トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のレビュー・感想・評価
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名前を取り戻した脚本家
ハリウッドのアカ狩りによって仕事も友情も失いかけた脚本家。
偏見と憎悪の中で、家族とともに闘いぬき
名前を取り戻すまでのお話。
当時のハリウッド映画界がよく描かれており、
カーク・ダグラスはじめ、そっくりな配役で
楽しめた。
トランボ役ブライアン・クランストン、妻役のダイアン・レインは特に素晴らしかった。
最近の映画に珍しく、上映期間1ヶ月ばかり経っていた。日曜日、日比谷シャンテの観客は60代の男性が多かった。
スカッ!!!
もう21世紀なのに、まだまだ人種差別とか男女差別なんかもあるけど、アメリカがこういう作品を発表したことは何だかんだ意義あることだと思います。
そんなことよりトランボのあふれる才能を描いただけじゃなく、家族のためにプライドを捨てて安いギャラでよく働いたこと、冷静な視点を持つ仲間に恵まれたこと、そしてなにより素敵な家族に恵まれたこと…幸せになる方法が色々詰まっていた、素晴らしい作品でした。
ヘイルシーザーを合わせて鑑賞
面白い!
扱っている話は結構シリアスだし、ずっと脚本書いてるだけなので退屈になりそうなものですが、要所要所で観客を笑わせるシーンがあり最後まで飽きずに楽しめる作品です。
同時期のハリウッドを扱ったコーエン兄弟のヘイルシーザーも合わせて鑑賞するとより楽しめると思います。
時代の闇を余すことなく表現
かつての時代の暗部を実に軽快なタッチで描きながらストーリーを軽薄にする事なく表現されている良作
戦後アメリカの赤狩りを題材としていて映画の舵取りによっては暗い映画になってしまうところをいいバランス感覚で仕上げていてとても観やすい
トランボ本人のセンスをとても上手く表現出来ていてその点でもよかった
胸のすくような
レッドパージ時代のハリウッドを舞台とした胸のすくようなお話。
実話ものは案外スッキリしない話も多いけど、このくらいスキッとすれば文句ないよな。
それもトランボの才能あっての話なワケだけど…
しかし、主演のクランストンさん、全然存じ上げなかったけど素晴らしい役者さんですな。
ダイアン・レインもエル・ファニングも良かった。
そして、ジョン・グッドマンの怪演…ww
名作の裏に隠された真実はエンターテイメントとしてだけでなく、伝える...
名作の裏に隠された真実はエンターテイメントとしてだけでなく、伝えるものとしての映画を考えさせられる。
今はアメリカが様々な国の権利問題を追求しているが、自由な国と言われる国の全く自由じゃなかった時代を振り返ると単純に非難するのは難しい。彼らにもそういう時代があったのだから…
映画を通して映画を知るのはおもしろい。
カット割や過去の映像、白黒映像の使い方は映像の中に埋没させてくれた。
とりあえず50年代、60年代の映画が改めて見たくなった!
映画を超えた映画!
50年代から70年代、ボクの学生時代は映画の時代だった。しかし、まだ、何も知らず楽しんでいた。これは映画を超えた映画。カーク・ダグラスもジョン・ウェインもプレミンジャーも楽しませてくれた。映画っていいですね、ありがとう。
健全さ
偽名で脚本を書き続ける事で、赤狩りのブラックリストを有名無実化する。
追放から12年。支える家族。その明晰さとユーモアを忘れない姿勢に胸が熱くなった。
辛い状況にあっても。
「名前がどうだろうと主義がどうだろうと、面白いものは売れるんだ、評価されるんだ」という、
ショービズ界の健全さ、経済の健全さ、アメリカの健全さを、誰よりも信じてたのはトランボだったような気がする。
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赤狩りに立ち向かうテレビマンの実話を描いた『グッドナイト&グッドラック』という映画があった。エド・マーローがテレビで赤狩り批判をしたのが1954年。そこから「赤狩りってやっぱおかしよね」と風向きが徐々に変わりはじめる。
トランボが実名で脚本を発表出来たのは、更にその6年後の1960年。長い年月がかかったなあと思う。
—
この映画の中で印象的だったのは、トランボに嫌がらせをする隣人。
当たり前のことだけど、政治家だけでなく世論…一般の人も、マッカーシズムを支えてたんだなあと思う。
世論に同調する隣人は、60年代になって潮目が変わると、嫌がらせもしなくなる。
我こそが世論と自負してトランボ側をガンガン叩いていたジャーナリスト、ヘッダ・ホッパー。
彼女が完全な潮の変わり目(新しい大統領がトランボ作品を誉める)を目の当たりにするシーンが一番印象深かった。
追:コーエン『ヘイル、シーザー!』にもトランボ&ヘッダ・ホッパーが出てくるけれども、そちらはだいぶ捻っている。本作見てから『へイル〜』見る方が、分かりやすいのではないかと思う。
ハリウッドを引き裂いた赤狩り
実際にアメリカ共産党員だった脚本家Trumbo。
劇中の描写が公平なのか分かりませんが、彼の主張は至極正論で、狩る側が、アメリカの理想としてきた筈の自由を謳う民主主義にはとても見えませんでした。John Wayneがあちら側ということを知って少し残念な気分になりました。本来、同じ映画を愛する人々や芸術家達が、時の政治的思想の濁流に飲まれ、不毛な戦いに時間と才能を奪われてしまいました。
戦地を経験し、迫害を受けたTrumboだからこそ、これだけの素晴らしい作品を書けたのでしょう。未鑑賞の作品も幾つか登場して、全部知っていたらもっと楽しめたかなと思いました。
彼の才能・精神力・勇気・寛大さと、彼を支えた家族の愛情と仲間の友情、全てに対してのアカデミー賞という気がしました。でも彼にとってオスカーは、名誉のためというより、理不尽な戦いを終結させ、自由を得るための手段に過ぎなかったように感じました。
Kirk Douglas役がすごく似ていて、一瞬CGかと思いました(^o^;)
前振りなのかな?
104本目。
年配者が多いし、昔からの映画ファンだと思う。
やたらウケてた。
僕も面白いと思ったけど、笑うツボがね。
ここでも笑うかって。
アメリカらしい作品で面白かった。
最後のスピーチに向けての前振りなのかな?
●心から尊敬する男のはなし。
ダルトン・トランボが好きだ。その不屈の戦いたるや。彼の作品にはそのまま彼の生き様が投影されている。そうかと思うと、「ローマの休日」終盤にある秘密の共有は、たぶん彼のメッセージ。
とまあ、作品に脚本家の本音がみられて粋なのだ。本作みてから彼の作品たちを観ると、絶対楽しいと思う。
さて本作はそんな彼の半生。当時のハリウッドの様相も知れて興味深い。
「真昼の決闘」が嫌いなタカ派のジョン・ウェイン。立場よりも女を選んだロナルド・レーガン。ネットもない時代に絶大な影響力を誇ったヘッダ・ホッパーの筆致。
怖いもの知らずの「スパルタガス」カーク・ダグラスに、「栄光への脱出」オットー・ブレミンジャー。
時代の本流は完全に反共だ。本作には出てこないけど、ウォルト・ディズニーも本流だ。「エデンの東」エリア・カザンは転んじゃう。チャップリンは最終的にアメリカを追放されている。赤狩りが時代の要請だったことは想像に難くない。
そうして干されてからも、トランボは書いて書いて書きまくった。時にはユーモラスに。決して折れることなく。そんな彼を無口な妻が支える。時代を受け入れる心の広さ。ラストの肉声には泣かされる。の前のケネディもイカしてる。
にしても、彼の映画化は遅すぎる。と思ってたら、アメリカで本作は、当時の社会主義のあり方を検証してないだろうと、保守派から叩かれたらしい。それほど難しい問題なのだろう。
ノンキなのは承知だけど、さまざまな考え方を受け入れられる世の中であってほしいもんだと切に願う。
理解しようとすること
当時の人々にとって、共産主義は脅威に感じられたから、人々は弾圧が正しいと信じた。過激な思想に脅威を覚えることは心情として分かるけれど、解雇や収監はやり過ぎだったと思う。その人となりを見てもトランボは過激な思想というのではなく、おそらく育ってきた環境などから、貧富の差や特権といったことを不条理と思い、声をあげる勇気があった。
なのになぜそのような弾圧が行われたのかと考えると、映画の中のヘッダのように、他人の考えを聞かず、理解しようとしなかったためではないかと思った。
また、トランボは出所後、家族を失いそうになる。そのときに繋ぎとめたのは妻の言葉だが、トランボが妻や娘を理解しようとしたからでもあるのではないか。
トランボには文章を書く才能はもちろん、柔軟な思考の持ち主で、頭の回転が早くユーモアもあり、不屈の精神も併せ持っていたのだろう。それでも、家族がそばにいなければ、あれほど幸せそうには見えなかったと思う。
インコ?を頭に乗せている姿に和み、思わず笑みがこぼれた。やはり、優しい物語を書く人なのだと思った。
偏屈にまっすぐに生きた男の話。
5月に公開していた「ヘイル、シーザー!」と時代が重なります。「ヘイル、シーザー!」ではよく分からなかった戦後ハリウッドと赤狩りについて、すこし理解を深める事ができました。また、そういったことを除いても、単純に良作だと思います。
共産党員だったトランボさんは、赤狩りが激化する映画業界で奮闘していましたが、聴聞会に引っ張り出され、証言を拒否したところ、議会侮辱罪で投獄されます。服役後に、再起を図るも、難しい。なりふり構わず、偽名で、B級映画の脚本・手直しを破格で山ほど引き受けて、糊口を凌ぎます。妻・娘たちも仕事の手伝いに借りだし、家族のための仕事が、仕事のために家族を振り回す、見事な本末転倒となり、妻・長女から反発を受け、トランボさんは態度を改めます。その内、黒い牡牛(知らない映画です)とローマの休日にて偽名でアカデミー賞を受賞します。
その後、長女に言われてローマの休日は自分が書いたっていいなよと進言されたり、変わり者のスター俳優、監督から脚本書け書け、本名でのせちゃると後押し(ごり押し?)をうけ、スパルタカスと栄光への脱出を書き、映画界に表立って復帰していったというお話です。
ラストに、1970年ごろだったかに、過去を振り返ったスピーチをする場面があり、そのスピーチがすばらしかったです。裏切らざるを得なかった者も、戦いの中で命を落とした者も、みんなつらかったよね的内容(酷い要約ですみません・・・)でグッと来ました。
劇中ではローマの休日は俺が書いたもんね!とテレビのインタビューでゆってた気がしますが、wiki調べによると、ローマの休日を書いたのがトランボだと分かったのは彼の死後だったようです。
家族の物語としても素敵でした。妻が、正に賢妻って感じで、基本は夫を信じるだけなんだけど、本末転倒の生活で大事なものを見失った夫への抗議は的確でした。そして、エルファニング演じる聡明な長女がまたよい。父の娘ですよね・・・。ちゃんと謝ることのできる男と、そんな男を愛する女でしたよ。家族みんなでアカデミー賞の授賞式みて、やったーパパナイス!ってハイタッチする感じもほのぼのいい感じです。
ヘレンミレンが気取った帽子の反共コラムニストを演じており、いい味出していました。コミュニスト迫害のために、映画会社の偉い人が必死に隠していたユダヤ人であることを持ち出して脅したりしていました。彼らを首にしなければばらすぞというやつです。そういえば、映画産業には多くのユダヤ人が関わってきたと聞いたことがあると思いました。そのかかわりはおおっぴらなものではなく、名前を隠す必要があったのだなと想像しました。
また、裏切ったコミュニスト仲間の俳優が、あんたら(脚本家などの裏方)は名前を変えたら生きる道もあるけど、俳優は顔を隠せない。思想を捨てなければ仕事がもらえない、仕方がなかったと訴えていました。それもそうだと思いました。その選択を、陥れられた方としては許せないけれども、一定の理解はできるという描き方でよかったです。
役者はあまり知らない人ばかりでした。ヘレンミレンとジョングッドマン(バッドで大暴れ最高)とエルファニングぐらいでしょうか。なんせトランボ役の方を全然知りませんでしたから。
水に浸かっての執筆風景やインコをなでなでする感じが変人って感じで好きです。
才能で生き延びる
どんな時代も生き残る才能は有るんだなあ。
映画はよく見るが脚本に注目することはなかった。脚本家以外の映画人の登場やタイトルが話に(私的には)リアリティを与えてくれる。
過去の名作が心の中でさらに分厚くなる。
後半良い
ローマの休日が大好きなので、母と行きました。前半は、メリハリなく、眠気に襲われましたが、後半は見応えありました。
奥さん役のダイアン・レインが素敵でした。美しかった。
役が実名だったので、鑑賞後に母と昔の映画の話で盛り上がりました。
最も書いた男。
トランボと聞いても今ひとつピンとこないと思うが名作
「ローマの休日」の脚本家(だった、実は)と聞くと分かる
人も多いんじゃないだろうか。何と彼は二回もオスカー
を受賞している(でも偽名で)非常に有名な脚本家なのだ。
彼の才能に対し時代は皮肉なもので、当時は赤狩り旋風
真っ只中、共産主義者の彼はハリウッドから追放される。
有名なハリウッド・テンの一人となるが、監督や俳優にも
被害者は多数いる。チャップリンなども恐れられて追放、
身を守るために同業者を密告する者が多数いたのも事実。
監督のエリア・カザンが名誉賞を受け取った時、皆が拍手
しなかったのは彼が密告者だったからで、今作ではエド
ワード・G・ロビンソンがそれと同じ立場で描かれている。
しかし何よりこの時代を言葉で表現したトランボの最後
の演説は爽快だった。生活のためやむを得ず密告せざる
を得ない立場に追い込まれた者を恨んではいないと丁寧
に語る彼が言葉にも人間力にも優れていた人だと分かる。
家族を愛し大切にした父親像も描かれ、のちに反発する
娘や忠告をする妻も彼が生活の全てを握っていることを
よく認識していた。家族揃ってテレビで授賞式を見る姿
はなんと微笑ましいことか。呼ばれる名前は偽名なのに…
トランボが指名された理由に仕事の速さが挙げられるが、
オリジナルを仕上げた上に手直しまでも請け負っていた。
もの凄い仕事量をかなりの速度で仕上げる力を持った人
だったことが分かる。仕事のできる人ってやっぱり速い。
彼を支えた妻をD・レインが好演。その他J・グッドマン、
H・ミレンなど、共演陣も豪華に怪演していて素晴らしい。
やっぱりハナシが面白くなきゃ映画じゃないでしょ~と
常に思う自分は、かのおバカヒーロー映画が発した真の
ヒーローは脚本家だと評するオープニングに多いに賛同。
トランボの作品はローマ以外にも面白い作品がたくさん
あるので、若い世代も観たら納得がいくんじゃないかな。
(ただ黙々と書き続ける姿に感動。闘うならそこだよね!)
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