劇場公開日 2017年7月22日

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「実写化の成功例」心が叫びたがってるんだ。 壱さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0実写化の成功例

2017年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

人気の原作はなんとなくミュージカルシーンに自分の気持ちがついていかず、うーん、という感想でした。そしてそれを実写化。どうなることかと思っていましたが、結論として、大変良かったと思います。
メインキャスト4人の「言葉」に関わるトラウマを昇華しながらたどりつくミュージカルのクライマックスシーンは、原作には響かなかったわたしの心にも厚みと深みをもったメッセージをズドンと届けてくれました。よりメッセージ性の強い作品に仕上がったのだと思います。このシーンがネックになると思っており、そして期待はしていなかったのですが(笑)、まさかいい意味で裏切られるとは!という気持ちです。ミュージカル、大変よかった。
鑑賞後、電車に乗りながら Over the Rainbow が頭から離れませんでした。とても心地よい帰り道でした。

中島健人さん、銀の匙の時もそうでしたが、素朴でナチュラルなお芝居が素敵です。テレビでお見掛けする姿とのギャップがすごい。幅広いお芝居ができる方なのだろうなと思いました。両手で違う曲を弾きながらお話しするシーンは大変難しいのでは?と思い見ていましたが、さらりとやっておられて驚きです。

芳根京子さん。「べっぴんさん」でとても上手な女優さんだとはおもっていましたが、本作もさすがの一言。原作では共感しにくかった順を、彼女のお芝居でぐっと身近に寄せてきてくれたと思います。彼女の演技力なくしては成立しなかったシーンがたくさんたくさんあったと思います。本当にすごい。今後も彼女の作品はみていきたいなと思います。

寛一郎さん。これがものすごくハマる。どんどん彼が演じる田崎が好きになる。存在感と親近感が共存するとても素敵なお芝居でした。一番泣いたのは彼のシーンです。

石井杏奈さん。一歩間違えるといけ好かない優等生になりがちな役を、いやみのない清楚さと抜群の透明感で成立させていたと思います。

青春のまぶしさと、言葉の持つ重みをしっかり感じることができ、またお金を払って見に行きたいなと思いました。これから見る方にはぜひ、エンドロールで席を立たず、最後まで見届けてほしいと思います。

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壱