劇場公開日 2018年5月12日

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「悪と悪のぶつかり合いの末見えてくる人間の本性」孤狼の血 ニンフィア好きさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0悪と悪のぶつかり合いの末見えてくる人間の本性

2021年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

難しい

山田孝之主演の「凶悪」でも人間の持つ悪を見せてくれた白石和彌監督。本作でも、警察とやくざの激しい抗争がリアルに描かれており、過激な裏社会の実態を存分に見せていました。話題を呼ぶのも納得のいく映画です。

まずなんといっても役所広司のキャラクター性がストーリーに引き付けてきます。刑事なのに裏社会の危ない人たちと繋がっており、まさに「マル暴」です。悪を成敗する立場の人間が悪の道で生きている。なんとも理解しがたいけど面白さを感じます。殺人、賄賂、闇金といった悪事が鮮明に見えてきました。そんな刑事に振り回されるのが松坂桃李演じる若手刑事。彼も彼で、悪事はしてはならないと思っているもののなかなか過激なことはしており、役所広司演じるマル暴刑事の悪態が目に見えて体に染みついている感じがしました。

キャスト陣も豪華です。「MOZU」での刑事役で有名な真木よう子や滝藤賢一、中村獅童、ピエール滝、石橋蓮司、江口洋介といった名優が集います。ただ、個人的に一番興味をひかれたのが、中村倫也演じるやくざの永川です。そこまで主要なポジションではないものの、普段テレビで見るような温厚そうな中村倫也が荒々しい人殺しのやくざを演じており、彼に対する概念が少し覆りました。やはりどんな役にでも染まるのが俳優というものです。そして、こんなカッコいいやくざいないだろうなと思ったのが江口洋介です。「コンフィデンスマンJP」でも、はめられてばかりのやくざの頭を演じていましたが、「孤狼の血」でのやくざは違います。彼らしいスタイルで悪の人間を残忍かつスタイリッシュに演じていました。

今年8月に続編の公開が控える「孤狼の血」。役所広司は出てこないみたいですが、松坂桃李が主役ということで機会があったら見てみたいです。前作越えのテイストを期待します。

ニンフィア好き