君はひとりじゃないのレビュー・感想・評価
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ブラックユーモアあふれる人間ドラマ
感動ものとして宣伝されているが、どちらかと言うとブラック・コメディ。首をつっていた男が、まだ生きていて突然あるきだしたり、霊を感知できるというセラピストが奇妙なセラピーを展開したりと、不条理劇的要素も強い。
原題は「BODY」とあるが、肉体とはなんなのかについての作品であるのは明白だ。翻って肉体以外の存在とは何なのかをも逆説的に問うている。
死体を見慣れた心が麻痺した刑事。拒食症のその娘。変わったセラピーを実施して異端扱いのセラピスト。3者の肉体と精神の関係が丹念に描かれる。
ポーランド映画というと、クシシュトフ・キェシロフスキが有名だが、監督はその影響を認めつつ脱構築するような気持ちで製作に望んでいるらしい。難解な面もあるが、ユーモアで上手く緩和している秀作。
何気ないことが人生
親子の関係は他人には介入できないデリケートな問題が多い。目に見えるものと目に見えないもの、そのギャップは他の友好関係のそれとは全くの別物である。この作品では、そのデリケートな場所に踏み込んでいくある女性の存在がある。すこし余計なお世話だと思ってしまう行動が最初はとても気になっていたけれど、彼女は家族間の埋まらない溝は、家族同士でしか解決できないことを知った上で、助け舟をだした。その手法が可笑しくて、でも知的で、女性らしい柔らかさと凛々しさを感じた。観た後に感情が大きく揺さぶられる映画ではなかったけれど、ささやかな出来事の積み重ねこそが人生だと改めて知る事ができた良い映画だった。
シュールな入り方
ワルシャワ、グダンスカ駅
けっこう猟奇的な殺人が起こる
でかい犬
なんでも胡椒味にするお父さん
拒食症の娘。母の死がきっかけ
ワルシャワの街は古いかと思ったら高速道路のアーチはすごく未来的なデザイン
自動書記する霊媒師の女
ポーランドは土葬
おばちゃんの裸おどり
唐突に英語曲で締め
朝日と共に互いを思いやる心を取り戻したってことなのか
窓から入る光が
人の死に慣れてしまって、もっとも大切な人の死を受け止めきれない父と、摂食障害の娘の再生の物語。
ブラジルでは霊媒師が病院でも働いているってセリフがあったけど、本当かなぁ?
この映画の光は、誰も気がつかない大きな恵みの象徴なのかな?
街の中に森があるような風景と、光、鏡、ガラスに映り込む表情が印象的。
笑えるけれどシュール過ぎる
現実と虚構の狭間をリアルに描いていたと捉えるべきなのだろうか。オカルトの類も決して劇場的に見せるのではなく、現代において誰もが体験していそうな事柄として提示していたところが、何気に斬新だと感じた。
血と恐怖を笑いでうまい具合に丸めようとしている意図は感じるけれど、あまりにシュール過ぎて、決して大笑いできる内容ではなかった。
見る人によっては、かなりホラー的要素を盛り込まれたと思えるだろうし、そのように見えてしまうと最後はかなり肩すかしのように感じるかもしれない。かたや、単に日常をリアルに淡々と描いた退屈な映画と感じる人もいただろう。そんな人にとっては、最後は相当に笑えるに違いない。自分はどうかというと、前者と後者の狭間で、眠気と笑いが去来していた。
内容はあくまでヒューマンドラマなんだろうけど、今までにない斬新なものというか難しさというか、一風変わったものを感じる作品であった。
不思議な作品
母を亡くした喪失感から、心が壊れうまく距離感がとれなくなった父娘の話。セラピーや霊媒、超常現象とか出てくるから途中まで〝スピリチュアル系?ちょっと苦手な作品かも…〟って思ってたが、予想を裏切るラストで驚き。感動✨
心の病気という摂食障害が結構詳しく描かれていて、なかなか深い部分も。拒食もそうだけど味覚障害も心の病からくるのね。
ちょっと難しい作品だったけど、でもその難解さもラストシーンの2人の笑顔、そこに流れるBGM、部屋に差し込む朝の光の美しさで、ふと湧いた疑問もどうでも良くなって一瞬でかき消されるかな。記憶に残るラストシーンだな〜。とても不思議な作品でした。
私の中にも見えない〝何か〟を信じる気持ちも無いわけではないけれど、そればかりに捕らわれてしまっては自分を見失うよな〜と。心で寄り添うくらいで良いのかなと。うまく言えないけど…^^; 心を見失った時は、時には他人からのちょっとした事で救われる事もある。そんな事を観終わった後にふと考えたかな。
原題が『BODY』。なかなか興味深い作品でした
独特な展開、セラピーと霊媒の組み合わせか〜
摂食障害のセラピーを扱った稀少な映画かとおもいきや。
確かにエンプティチェアみたいな、サイコドラマみたいな心理学的なセラピーの場面もあるのだけれど、最後にはセラピストが霊媒師でもあるという、無茶ぶりな設定で。
まあ、なんかわからないでもないけれど〜。
家族との対話が深い悲しみから救う
母を亡くした娘が心を病み、父は娘にセラピーを受けさせるが、父もまた妻を亡くした喪失感に包まれていた
彼らが悲しみから立ち直っていくまでの物語
深い悲しみからの立ち直り方というテーマは「マンチェスター・バイ・ザ・シー」と似ている。
「マンチェスター〜」とこの映画が明らかに違うのは、セラピーに死者との交流が入ってくる点
ここが、この映画の突出した個性であり、面白さだった
また、「マンチェスター〜」と共通しているのは、誰かと悲しみを共有し、対話をすることで救われていくという点
ITやスマホが普及して、人と人の距離が近くなったようだけど、心の距離は遠くなっているからこそ、こういう映画が増えているのではと思う
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