ダーティー・コップ : 特集
ニコケイ×イライジャ 《クライム燃えおっさん》の大好物登場!
これが現実──アメリカの警察がこんなにも汚れていたとは!
ただでさえ気になってしまうニコラス・ケイジ主演作なのに、今度の作品はひと味違う! 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイライジャ・ウッドとの初タッグをキメた「ダーティー・コップ」(8月20日より全国順次公開)は、ラスベガスの2人の汚職警官が裏金を蓄えた金庫を強奪しようとする姿を描く、クライム・ファン注目のノンストップ・サスペンスだ。
「ニコケイ映画」とナメているそこのあなたよ、ちょっと待て!
映画.comも鑑賞! 本作は予想以上に“イイ”ぞ!
またもや登場したニコラス・ケイジ主演作。毎年複数本が公開されるハイペースなリリースぶりに、「また主演作あるの!?」と思いつつも、やっぱり映画ファンなら気になってしまうのが「ニコケイ映画」。だが今回は、これまでの作品とはひと味違う。今年2016年の第1弾ニコケイ映画であることに加え、あの「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイライジャ・ウッドとの初共演を果たした作品なのだ。
主演作が気になってしまう。それは我々映画.comも同じだった。フランシス・フォード・コッポラの甥(おい)という芸能サラブレッドであり、どんなジャンルの映画でもこなす個性派であり、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞に輝く実力派。コミック・マニアで、私生活ネタでゴシップ誌をにぎわせることでも知られている。ニコケイが主演しているだけで異彩を放つ。そして、映画を見てしまっている。もしかしたら、彼はもう我々にとって必要不可欠な存在なのかもしれない。
そんな我々が本作「ダーティー・コップ」を見てみた。今回の“バディ”は、「ロード・オブ・ザ・リング」のみならず、近年は「マニアック」「ブラック・ハッカー」「ゾンビスクール!」など、野心作に精力的に出演しているイライジャ・ウッド。徐々に犯罪に陶酔して突っ走っていくニコラスのキャラと、悲観的で真面目なイライジャのキャラのバランスがいい。ニコラスの怪演にメリハリが付き、より印象的なものとなっているのだ。
ニコラスとイライジャが演じるのは、米ラスベガスでうだつの上がらない毎日を送る証拠品保管室勤務の2人の警官だが、彼らがとある人物の保釈金から、闇ビジネスで蓄えられた裏金にたどり着く姿が描かれる。2人が謎の真相に迫っていく展開、そして裏金を奪うべく綿密に計画を立案し、そして遂行していくさま──親友同士だった関係が疑心暗鬼に陥っていく様子を徐々にとらえながら、先の読めないストーリーと高い緊張感を実現させている。そう、本作品、意外と言ったら失礼かもしれないが、脚本が巧みなのだ!
監督を務めるのは、ベン&アレックス・ブリューワー兄弟。ベンはすでに単独監督作でデビューを果たしているが、2人で長編作品を送り出すのは今回が初(ベンは脚本も担当)。「この映画は僕らが好きな70年代の映画の影響を色濃く反映している」と言う通り、気鋭の監督コンビながら、「ダーティハリー」や「フレンチ・コネクション」好きなど、往年の映画ファンを刺激する空気感を実現させているのだ。この才能も見逃せない。
[目撃!! 汚職警察24時]これが米警察の実態!?
汚れきった2人の警官が、マフィアの金庫を襲うための“奇策”とは?
「現在のアメリカの警察は、こんなにヤバいことになっていたのか!?」と驚かずにはいられないのが本作の物語。一見善良な警察官2人が、証拠品保管室勤務という立場を利用し、証拠品を違法に横流しして小金を稼いでいる実態や、関係者しか見ることができない書類の情報を基に闇ビジネスの存在を知るさまが、まざまざと映し出されるのだ。そして、その闇ビジネスによって裏金が蓄えられた金庫を狙う暴挙にまで……。
スリリングな捜査に参加するわけでもなく、倉庫勤めで毎日代わり映えのない退屈な仕事に飽き飽きしていたからだろうか。観客と同じ“普通の人”だったストーン(ニコラス・ケイジ)とウォーターズ(イライジャ・ウッド)が、徐々に悪に手を染め、文字通り“ダーティー・コップ”へと変わっていく姿がリアルだ。物語はフィクションだが、作品の背景には、60年代から90年代にかけて実際にボストン警察で起きた事件が存在するという。「アメリカ警察の腐敗の典型的な例であり、描かれるエピソードや登場する警察官には、少なからず実際のモデルがいる」と監督は話している。
すっかり汚れてしまった警官たちが、裏金を収める隠し金庫の中身を奪うため、ある“奇策”を思いつく。誰にも知られず、誰も殺さず、そして中身を奪った後は無事に逃走する──ドイツから大掛かりな装置を取り寄せ、ついに実行される大胆不敵な計画。「グリーン・インフェルノ」のスカイ・フェレイラ、「底抜けシリーズ」の名コメディ俳優ジェリー・ルイスも脇を固める濃厚クライム・サスペンスから目が離せない。
《クライム燃えおっさん》の“あるある”10連発!
果たして本作は、男たちのお眼鏡にかなうのか?
クライム・アクションやクライム・サスペンスに熱く燃える「クライム燃えおっさん」なら、「分かる分かる!」とうなずいてしまう“あるある”がたっぷり! ニコラス・ケイジとイライジャ・ウッドの初共演作は、果たして、そんな違いの分かる男たちのお眼鏡にかなうのか!?
とにかく「警官」「刑事」を意味する「コップ」という言葉に敏感。この言葉が入っていれば、捜査モノ、犯罪モノ、アクションものなのは濃厚──「エイリアン・コップ」「ゾンビ・コップ」まで借りちゃう!
アクションとクライムの“ニオイ”にも敏感だ。チラシのデザインに火花が飛び散っていれば「何かある!」と察知。「カーアクション」「カークラッシュ」が入っていればもう間違いなし。マジマジと見てしまう!
いががわしいネオンにも、その裏にうごめく陰謀を(勝手に)想像してしまう。眠らない街ロサンゼルス、ラスベガス、新宿歌舞伎町などなど、犯罪都市イメージ&闇夜にはびこる犯罪組織や裏社会がたまらない!
クライム、サスペンス、アクションの妄想&期待をふくらませてくれるアイテムを見るだけでもうワクワク。覆面とサイレンサー銃となると、隠密行動が行われるのは確実。誰が、いつ、どんなヤツを狙うのか!?
大金が集まり、夢と野望が渦巻き、24時間眠らないのがラスベガスという街。そこで犯罪が行われる、それも金庫破り!? 傑作映画ぞろいの設定が3つも重なるなんて……こりゃもう見るしかないじゃない!
日頃見られない裏社会の実態やいかがわしい世界を目撃できるのが、クライムものの真骨頂。「汚職警官」「バディ」「マフィア」などなど……ヤバさを感じさせるキーワードの応酬に、心拍数が上がる!
メジャー作品が少なくなったニコケイだけど、ときどきトンデモ作品にも出ちゃうニコケイだけど、それでもやっぱり気になっちゃうよ。高い演技力と、そこにいるだけで目が離せない存在感はどうしても気になる!
そして、ヒゲを生やして出演してるニコケイには何かある! 「ハングリー・ラビット」「ワールド・トレード・センター」「キック・アス」「コン・エアー」……ほら、やっぱり!!
イライジャ・ウッドといえば「ロード・オブ・ザ・リング」。指輪を捨てに行くあの旅は壮絶だったよなあ……。イライジャの姿を見れば、毎年続編が公開されていた、あの熱く燃えた日々を思い出してしまう!
そんなホビット族のフロド=イライジャ・ウッドと、ニコケイ(しかもヒゲ面!)が並びでポスターに映っちゃってたら、注目するなと言う方が至難のワザ。ほんとニクいよこのキャスティング、気にならないはずがない!