「ザ・タウン」の別バージョンのようにも感じられる一作 
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『アルゴ』で映画界の高みに立った後、ベン・アフレックがもう一度、ホームグラウンドであるボストンへと舞い戻り、そこを起点とした抗争劇を描き尽くした一作。本作にはアフレックの弱みと強みが同居している。強みはその土地の濃厚な空気を描き出すことができる点。俳優同士の互いにジリジリと視線を絡ませるような緊張感も随所に介在する。その一方で、これまで彼の監督作では封印してきた、甘い演技が復活しているのが難点か。禁酒法時代に特有の、煙草の煙がゆらりと立ち昇るゆったりした物語運びと、彼の曖昧な笑みは、そのテンポに不慣れな観客にとってダルさを感じさせるかもしれない。だが、本作が救われるのはクリス・クーパーとエル・ファニング演じる父娘が現れるあたりからだ。彼らの堕ち方はリアルで、不気味で、この映画の凄みとなって突き刺さる。そしてラストの余韻は、筆者の目にはどこか『ザ・タウン』の別バージョンのようにも感じられた。
映像美も楽しめるギャング映画
禁酒法時代のギャングを描く映画というと、古色然とした映像タッチになることが多いが、このベン・アフレック最新作はクリアで高精細な映像美を追求した印象。マイケル・マン監督の「パブリック・エネミーズ」も似た傾向があったが、あちらはデジタルカメラ特有の冷たさが気になったと記憶している。本作はクールだが味わい深い絶妙な映像に仕上げてきたように思う。
中盤まではアクションを比較的抑えめに進めるぶん、終盤のホテルでの銃撃戦シーンが大いに盛り上がる。アフレックの仏頂面も、感情を押し殺すこのキャラクターにプラスにはたらいたようだ。アクションといえば、屋上から人を突き落とすシーンなど、VFXをさりげなく使ってインパクト大の効果を生んでいる点でも楽しませてくれる。
奇をてらわずクラシカルで美しい
原作を読んでみたくなった。地味ではあるものの画になるし格式を感じる禁酒法時代のギャングモノ。すぐぶっ放さずでもクライマックスでトンプソン撃ちまくる爽快感。
エンディングテーマもあってる。
タンパ、マイアミの川、海、橋の景色が美しい。
最後のシエナミラーのクズっぷりが見もの。イギリスのドーチェスターってそんなに底辺の街なのか。
ゾーイサルダナは相変わらず細い、細過ぎ。
ブレンダングリーソンの親父っぷりがいい。
エル・ファニングも魅せる。
ポスターのシーンがクライマックスとは。
母を失う男家族三代記。
第一次世界大戦に行って誰の命令にも従うのをやめたアウトローの物語。
なるべく人は殺さず正直に夜に生きる。
夜への憧憬
愛国心、正義、平等、公正、常識、モラル等は、反する事は許されず、守る事が義務となる。また、組織に所属していれば、これらの義務は自分では決められず、指図に従うが、その指図が必ず正しいとも限らない。これらの義務を無視して自分のルールを決める、反社会的サイコパスは願い下げだ。だが、自己都合を優先して夜に生きる。男にはそんな願望がある。
レビュー
ベンアフレック監督・主演、ディカプリオ製作、エルファニング出演と、この字面だけでもお腹いっぱいだが、内容も展開がいくつも用意されており、濃いストーリー。
正統派ギャング映画
父親が警視正の家庭で育った主人公(ベン・アフレック)は第一次世界大戦に出征した後、ならず者になって帰ってくる。
強盗を繰り返し、ボスの情婦と恋仲になってしまう。
三人の女性が登場、エル・ファニング、シエナ・ミラー、ゾーイ・サルダナと個性派をそろえている。
現実味のあるギャング映画
アクションが比較的に抑えられていて、人間ドラマに重点が当てられていることがとても良かった。父親との確執、マフィアの愛人との別れと再会、KKKやロリッタの宗教色、細部までいろんな現代にも通じるアメリカの社会批判が込められていて、なおかつ成功と代償、筋書きが良くできている。
与えられた人生はひとつだけ、それを生きる
禁酒法時代のボストン。父に反発しギャングの世界に足を踏み入れていく男の人生を描く。
「悪事は不況知らずだ」そんな優雅にかます男達も結局、因果応報な運命には逆らえずなんですよね。
禁酒法の時代を詳しく調べてみたら何とも穴の多い法律だこと。
征圧された生活の中で娯楽のお供となる女性たちはどんな存在だったんだろう。
自己主張なんて可能だったんでしょうか。そんなことも考えながらの鑑賞。
原作を読んでみたくなりました。
男性陣のセットアップにハットのスタイルは素敵。
ただエル・ファニングを筆頭に女性キャストをもっと艶やかに撮ってほしかったなぁ。
完全にベン・アフレック堪能目的でしたがやっぱり「パパが好き」に落ち着く。「ゴーン・ガール」のときのダメ男も捨てがたいけれどへたくそに笑う「パパ」なベンアフが好き…!
駄作
抑揚もない駄作。興奮や感情の機微を感じたい人にはお勧めできません。暇つぶしの2時間にももったいないかも。劇場で観なくてほんとによかった。
良い映画
ギャング物なんだけど、なんか違う?…今だに頭の中はゴッドファーザーがこびりついとる…俺の頭が錆びついとる(笑)映画は面白かった。
順当なノワール映画
殺しを好まず、どの組織にも属さないジョーはある組織のボスの娼婦と恋に落ちる。しかし、その事が彼の道をさらなる闇に染め…。
B・アフレック監督脚本主演作。禁酒法の時代を描いたノワールで最後まで予想の域は出ないが淡々とした雰囲気は好き。E・ファニングがとにかく可愛い。
アフレックの2流品
たぶん、導入部の写真をみるとアメリカ人はぐっとくると思う。
建国と正義と、そして義務と責任。禁酒法が悪かったとは思わない。ひとは右へ左へと右往左往する存在だ。国もおなじだ。禁酒法時代の話は、面白いし、ぼくも大好きだ。だから、たくさん観てきた(笑)それは、きっと日本的な管理社会と対局だったからなのかもしれない。
つまり、個人の自由度が高くて、起業のチャンスが高かった。当時はひとを殺し、いまは業態をAIとロボットで変革する。どちらも殺すことに変わりない。それが時代だ
ベン・アフレックらしくなくて、全体はどうでも良い映画になっている。演技は良いけど、映画はむずかしい。
大人のTHEギャング映画
近年の活躍が目覚ましいベン・アフレック。ゴーン・ガールやザ・コンサルタントなど、次々と面白い作品への出演や製作に関わっています。自らがメガホンをとり主演も務めた本作も、映画愛に溢れた上質な”THE映画”でした。とにかく映像が、どこを切り取ってもカッコイイ!時代感の演出、ギャングや宗教の世界観を怖くもあり美しくもある描き方をしていて、本当に素晴らしかったです。何よりストーリーが面白く、成功と墜落を繰り返しながら登り詰めていく波乱の人生にハラハラさせられながら、哀愁たっぷりの締め括りにジーンとなる終幕。あぁ〜いい映画観たなぁ〜という気持ちになります。主人公ジョー・コフリンを演じたベン・アフレックはもちろん、父親役のブレンダン・グリーソン、ロレッタ役のエル・ファニング、最愛の妻を演じたゾーイ・サルダナ(肌を青く塗ってないと、こんなに美しいお方なんですね笑)、そして相棒役ディオンを演じたクリス・メッシーナさんと、最高の演技を見せてたと思います。エンドロールで驚いたのは、製作にレオナルド・ディカプリオの名前が!大人のギャング映画、上映館数少なめですが、劇場鑑賞マストです。オススメです!
夜を生き、朝に生きる
オスカー作品賞に輝いた『アルゴ』以来となる、ベン・アフレック監督作。
と言う事で期待されたが…、今回は興行・批評共に撃沈。
でも、何の何の、今作も面白かったぞ!
監督デビュー作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』(傑作!)と同じデニス・ルヘイン原作。
禁酒法時代のボストン。戦争から帰還後、警察幹部の父に反発し、犯罪の道を選んだジョー。
ギャングのボスの愛人と愛し合うが、それがバレて半殺しの目に遭い、女は殺され、自分も警官殺しの濡れ衣で逮捕される。
出所後、復讐を誓うジョーは敵対ギャングの一員となり、新天地フロリダで酒の密売とカジノ建設計画でのし上がっていくが…。
ギャング、禁酒法時代、抗争、クライム・ドラマ…大いに食指をそそる。これらが好きな方は見て損は無い筈。
犯罪の世界を生きる悲しい性、非情な世界…監督2作目『ザ・タウン』(これまた極上作!)とも通じる。
関わったが為に人生が狂わされていく。クリス・クーパー演じる警察本部長とエル・ファニング演じるその娘の運命は沈痛。
銃撃戦は勿論、復讐と野心と裏切り、哀愁やロマン。見応え充分。
正直、何故アメリカでは不発だったのか、不思議。
自分に見る目が無いのか…?
確かに、エピソード詰め込み過ぎ。前半部分だけで一本の作品に出来る。
骨太のクライム・ストーリー一本で話が進むと思いきや、ラブ要素やちょい宗教要素、着地は意表を突く感動的な終幕。
要は、てんこ盛りのエンターテイメント。
再び賞向けかと思いきや、エンタメに徹し過ぎたのが期待にそぐわなかったのか…?
でも、ベンアフだって賞狙いじゃなく、往年の同ジャンルを彷彿させる娯楽クライム・ムービーとして作った筈。
それに、一人の男の生きざまとしても余韻残る。
“夜に生きる”という邦題がいい。
この“夜”とは朝昼晩の事ではなく、犯罪の世界の事であろう。
犯罪の世界でしか生きられない。
しかし、犯罪者ではあるが、決して悪人ではない。
自分の生き方に葛藤しながら、女を愛し、のし上がり、ケジメを付け…
そんな男が欲したのは…
“朝”を生きたかったのだ。
ベンアフレックがかっこよく見える病気 
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ゴーンガールあたりからベンアフレックがかっこよく見えるという謎の病気にかかっていまして、この作品もベンが見たくてみることにしました。病気ってゆっちゃうととっても失礼ですが、自分でもよくわからないのですが、なんかかっこよく見えちゃうのですね。
シエナミラーの化けっぷりがすごかったです。最後まで誰か分からんかったです。
禁酒法時代のギャングの話です。
この手の物語の素養がない私ですが、夢中で見ました。先の予想をしたり、時間配分を考えたりすることなく集中して見ました。グロ、バイオレンスは苦手なんですが、それでも見られる程度かと思います。
禁酒法時代のギャングものって、多分定番なんだと思うのですが、素養がないのでとても物珍しくみられました。
主人公は恵まれてる人ですね。
お父さんが弁護士を脅して、懲役3年で済んだとか、ズルに助けられてます。
ギャングとマフィアの定義の差異ってなによと思いました。
ジョーはギャングだけどマフィアじゃないってゆうてました。
まあ、ジョーがええ人に描かれすぎな気もしますけどね、一途で悪事は働いても信念はある、みたいなね。ずるくない?ってね。でも、面白かったです。
最近エルファニングの出ている映画をたくさん見ているのですが、ここでもよかったです(ほいで最近ダコタみやんけどどうしてるんやろね)。
ドラッグに溺れたことを父に責め続けられ、やがて堕落を悔い、布教に活路を見出したかと思いきや(それがジョーの計画を狂わせるわけです)、最終的には自殺してしまうという、哀しい少女でした。
南部のプロテスタントのちょっと行き過ぎた禁欲的な感じとか、KKKがなんかふつーの思想っぽく思われてた時代なんやーとか、いろいろ、そうなんやね知らんかった、ってことがあって、勉強になりました。
グランシエラの顛末はかわいそうでした。そしてグランシエラ役のかたとってもきれいな人でした。
ホテルでのイタリア系、アイルランド系のどちらのマフィア(ギャング?)にも狙われる羽目になったジョーが、地の利を生かして勝った(つまり殺しまくった)あたりは、趣味ではないのですが、悔しいかな面白かったです。
もうベンアフレックをかっこいいと思う病気だなんていわず、ちゃんと好きって認めてちゃんとファンになった方がいいなって思いました。
ベン・アフレックの娯楽ギャング映画。哀しくも映画を見た~という満た...
ベン・アフレックの娯楽ギャング映画。哀しくも映画を見た~という満たされた気分になりました。
渋い
ジョー・コフリン(ベンアフ)は子供のころ、オペラ鑑賞の帰りに遭遇した強盗に両親を殺害されていた。
孤児となったジョーは執事に育てられ、表舞台では悠悠自適な富豪として暮らしていたが、街の平和を守るために自警団として犯罪者を私刑に処する裏の顔を持っていた。
やがてダークヒーローとしての活躍が自分や周囲の人間をも脅かしていく。そう、これは『夜に生きる』ことを決めた悲しい男の話であった…🌙
というウソはともかく、本作は禁酒法の時代のギャングの話🔫
法律なぞどこへやら、街ではマフィア・ギャングがしのぎを削り、一般人にまで被害の出る始末。
いつどこでだれが死ぬかもわからない時世の中、ベンアフも静かな凄みで夜を生き抜こうとする男を演じきりましたが、さいしょの緊張感が徐々に薄れてきてしまい中だるみを感じる映画でしたね😪
序盤は酒と男と女と銃と、って感じで裏切りと疑惑の錯綜する雰囲気にドキドキしたのですが、実のところ攻めより受けでしぶとく生き残る男の話であって、自然と地味な感じに。
ジョーの寡黙で落ち着き払ったキャラに対して、ディオン(C・メッシーナ)の飄々とした印象が対照的ではありますが、もーっとディオンがうるさいやつだったらよかったかなぁ📢
ただ衣装や美術はものすごく目をひかれました。
サスペンダー姿のベンアフですとか、壁紙やらがいちいちステキ。
エル・ファニングの透明感のある少女っぽさと白を基調とした衣装の相性とかも。
あ、悪役としてすごいバカがいるんですが、そいつの着ていたニットベストの色と柄がかわいくて字幕をムシして見つめてました🎽
バカだからどうせ大したセリフしゃべってなかっただろうし、たぶん問題なかったはず、うん。
カーチェイス中にも(車ピッカピカに磨いてあるなぁ…。もっと砂埃とかで汚れてるもんじゃない?)ってのも気にはなったんですけど。
変なとこばかり観てたなぁ💨笑
新宿ピカデリーにて観賞
話は巧くないし、盛り上がりにも欠ける。クライマックスの急な娯楽アクション展開も違和感がある。
アフレック自身の演技も知性よりナルシズムが優先している。
イーストウッドの後継者にしては滑り方も味が無いが、ブレンダン・グリーソンやエル・ファニングといった脇の演技の付け方を見ると次に期待は持てる。
単調なストーリーに光る、己を信じて生きていくことの儚さ。
【賛否両論チェック】
賛:混乱の時代の中で、自分の信念を貫こうと奔走する主人公の硬派な姿に、人生の儚さを見るよう。
否:展開はただストーリーを追うだけの単調なものなので、興味がないと眠くなってしまいそう。
戦後の混乱期にあって、自らの信念でアウトローを貫き、やがて成功を収めていく主人公の姿が、ニヒルに描かれていくのが印象的です。
そして後半では、どこからか徐々に道を違えてしまった主人公が、傷ついた1人の少女との出逢いから、また己の信じる道を歩み始める様に、生きていくことの厳しさと儚さを垣間見るようです。
ただ悪く言うと、単純にストーリーを追うだけの展開で、非常に淡々と進んでいくので、特に感慨もなく眠くなってしまうかも知れません。
良くも悪くも、結構重厚な作品ですので、気になった方は是非。