劇場公開日 2017年2月25日

「編まずにいられない世の中」彼らが本気で編むときは、 オカマ声ちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0編まずにいられない世の中

2017年3月18日
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冒頭の意味も解らず残酷に言葉をぶつける子供。
ムカつくけど身に覚えがある。
あー……私もやったわ。意味も解らず、とにかくこの言葉は相手を貶める言葉。言われる方が悪いんだと。
タイムマシーンがあったらあの頃に戻って子供の自分を殴りたい。

主人公トモも『コレはイケない人種なんだ』と漠然と思う。
それが物理的にも触れ、ぶつかって歩み寄り、今度は偏見に怒りながらどうしようも無いと飲み込む。
一番悔しいハズのリンコが「よく我慢したね」と優しくトモを誉めるシーンはどう言っていいか解らない。

同級生の胸の内を知り、ある事件で「絶対に間違ってないっ!ぜーったい!ぜーったい‼」と力強く肯定するシーンはさぞ、同じ環境の女性(男性)は勇気付けられたと思う。
カイの母親や偏見を持つ人間は『普通』と『常識』を凶器にマイノリティーを叩く。
理由は単純。
『自分と違う人間は気に入らない』
それだけだ。

映画はハッピーなのかバッドなのか薄らボンヤリした感じでエンドロールが流れる。
これからも偏見に晒されるリンコとマキオ、カイ少年のこれから。
未熟な母親とトモ。

この映画がハッピーエンドになるかは、この世の中次第だ。

オカマ声ちゃん