劇場公開日 2019年2月8日

  • 予告編を見る

「うーん…何がウケたんだろう?さっぱり」アクアマン うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5うーん…何がウケたんだろう?さっぱり

2021年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

私、そこそこ映画を劇場で見るのを楽しみにしております。もちろんアクション映画も大好きで、ド派手なアクションを手に汗握りながらスクリーンにくぎ付けになる思いを味わえれば、内容の無さなんて気にしない人です。『ジョン・ウィック』『ベイビードライバー』なんて、隠れた良作もたまに当たりますし、こういうの否定するつもりは全くないのです。

そこで『アクアマン』ですが、本国アメリカでのメガヒット、日本での公開以来のレビューの高評価にかなりハードルが上がった状態で見にいきました。それを差し引いて考えたとしても、まったく、何の感情の動きも無い映画でした。これほど見終わった後の気持ちがフラットだったことも珍しい。いや、正直に言いますが、上映中に3度寝落ちしたのは初めての体験です。じゃ、内容なんて覚えてないでしょ?と突っ込まれましたが、内容ねぇ…

そもそもアクション映画において眠気を感じることは今に始まったことではなく、特にCGを多用したアクション映画において、壁を突き破って巨石に叩きつけられるなんてシーン、本当にスタントでやるはずもなく、グリーンバックでワイヤーに吊られた俳優が顔に点々をいっぱい付けて演技しているのが分かっているので、その時点で萎えます。

展開上、主要登場人物が死ぬこともあり得ないような場面で、ド派手に追いかけっこをやるシーンなんて、一気に眠気が襲ってきます。その点マーベルの映画が凄いのは、必ず想像の斜め上を行くビジュアルを実現させ、ただ敵をぶん殴るひとつの動作にしても全く目を離せない迫力を映像化していることです。

レビューの高評価を見ると、水中のシーンが綺麗とか、スターウォーズを彷彿とさせるとか、キャストが豪華とか、どれも内容に踏み込んだ意見ではなく、確かに、地中海風の街並みで姫を追っかけてきた敵とド派手な追いかけっこを展開するシーンは見事でした。レンガ造りの建物をぶち壊しながらふっとんだり、見たことのないスタントに挑んでおり、そこだけでも見る価値はあると思います。

上手い役者が出ているからと言って、見せる演技ができるかと言えば話は別です。ニコール・キッドマンも、ウィレム・デフォーも、グリーンスクリーンの前では新人の俳優と同じスキルでしょう。ウィレムは『スパイダーマン』で素晴らしい怪演を披露していますが、今回は出番も少ないし、これと言った見せ場もありません。

そして、肝心のストーリーは『マイティ・ソー』『ブラックパンサー』と同じ、王位継承を絡めた壮大な内輪もめで、巻き込まれる人類はごく少数。別に、スーパーヒーローである必然性が全くありません。アクアマンが自分の能力に目覚めるとか、人間の友達が、海棲人類に戸惑うとか、最低限のプロフィールが披露されないまま、どんどん話が進んでいくので、これほどの超文明が深海に潜んでいる説得力がありません。『ジャスティスリーグ』で、ヒーローたちが地球を守った時、彼らは何をしていたんでしょうか?

美しいとされるビジュアルも、『スターウォーズ クローンの攻撃』にかなり近いものがあります。絵面がそっくりです。ちなみに、大好きなスターウォーズの中でも、最も評価の低いエピソードが『クローンの攻撃』です。

個人的には主役のモモアのひげ面もいただけない。アクアマンって、トライデント(三ッ股のヤリ)を引き抜くことが出来た(しかも本名はアーサー)って以外に何か取り柄があるんでしょうか。水中を自由自在に移動できるとか、怪力だとか、普通に他の悪役と同じ能力しか使わないし。特別に正義感が強いとかもなさそうだし、彼が、ヒーローである動機がないんです。

もうひとつだけ、ヴィランのブラックマンタ。これはひどすぎる。まるで、ゴキブリ人間。初期の仮面ライダーにいてもおかしくないようなビジュアルです。もう少し何とかしてほしかった。

2019.2.13

うそつきカモメ