劇場公開日 2017年1月7日

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「分断の現実は異常なんだ!」The NET 網に囚われた男 yanakoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5分断の現実は異常なんだ!

2017年1月15日
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人間の生活の周りにふわっと国家があって、私たちの生活を守ってくれるなんていうぼんやりした感覚は完全に打ち砕かれて、南北両国家に真っ向からぶつかられた男のお話です。
一人の男に降って湧いた悲劇を通して、改めて南北分断がどれだけ非人間的なことなのかということを激しく突きつけられます。
北朝鮮は危険国家だとかいうことで、そこばかりを気にしていますが、その根本にある南北分断そのものはどんなんだ、と。
主人公の悲惨な人生が、この分断の固定化を切り裂いて、朝鮮民族は一つ、南北を統一しさせよう!と強く訴えているのだと思いました。南北分断の異常は絶対に正さなければならない!キッパリ。日本もこの分断の歴史に大きく関わっていると思いますし、簡単にそうなれない現実を前にとても息苦しくなりました。

こういう極めて政治的な、しかし自分たちの生活の根本に関わる問題で、南北両政府批判を商業映画でも表現できる韓国はいいですね。非正規職の実話をエンターテイメントとして映画にしちゃった時にもそう感じました。「カート」っていうタイトルでしたが。日本のタイトル忘れた(T_T) 日本では政治問題をそのまま商業映画にすることなんか想像できますか?キム・ギドク監督の2015年制作の映画STOPは福島原発事故後の問題を扱っているらしいのですが、まだ日本公開されてません。公開されるんでしょうか?ぜひ見たいものです。

それにしても主人公役の俳優の強さ、いいですよねぇ。主人公だけでなく、キム・ギドク監督作品に限るわけでもなく、やはり韓流いいわとなびきます。ジャニーズとKポップの胸板の厚さの違いは大きいかと。

観客の怒りを一手に引き受けることになる取調官の俳優にも相当目が引き寄せられたのですが、「殺されたミンジュ」で一人8役をやったキム・ヨンミンという人だった。

主人公のリュ・スンボム、何度見ても岸谷五郎に見えて困りました。似てませんか。(o_o)

yanako