劇場公開日 2014年10月18日

「恋愛の正解は難しい。全ての"逆上がりができない男子"に捧ぐ!」惑星ミズサ さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0恋愛の正解は難しい。全ての"逆上がりができない男子"に捧ぐ!

2015年12月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

田舎町。ミステリーサークルが現れる。のほほーんな雰囲気と、なんだか若干の不穏さ。閉塞感と、お洒落感。不思議なムード。
提灯屋の息子のヨシスケ(藤岡英樹)は、ふらっと入った風俗店で、ミズサ(佐津川愛美)という風俗嬢と出会います。
ミズサは関西弁の可愛い女の子で、自分は宇宙人だと名乗る。しかも風俗嬢としてHなことをし続けるのは、地球を救う為だと告白してきます。Hなことを止めると、地球が滅亡してしまうのだとか。
でも、なんだか不思議な魅力のあるミズサが、気になるヨシスケ。
田んぼのあぜ道に立っている掲示板で言葉を交わすうち、ヨシスケはミズサのことを好きになるんです。
当然、こう言い出します。
風俗嬢を辞めて欲しいと。
ミズサが風俗嬢を辞めて暫くすると、本当に得体の知れない黒い物体が空を覆い始める……。
びびったヨシスケは、ミズサにこう言います。
「風俗嬢に戻ってくれ」

ラストで、リリー・フランキー演じる風俗店主が「逆上がりはできなかった」と言います。
店長は常々、地球最後の日には子供の頃にできなかった「逆上がり」をするって宣言してたんです。
黒い得体の知れない物体を見たのでやってみたけど、できなかった。
風俗嬢に戻ったミズサは、それを聞いて涙を流します。
この涙を見て、ミズサってやっぱ宇宙人で地球を救う為に風俗嬢に戻ったんだ!
って思うのには、私はちょっと年を取り過ぎています。
つまりですね。
ミズサにとっての"世界の終わり"と"逆上がり"ってなんだったんだろう?ってことです。
過去につらい経験をした女性には、それぞれに正解スイッチが存在するってことなんです。
そこを押されないと、どうしても怖くて前に進めない。
ミズサの場合の正解は、「お前が他の男に抱かれるくらいなら、地球なんか滅びてもかまわん!」
だったんじゃないでしょうか。
一緒に滅びよう。風俗嬢に戻らんでもいい!
そうすればミズサは、王子様に戻ったカエルになれたような気がします。
であれば、空を覆う得体の知れない黒い物体の正体は、風俗嬢のミズサの過去を受け入れることができない、ヨシスケの心に広がった不信感のメタファーだったのかも知れません。
人によってはこの真っ黒のものが、嫉妬であったり、束縛であったり。
人を恋することで生まれるのは、決して綺麗な暖かいものだけではなかったりします。それこそ、キャッチにあるように「ぐるぐる」する感情だったりします。
風俗店主も、誰かを恋したのでしょう。
心に広がったネガティブな感情を目の前に、子供の時にはできなかったことを乗り越えようとした。けど、できなかった。
いくつになっても、乗り越えられない。
恋愛の正解は難しい。
私も、逆上がりがなかなかできないです。

予想以上に、じわじわくるお話でした!
テイク・シェルターに、エンド・オブ・ザ・ワールドを足したような、不思議な世界観。
脚本・監督が、佐藤竜憲さん。本作が初長編監督のようですね。公開までは東日本大震災とか、出資者が姿を消したりとか、そうとう難航したようですね。公開まで4年かかったようです。
佐藤竜憲監督、注目していきたいと思います。

※ただミズサの関西弁が下手くそで、うち、ちょっと笑ってしまうねん!
あ、熊本出身です。すみません。

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さぽ太