劇場公開日 2017年1月14日

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「乱射には見えない乱射事件」静かなる叫び 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0乱射には見えない乱射事件

2017年11月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ヴィルヌーヴ監督の映し出す
慟哭に、ただただ息を飲む。

アンチ・フェミニスト精神とそれを世に訴える術を虐殺という手段しか持てなかった加害者の静かなる叫びと、
インターン面接で女性である事に否定的な見方をされながらもキャリアへの第一歩を勝ち取り、その後フェミニスト批判者からの銃乱射事件に巻き込まれた被害者の静かなる叫び。

モントリオールで実際の事件が起きた時、
ここまで被害が出た事で警察は非難されたらしい。襲撃が始まってから犯人が一通り「殺しきる」まで一切犯人を阻む者もなく、ただ逃げ惑い女性が撃ち殺されていく時間が長く長く感じるし、大変に恐ろしかった。
無差別な乱射ではなく、校内を練り歩き女子を見つけては…という感じだったんだろうな。
BGMのない静けさが、経つ時間の流れとジワジワ迫る恐怖を引き立てる。

モノクロで静かな映画なのに、
決して退屈なノンフィクションで終わらない。

幸ぴこ