劇場公開日 2016年7月2日

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「大人になる直前、束の間の貴重な時間」セトウツミ りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)

4.0大人になる直前、束の間の貴重な時間

2016年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

た・・・

というハナシには、ほとんどストーリーらしきものがない。
そんなストーリーらしきものもないふたりの一年。

映画は、高校2年生という時期が活きている。
まぁ、思い起こせば、自身の高校2年生の頃は、もっと活動的だった。
走って汗は流さなかったけれど、文化部で部活動をしていたからね。

でも、こんな、どうでもいいような時間もかなり過ごしたような気もする。
それは、大学生のころ。
入学して1年ぐらいは、なんかこんな感じ。
無為な時間が何となく流れている・・・

そう、まだ、社会人にもならず、とはいえ目いっぱい他のことに熱を上げるというようなことをしなくても、生きていくことができたあの頃。
当時の流行の言葉でいえば「モラトリアム」。

刑の執行を猶予された期間。
大人にならずにいられた時間。
そういうものが蘇ってきました。

セトとウツミが交わす会話はホントウに取り留めもなくしょうもないことばかり。
なので、観終わって会話の中身はほとんど思い出せない。
思い出すのは、セトの家庭事情や、ふたりが恐れている不良の鳴山の家庭事情、それに、お寺の娘の樫村さん(中条あやみ)とふたりの間の三角形ともいえない微妙な関係。
取り留めのない会話の裏には、かなりの「大人(少年たちも含めて)の事情」が垣間見える。

こういう何となく流れている無為な時間が終わってしまうのは、かなり切ない(たぶん)。

なので、続編が観たいような気もするが、ふたりの関係が終わってしまうのを観るのも切ないので、続編はつくらないでいただきたい。

りゃんひさ