劇場公開日 2015年10月3日

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「頭カラッポの方が夢詰め込める」ターボキッド みじんコさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0頭カラッポの方が夢詰め込める

2016年5月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

核戦争により文明が崩壊した1997年。荒廃した世界で繰り広げられるバイオレンスアクション映画…

と聞くと凡百のマッドマックスフォロワー映画かよ…と鼻白んでしまいそうだが

『ターボキッド』の世界では石油が枯渇しまくって車もバイクも使用不可、主人公も悪党達もチャリンコで爆走(?)しているという設定を考えついた時点でこの映画の『勝ち』は確定したような物、悪党達がヒャッハーと来襲するシーンが全てギャグシーンとして成立してしまうヌルさが何とも心地良い。

さらに主人公でアメコミヒーローに憧れるヘタレ少年キッドが地下に埋もれていたパワードスーツを拾うご都合展開や、エキセントリックでキュートな美少女アップルとの淡い恋の芽生えるボーイミーツガール展開など、今やったら悶絶死級の気恥ずかしいストーリーも、この映画の徹底した80年代B級映画テイストによって何だか許せてしまう

…ってか愛おしささえ感じてしまうという『映画の持つマジック』が発生してしまっているのだ。(ロゴデザインとか最高!!)

チープな透過光SFX描写や『アダム・チャップリン』みたいな過剰で笑える残酷描写も楽しい。

個人的に特に素晴らしいと思ったのはBGMが80年代風のチープなシンセサウンドにこだわって作られていて、4つ打ちのディスコ・ビートに乗せてフラッシュ・ダンスみたいなチープなシンセが縦横無尽に鳴りまくる…これだけで5億点は出てるでしょ?!

おしむらくはクライマックスにボニー・タイラーの『ヒーロー』みたいなボーカル曲がかかったらさらに追加で100億点は出てたのに…いや、本当にそこだけ惜しい!

物語のテーマはヘタレ少年が冒険と恋を経て『男』に成長するというシンプルでありきたりな物だけれど、ラストの80年代的ロマンチック描写が何ともキュートで元気が出るんですよ!!!

日頃、小難しい社会性をメタファーにした映画ばかり観て講釈垂れているような映画オタに『頭カラッポの方が夢詰め込めるだろ!』と気付きを与えてくれる愛おしい作品です、

おススメ!!!

2015年製作のカナダ映画でアルバート・ピュンの『ラジオ・アクティヴ・ドリーム』テイストを味わえるとは…本当に長生きはするもんだ…

まったく、映画っていいよな…

みじんコ