劇場公開日 2016年2月12日

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「観客の見たいジョブズの姿はそこにはない」スティーブ・ジョブズ アイアムOKさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5観客の見たいジョブズの姿はそこにはない

2016年2月21日
PCから投稿

知的

難しい

映画としての完成度は文句ありません。ジョブズのアップルでの30年以上におよぶ日々の中から、たった3日間だけを切り取って、「人間としてのジョブズ」にフォーカスしたアイディアも凄い。脚本家のアーロン・ソーキンの大胆で繊細な仕事が冴える、そんな映画です。

しかし、そこで描かれる物語は、観客(あるいはアップル信者)の見たい物語ではありません。観客が見たいのは、ジョブズのサクセスストーリーなんですよ。壇上からドヤ顔で「革命的な新製品」を発表するジョブズと、スタンディングオベーションでそれを讃える満員の聴衆が見たいんです。

だから、少なくともエンターテインメントとしては、この映画は失敗です。結果的に、ビジネスとしても失敗してしまった。

まあしかし、原作となるジョブズの評伝には、あんまりそういうカタルシスに満ちた描写はないんだよね。だから、この映画は最初から信者の見たい映画にはなる可能性は低かったということ。むしろ、アーロン・ソーキンの仕事をほめるべきでしょうね。この思い切りのいい構成に、よくぞまとめたもんだと。

アイアムOK