさせる。本人も「女優としてのプライドを捨てました。捨てて、『もうやっちゃいますね』みたいな感覚でやりましたね。この映画(の評価)がどうなるかによって、これから(自分の女優人生が)どうなるか決まるんじゃないかなって思います」と清水の舞台から飛び降りる気持ちで全力投球。「本当に自分の力を全部使って、100パーセントやりきったと思います。満足しています」と実感を込めて語り、「自信作だし、誰にでも見せたい」と力を込める。

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撮影期間は役に入り込むあまり、カメラが回っていなくてもキャラクターでい続け、「オヤジヨン」と呼ばれていたと笑う知英。「しばらく役が抜けなかった」というほど没頭していたそうだが、一体どのようにして知英は変身していったのか。知英は、竹中の存在が大きかったと振り返る。

「クランクインの前に、竹中さんと本読みをやったんです。リハーサルを何回もやって、役を変えて読むこともあったので、すごく助かりましたね。実際に自分のセリフを読んでくれたということが、1番のアドバイスだったんじゃないかなと思います」。撮影前は「だって、あの竹中直人さんですよ? 独特な演技をされて、表情もすごく豊かな方ですから、『ちゃんと入れ替わっているように見えるかな』と不安はありました」というが、周囲の手厚いサポートで役を正解に近づけていった。

知英が「1番エネルギーを使った」と明かすのが、「入れ替わった後、病院で朝比奈(玲男)が目を覚まして、『あれ!? 女!?』って言うところ」。体が入れ替わったと気づいた玲男が、玲音の体のまま病院内を走り回り、さらにベッドに横たわっている玲男の体の上に乗り、なんとか元に戻ろうとする姿がハイテンションに描かれるシーンだ。知英は、「本読みのときも、何回も何回もそのシーンを練習しました。物語の始まりになる大事なシーンで、1番力を入れて練習したところです。力を入れたからかわからないけれど、私もやっぱり1番好きなシーンでもあります」と感慨深げに語る。

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演じる際に注力したのは、発声の仕方だという。「本当に入れ替わったとしたら声まで変わるのかは、誰もわからない。監督や皆さんと話して、女の人の声帯は多分そのままで、出てくる声もきっとそのままだと思うんですが、入れ替わったっていうことがはっきりわかるように、声を低めにしました。私は、声にも表情があると思うんです。声を低めにしたらもっと役に入れたというか、『男だ、男だ』と意識してやっていたら、声も自然に低くなって、歩き方もそうなっていった気がします」。体の動かし方については、男性特有の仕草を観察しつつ、「座るときにはスカートをはいてはいますが、足を開くようにしました。足の組み方も女の人とは違うので、そういうところも研究しながらやっていきましたね」とまずベースラインを整えた上で、玲男特有のがに股へと調整を図っていったという。そうした努力が功を奏し、知英が画面にわずかしか映らないシーンであっても「中身は玲男」ということが十二分に伝わってくる。

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だがやはり、特筆すべきは知英の思い切りの良さだろう。なぜここまで振り切った演技ができたのか? そこには、知英ならではの演技論があった。「私は、“やりすぎちゃう”ことは大丈夫なんです。自分ができることを見せずにそのままやってしまって、足していく方が大変。私は役を演じるときに『できることは全部やりたい』と思っているので、例えば監督から『これはちょっとやり過ぎかも』って言われたら、ちょっと抑えました。抑えること自体は簡単なので。そういう風にテンションを最初は絶好調にして、その後落とすようにしています」。“引き算の演技”を念頭に置き、試行錯誤を繰り返して役と生きた日々を回想し、知英は「大変だったけど、楽しかった」と胸を張った。

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