「見ごたえ抜群！真に称賛されうるべきは弁護団。。」否定と肯定　やべっちさんの映画レビュー（感想・評価）

歴史上の事実であるホロコーストについての真偽を裁判で問うという、一見前代未聞なテーマでありながら、それが実際にあったという驚愕の史実の映画。

私自身が戦争を知らない世代として、改めてホロコーストの悲惨さを目の当たりにし、面食らい、そしてこんな歴史的な事実の真偽を問う裁判がたかだか十数年前にあったのかとダブルで面食らう、非常に興味深い映画だった。アメリカとイギリスの裁判制度の違いも面白く、知的好奇心をくすぐる。

最初は、絶対的な正義に狂犬が噛みついてるのかと思っていたが、
この裁判自体が、通常の裁判のように人間性の善悪を説くものではないので、（まぁ原告はさることながら）、被告側も民族的な立場を差し置いても、相当にヒステリックでやや高慢なので、好きになれるタイプの人間ではない。

だから、被告側の弁護団としても、勝訴に向けて、原告ばかりか被告にもケアを余儀なくされる場面も多く、なんとも歯がゆい。（史実なので、仕方がないのだが。）

裁判についても、結果は予想できるもののの、最後の最後まで分からず、視聴者は非常にスリリングな気持ちで結末を求めるだろう。

まぁ上記の通り、原告、被告とも人間性にやや難ありなので、真に称賛されうるべきは、第三者的という立場を保ちながら、最後まで真に被告に寄り添い、周りにも相当のケアを忘れず、結果を追い求めるばかりでなく、被告の人間的な成長にまでも寄与していった弁護団こそが、この映画の一番の見どころであって、正義である。

最後に、視聴者の方は、ぜひ視聴後にWIKIPEDIAなども確認してみると非常に面白いと思う。
映画のその後の話などが詳細に書かれており、そこにもいろいろな波乱があって、大変面白い。

とにかく見ごたえ抜群の映画なので、ぜひ見てみてほしいなと思う。