劇場公開日 2015年1月17日

  • 予告編を見る

「父と子、そして兄弟」ジャッジ 裁かれる判事 竜虎さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5父と子、そして兄弟

2015年8月26日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

簡単にストーリーをまとめてしまうと、故郷を捨てたやり手の弁護士が、母の死と父の事件を機に帰郷し、そこで家族そして自分自身を見つめ直すことになる再生のストーリー
コンセプトは、一見既視感を得るかもしれないが、法廷という場で展開され真実とは何かを問うというテーマが絡み難しい判断が投げかけられる為、決してそんなことはなく寧ろ新鮮である。
また真実の解明と、家族の再生が交互に進退を繰り返すので話の中だるみもなく、上映時間はさほど感じない。
そして重苦しくなりそうな空気を、立ち振る舞いや細かなギャグで和ませるのは、昨今のロバートダウニーJr.らしい演出だっただろう。
またロバートデュバルの演技は圧巻であり、二人の掛け合いは鬼気迫るものがあり、それでありながら分かり合えない悲しさが滲み出ていてとても感情移入しやすい。
上記の通り総じて高評価だが、幾つかマイナス点もある。一番大きいのは、恋愛面だ。別に故郷に行けば元カノがいるのは分かるし、昔を懐かしむのも分かる。ただ離婚協定中の身で、家族に問題を抱えているのに完全によりを戻すような描き方をしているのが、映画の雰囲気にマッチしてないように感じた。せめて第一段階としての友人に戻るぐらいの描写にしてくれれば良かったのに。
それともう一つ最終的な事件の結末が少し消化不良な感じが否めなかった。罵られたのは分かったし、記憶が無いのも分かるが、自己判断が出来なかったわけではなく、実際ロバートデュバルが引き返したタイミングは早かった訳である。それなのに真相は有耶無耶にされた形で、推測の内で判決は下される。判決については妥当だったと思うし、そこに疑問はないが少し逃げた印象が残る。

最後に、ロバートダウニーJr.とロバートデュバルは勿論良かったが、他の兄弟二人や検事たちもきちんと描いていたのはとても好印象で、特にデールの存在はこの映画自体にとてもいい効果を与えたと思う。

竜虎