劇場公開日 2014年11月14日

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「魔女狩り?」デビルズ・ノット とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0魔女狩り?

2023年11月4日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

猟奇殺人。人々の不安、かわいらしい子どもへの同情から、人々は生贄を欲しがる。
 それは現代のマスコミ、SNSでの炎上をみても、簡単に再現されること。
 なんであの証言でこの結論かなあと、映画を鑑賞している私達は冷静に判断できるが、次の被害者は自分や自分の大切な人かもしれないと思うと、早くに恐怖の対象を取り除きたくなり、誰かをつるしあげることで安心を得ようとする。
 また、周りの人と違う意見を表明する勇気。へたに表明すると表明したものが魔女に仕立て上げられる恐怖。
 いじめの歯止めがかからなくなるのと同じ。

悪魔崇拝。
 日本だとピンとこないけど…。
 発見された、さらわれた子どもの遺体から内臓が抜き取られていたというニュースを悪魔崇拝に関連付けた記事が新聞に”よく”載る南米。南米で暮らしていた時、「隣の子どもが生贄に…」と真剣な面持ちで語った同僚。
 ネットで見ただけだけど、アルビノを生贄の為に襲ったというニュース。
 『ミレニアム』という映画にも出てきたっけ。
 物語の世界だけだと思っていた悪魔への生贄。現実のものかもしれないと言う恐怖。
 お互いの不信感・漠然とした不安。誰でもいい、対象を特定させて排除して安心したい。その一途な想い。そこだけをみると、強くない人々の、善良なる想いなのに、なぜこうなる。

「誰が犯人か」
 実話ベースだけあって、そこはすっきりしない。ミステリーとして観ると評価は下がる。
 普通の人がもっている人間のエゴ・闇を描き出した作品として秀逸。

良くわからないけど、USAでは再審制度ってないのかなあ?それとも貧困層の子どもたちだから、親も動かなくて、お金もなくて再審請求しなかったのかなあ?
 そんな貧困はこの日本ではあってはならない、このような捜査・裁判はしてはならないと決意したい。

デハーン氏目当てで鑑賞。
 怪しいような、怪しくなさそうな、そんな演技は、出番が少なくとも印象に残る。けれど、もっと物語をかき回してくれてもと期待がアップして。否、これは実話ベースだから、ここだけを膨らませるわけにもいかないし。
 あのシーンだけで、怪しさ/怪しくない雰囲気をあれだけ出せるのはデハーン氏ならではと思う反面、何もデハーン氏使わなくともと、デハーン氏の演技力が生かされていない感じが勿体ない。

とみいじょん