劇場公開日 2016年6月11日

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「邦題が最低」教授のおかしな妄想殺人 bobbyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0邦題が最低

2016年6月15日
iPhoneアプリから投稿

近頃、原題を侮辱し製作者の意図を計らない邦題が山のようにある。
この作品もその究極。
原題は、Irrational Man
理性のない人、不合理な人、という意味です。
そのことを頭に置いて観ていただきたい。
でないとウディアレンの真意が伝わらないです。タイトルって重要だから。

主人公は過去のトラウマに苛まれ人生に行き詰まり、しかしながら過去に色々問題を起こした哲学科教授と、フィアンセはいるもののほんとにこの人に決めていいのか悩み教授を誘惑する美人女子大生。
二人の急展開はあまりに早く、??と思うが、それは前置き。
さらっとそこを流して確信に迫り90分にまとめる手腕は見事。
教授の犯す殺人計画は、哲学へのアイロニーであり、冒頭の、イラク人に首をはねられた、というセリフに注目して欲しい。
私の見解は現在の国際戦争な理不尽な思想への風刺と捉える。
また、落ちに使われる懐中電灯はなにを意味するのか。見終わった後も楽しめる秀逸な名作です。前半と後半の音楽のメリハリも最高。まさにウディアレンにしか撮れない映画の一つ。

bobby