劇場公開日 2015年12月5日

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「絶妙な多面的映画」映画 ハイ☆スピード! Free! Starting Days たけ(c)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0絶妙な多面的映画

2016年1月8日
PCから投稿

なんだこれ!!!??すげえ絶妙なバランスが図られてる。
まるで、不意をついてフルコース料理出されたようですよ。
かなりのプロフェッショナル映画じゃないか?

①青春映画としての構造に巧みさを感じる。
中学生だよ中学生、僕らもそうだったけれども、初めての背伸びってやっぱ最初の無理だったよね、大事なものも自分さえも傷付けて。
みんなマコちゃんみたいだったよね?イクヤみたいに不安定だったよね。そうじゃね?男の子も女の子も?

②TV版の続編映画としての方向
本映画では出演しなくてもいいだろうTV版のキャラクター達が、きっちり意味を込めて主役キャラ達の心を揺さぶってくる。
時には相談者として、時には心定まらぬ主人公を一喝する者として、無邪気な過去の自分としてやって来る。
輝けるキーマンとしてやって来る。
ファンにとっては非常にうれしいシーンがきっちり差し込まれている。レイちゃんは、あれくらいがレイちゃんなのだ。

それでいて、TV未観の人にも違和感なく、いやらしい説明的描写も無く、彼らの存在さりげなく映画が水の色のように流れて行く。
構成すばらしい、スタッフすばらしい。

③顧客層をしっかりと
いわゆるってFreeって女性向けアニメなのだろうけど、本作は
アイドル映画としての側面が面白い。
アイドルを最大限に可愛く魅力的に見せるのがアイドル映画。

なんだよ、主役陣が全員悩む!バカキャラのアサヒも大いに悩む。
そりゃ青春映画なんだから悩んで壁にぶつかって、ケンカして泣いて、みんなでメシ食って笑って壁越えて成長すんだけどさ、その悩みの原因が全てハルカ。
主人公のハルカが、自覚も無く周囲の全員を悩ませるんだ。
かといってハルカは悪人でも無いし天然でも無い。むしろしっかり者。
悪気も無いしバカでも無いのだ。
有るのは才能と未熟さ。
そして自分も悩む、ハルカも悩む戸惑う。中学生の顔して悩む、戸惑う。
ファムファタールですわ、、悪意の無い悪女ですわ。
言わば妖艶。
主人公の少年がファムファタールとして描かれる映画なんて見たこと無いよ。

物凄く期間の短い青春を切り取った映画だったり、ファンムービーだったり、成長物語だったり、アイドル映画だったり。

こんな映画は他には無いでしょう。

永田製麺