劇場公開日 2014年8月23日

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グレート・ビューティー 追憶のローマのレビュー・感想・評価

全20件を表示

3.5不思議な映画

2024年3月16日
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面白いんだか面白くないんだか分からない、けど見終わって嫌な感じは残らない。あらすじには初恋の女性が亡くなって虚無感を、みたいに書いてあったけど冒頭の65歳の誕生日ですでに始まっていたみたい。書けない(書かない?)作家ってのがちょっと手垢のついた感じで、ん?と思ったけどまあ映画スターってわけにもいかないし、これが妥当か。この物語が成立するのはローマだけな気がしますね。東京でもパリでもミラノでもダメで、ましてやニューヨーク、ロンドンなんて話にならない。ローマに行ってみたくなる映画でした。

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三毛猫泣太郎

2.0うーん

2023年7月9日
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単純

美しくもカッコよくもない人達。何か特徴的な顔の人ばかりではある。ジジババのパリピは見ていて本当にきつかった…映画好きの友人が感想を聞きたいとの事でなんとか頑張ってみた。出だしでキツかった…確かにローマは綺麗だけど、それ以外が全て汚いと思ってしまったし薄っぺらい上に長いとも感じてしまった。
マザー○○○みたいなババアも実際のマザー○○○はいろいろ闇深な人物だから、あのキャラを神聖な存在に思えなかったし、根っこが大事ってベストキッド3かよ(笑)と思ってしまった…ファッションにも興味ないし、昔の自分はイケてたと思ってるような人が見ると何か来るものがあるのかな?結局好き嫌い問題になってしまうが、嫌いな映画であっても好きっていう人の説明でなるほどと納得する事は時たまある。しかし、この作品はいろいろそういった評価を読んでみても、うーんとしか思えない。悪い意味でポエムって印象。未来が完全に無く死しか残ってない状態でみたら良いと思えるのかな。過去の栄光にとらわれてる事を人間味と考えられなくもないが、自分の美学的には後ろ向きは好きじゃないので。
もしかしたら、このムカつく感じが意図的に空虚を描いてるのかもと解釈出来なくもないが、やっぱり対比として、じゃあ美とは?と何も得られるものが無い。もしかして無いって事?哲学ですなぁ

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yoshuggah

4.5ローマの壮大なる歴史的建造美を背景に、退廃的享楽に浸る皮肉な老小説家の内面的変遷を描く

2022年5月15日
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「主役の老小説家はまるで”私自身”のようだ」と共感できた者であればどっぷり映画の世界観に浸ることができるかもしれない。
主役ではなく配役の中の誰かに共感できても。

仮に誰にも共感できなかったとしても、ローマの映像描写と種々様々な音楽の組み合わせの妙を感じ取れたなら、それらの視聴に身を委ねるだけで”何か”が内面から湧きあがってくるかもしれない。

そして”何か”を把握しかけ、再度の視聴欲求が生じたなら何度か見ることで、最初は訳わからなかったことが有機的関連を持っていたことが理解され納得できるようになるかもしれない。

しばらく間をあけてもう二三度は見ることになりそうな予感。

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resuwisshu311

4.0Magnifico(マニーフィコ)

2021年12月10日
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色彩と音楽とイタリア語に酔う映画。

これは、私好み。

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大粒 まろん

5.0【とどのつまりはトリック】

2021年12月10日
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映画は総合芸術だ...なんて言う人は、昔はそれなりにいて、なかなかうっとおしいなと思っていたが、今、映画のレビューを読むと、映画は娯楽だとか、伏線回収だとか単純化されたところに重きを置く人が結構いて、伏線を認(したた)めずに脚本云々する人が相当数いることに驚く。脚本家を志している人が多いのだろうか笑

この「グレート・ビューティー」は、こうしたところに楔(くさび)を打つと同時に、映画とは(実は、僕たちの生きる世界も)、愛情を示しながらも、実は、こんな程度のものじゃないかと、シニカルにも表現しているように感じる作品だ。

この作品の映像は絵画的で、会話は詩的で示唆的、時にシニカルで、物語は、ゆっくりだがリズミカルな歌や小説のように流れ、静謐な一方、実は滑稽だったりする。

映像、会話。

一瞬たりとも目が離せない感じだ。

明るい屋外での影。

暗い夜や室内の中での灯り。

明暗の割合を調節、配したような映像は、時にカラヴァッジョの絵のように感じるし、時に谷崎の陰翳礼讃を彷彿とさせる。

イタリアの都市の中で、ローマほど聖と俗が混在する都市はないだろう。

いや、世界のどこを見ても、これほど、聖と俗が混在する都市は見当たらない。

僕は、この作品はコントラストが重要な要素だと思う。

聖と俗は当然、映像の光と影、陰影、社会の裏表、人の外面と内面、現在と過去、静謐と喧騒、礼賛と皮肉。

「大いなる美を求めたが見つからなかった」と言うジェップに対して、

「草の根を食べる理由は、根が大事だから」と言うシスター。

これも、対比だ。

小説を書こうかというジェップに対し、上っ面の美を求めるより、オリジンを見つめ直すべきじゃないのかと言っているのではないのか。

「旅は有益だ 想像力を誘う あとは幻滅と疲労のみ 生から死 人間 獣 町 もの すべて見せかけ つまり小説 作り話 辞書にもそうある しかも目を瞑れば 誰でもできる」‐ 夜の果ての旅(セリーヌ)

冒頭の詩だが、映画もそうなのではないのか。

「幕切れは決まって死である だが それまで生があった あれやこれやに隠されて すべては駄弁と雑音の下に埋没する 静けさと情緒 感動と怖れ 美しさの わずかで不規則なほとしばり それから理不尽なおぞましさと哀れな人間 すべては生きるという 困惑のもとに埋葬される かくかくしかじか 彼岸が存在するが 私は彼岸には関わらない こうして この小説ははじまる とどのつまり ただのトリックだ そう ただのトリックなのだ」

最後のジェップの詩だ。

とどのつまり、僕たちの世界も、ただのトリックなのかもしれない。

この作品が撮られた時期は、ヨーロッパが、南欧を中心に経済危機に瀕していた。

イタリアは、ギリシャやスペイン、ポルトガルと同様、”放漫財政の南欧周辺国”と一括りにされ、経済危機の元凶とされていた。

その財政立て直しは過酷で、社会福祉は削られ、コロナ禍で、イタリアが他の欧州諸国より、感染者や死者が多く、苦しんだのは、こうした影響もあると考えられている。

この作品は、ローマを題材にしているが、これは僕たちの世界そのものだと思う。

この作品の終盤のシスターとの会話で示唆されるようにパオロ・ソレンティーノは、次の作品で、自分のオリジンを見つめることになる。

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ワンコ

3.0人間・この劇的なるもの

2019年2月15日
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実に雄弁な物語だ。
中盤までは匠の皮肉を笑い、怒涛の後半へと突入する。
何処までも広がる未来を死を通して見つめ直す。

目を閉じればいつでもあの海が横たわる。
語るのではなく、そこに生きる。
共に船出を祝おう。

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たろっぺ

2.5気だるい昼下がりのような

2018年6月13日
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鑑賞方法:VOD

知的

難しい

画面に集中できる環境でないとこの映画を味わい尽くすことはできないだろう。映像美と音楽がマッチしてた。

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mimiccu

5.0イタリア人にとっての「ローマ」

2017年3月11日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

幸せ

主人公ジェップ(トニ・セルヴィッロ)の65歳を祝うゴージャスで素敵で下品な誕生日パーティーのドンチャン騒ぎがしばらく続き、人混みの中で振り返る笑顔のトニ。映画がある程度進んでからやっとの登場なのでトニのファンはとてもじらされる。それ程、ソレンティーノ監督はトニの出し方が上手い!

25歳の時に出版した小説で文学賞をとり、一躍文壇デビューしてその後1冊も書いていない作家のジェップ。インテリで金持ちでローマ中のセレブと知り合いでパーティーに明け暮れ昼夜逆転の日々を過ごすジェップは、半分世捨て人に見える。そういうジェップが友人達と女性編集長と家政婦とかわすお喋り、言葉が皮肉たっぷりだったり、攻撃的だったりする。本心でもあり演じてもいるような気もする。言葉を発しない沈黙のジェップは、見ている、聞いている、感じている。そんな所にトニの存在と演技力が半端ないことがわかる。

ジェップが登場してから海のイメージが出てくる。海は彼にとって初恋で若さで小説だ。その海にまた向かって生き始めることに、遅すぎる、ということはない。映画の冒頭からあちこちに死が散りばめられていても、いるからこそ、生は美しい。

色々な人物が登場する中で印象的だった3人。「天才画家」であるまだ子どもの女の子、古くからの友人の娘でいい年なのにストリッパーをしている女性、そして狂気の世界に住んでいる青年アンドレア(ルカ・マリネッリ)。アンドレアは体全部を真っ赤に塗ったりしてる。心配するママに僕は狂っていないと言う。彼の眼が強くて忘れられない。車を猛スピードで運転して途中で目を瞑る…。教会の葬式では、アンドレアの棺を担ぐ「友だち」が誰も居なかったことに涙が出そうだった。ジェップが自分の友人らに目で合図して、アンドレアからしたら親世代の年齢の男性たちが立ち上がる。葬式では泣いてはいけない、遺族がすることだから、と言っていたのにジェップは棺を肩にして激しく泣く。

そのアンドレア役のルカ・マリネッリが「マルティン・エデン」で主人公マルティンを演じている。適役だった。逞しい身体と何より眼!

しばらくぶりに見たら、見落としていたり勘違いしていた箇所が沢山あった。好きな映画ほど、時間をおいて何度か見るのはやっぱりいいなと思った。イタリア人の美的感覚をインテリア、服、靴、化粧、髪型で改めて確認!(2020年9月24日)

さらに追記:音楽と映像の関係がとてもいいと思いました。それから言葉。すぐ暗記できない悲しい頭の自分、かといってすぐさまメモすることもできない自分!そんな自分にがっかりしながらその言葉を正確ではなく、でも自分なりに捉えようとする。そんなことができるのでこの監督の映画に私は惹かれるのかもしれない。

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talisman

3.0人生の終盤

2017年1月10日
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ローマの風景が美しいからと、すすめられて観てみた。イタリア人は歳を重ねても、色気があってオシャレでカッコイイ。人生の終盤にも、生きる喜びや、まだ手に入れたい何かを求めている。かっこよく歳を重ねたいと思った。DVDで見ると、集中力に欠けて、途中少し飽きてしまった。

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yumeko

4.0よかったよ

2016年5月31日
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人生周りには美しいものがある

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piroron8

4.5「我々の電車ごっこはいいね。どこにも行き着かないんだ」

2016年2月8日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

楽しい

興奮

知的

観てすぐに連想されるのはおそらくフェリーニの「8 1/2」でしょう。
圧倒的な絵力と音楽。
古代から続くローマを舞台に、虚無に気づいている作家の人生を
退廃的に美しく描いてます。
久しぶりにいい映画観ました。
92点。

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neonrg

4.0フィルムが秀逸

2015年11月3日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

難しい

65歳になるまでセレブとしてパーティに明け暮れ、退廃的に時間を浪費してきたであろう主人公が、ふと「望まぬ行為に時間を費やす暇はないのだ」と呟く。

美しいローマをあてもなく彷徨う晩秋。
そして、人生は何をしていても過ぎ行くのだ。そう例え「この人達は、何も出来ない人達なのよ」と言われても。後悔をしたとしても。

フィルムはここ最近の監督では、トップクラスに入るほど秀逸だと思うのですが、観念的な作品なので観る人を選ぶと思います。

ごまかしのきかない年齢に差し掛かった時に、主人公の吐くラストの言葉は、生きることに嫌でも向き合い、遅くなりながらも生きることを始めようとしている様に思いました。人生は永遠ではなく、慰めがあるわけでもなく、知らなかったやらなかった事が多すぎて、それでもそれでも自らに蓋をして、諦観することは到底出来ない。気がついたのが、晩秋に差し掛かった時であっただけ。いや、本当はずっと分かっていたことだっただけ。

「幕切れは決まって、死である。
全ては生きるという困惑のもとに埋葬される。私は彼岸には関わらない。こうしてこの小説は始まる。」

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ミカ

0.5理解不能

2015年6月3日
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鑑賞方法:DVD/BD

難しい

寝られる

冒頭から絵面の汚い乱痴気騒ぎが延々と続いた時点で観るのをやめようか?
と何度も思った。
そして、結果的にはそうしてもなんの問題もなかったし、そうした方がよかった。
自分では達観したつもりになっているかのようなしょぼくれたじいさんをずっと見せられ、
絵面は基本的にどんより重く薄汚れている。
人生の最終盤を迎えた男の生き様を問いかけているのだろうが、
爪の垢ほどのシンパシーも湧かなかった。
そもそもなぜこの映画を選択したのか?自分に問い、責めたい。

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みみず

1.5音楽と映像はよかった

2015年2月14日
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鑑賞方法:映画館

単純

“黄昏”の年代なら主人公の気持ちが分かるかも。。。ストーリーはイマイチつかみきれなかった。

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ゆき

3.0気怠い昼下がりのような一本。

2014年11月17日
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鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

寝られる

正に黄金の退廃、そんな一本。

乱痴気パーティに始まり、乱痴気パーティに終わる…
時間の止まった都ローマに囚われた、富に追われぬ時間の止まったセレブ達の過去と現在、夢と現を織り交ぜて語られる人生賛歌。

と言って前向きな事は特段ある訳でも無く(主役が65の爺さんだし)
「人生は所詮全てトリック」
で運ばれる物語は、やはりデカダン的退廃臭が強く感じられる。

気怠い昼下がりを楽しめるか、憂うのか…

コレを芳醇と感じられるのがオトナだろうし、「余裕」があると言うことなんだな、と思う作品。

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レビューも書かない阿呆からのフォローは迷惑千万、好きこそモノのヘタレなれ

4.0美と儚さ。

2014年9月26日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

難しい

人生枯れ始めの入口で、享楽的な日々の暮らしに虚無と倦怠を抱き始めたジャーナリストの男。パーティーやセックスに夜毎興じ、それらを楽しむ振りはすれど、心は満たされず。若者のような遊びを続ける年でもなく、その盛りも過ぎている。けれども正体の分からぬ「何か」を得んとする為、ローマの街を一人彷徨い、ローマの街にしがみつく。渇望せずにはいられぬ。その「何か」を求めずにはいられぬ。
皮肉とユーモアを盾に、感性を武器として生きてきた男は、友人知人の人生や生活に干渉し、酒を飲み、またパーティーへと興じる。
そんなある日、若かりし頃に付き合っていた初恋の女性が死んだという一報が入り、彼は心を激しくかき乱す。だが、そこから、生きるテーマがぼんやりと、その目的や照準が、何となく定まりだす。定まりだして、動き出す。再びローマを彷徨い、友人知人にちょっかいを出し、再びローマにしがみつく。

我々庶民の生活とは凡そかけ離れたセレブリティの生活を、男を、映画はただただ映し出す。
美しいローマの世界を、カメラは奔放に駆け巡るのだ。市井を映し出し、情景を映し出し、そして男の行動に寄り添う。

果たして、この男に共感が出来るのか?となると、出来る部分もある。出来ない部分もある。いや、寧ろ共感などしなくてもいいのではないか?という気もしてくる。見方によっては、彼はただ贅沢な暮らしをしながら「虚しさ」を呟くだけのクソ爺だ。ある一方では、何かひとつの高みに登ろうとする聖者にも見える。

きっと、答えはないのだろう。ローマだけがそれを知っているのだ。

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ロロ・トマシ

4.0グレート・ダンディズム。

2014年9月8日
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鑑賞方法:映画館

怖い

知的

幸せ

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ハチコ

2.5余り美しくないローマ。

2014年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

 このような比較をしてはいけないのかもしれませんが、同じローマを舞台にした映画である、フェリーニの「甘い生活」や「フェリーニのローマ」よりはかなり見劣りがします。映像には色々と工夫が施されているのですが、今一つ、切れ味がありません。冒頭の裸の女性たちが入り乱れる乱痴気騒ぎのシーンを見て、観る映画を間違えたな、と思いました。ちょっと下品過ぎます。全体的に見て、俳優陣にも魅力が欠けています。なんだか、男優も女優も全員、干からびているのです。アカデミー賞の最優秀外国語映画賞を獲っているということで、観る方の期待が高まってしまったのでしょう。 尚、劇場は平日ながら、6割程度の入りでした。やはり、日本にはイタリア映画のファンは多いのです。以前、フィルムセンターで特集上映されたイタリア映画祭は大盛況でロッセリーニの「イタリア万歳」は予約の段階で即、完売となっていました。いつか日本でも傑作の誉れ高いロッセリーニの「ルイ14世の権力奪取」が公開されることを願っています。
 尚、映画が終わって一瞬、暗転しても席を立たないでください。エンドロールの背景に川を行く船からの風景が映し出されます。

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bashiba

4.5人間讃歌

2014年8月23日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

良かった!"大いなる美"を探しているが何も書けないとうそぶく老作家を取り巻く上滑りした派手な生活への皮肉な視線と、人間の嘘と弱さへの深い愛情。この辺にソレンティーノ監督の"根っこ"があるんだろうな。"根っこ"のセリフはほほえましかった。光とフォルムの動き、視点の転換、画面構成、台詞回し、ダンス、音楽、全ての旋律とリズムが美しい!

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manambo

4.0人生の黄昏時に

2014年8月8日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

難しい

歴史と芸術、そしてカトリック教の古都ローマを舞台に、65歳の作家でジャーナリストのジェップ・ガンバルデッラの魂の彷徨を描いていく。
本作品は冒頭から死が影を落とす。
映画の中で描かれる幾つもの様々な死は何の前触れもなく登場するので、時に主人公だけでなく我々も置き去りにされてしまう。
そして、これらの死の影を払拭するように何度も乱痴気騒ぎのパーティーが登場し、観ている方も思わず心沸き立つ。
主人公の作家は筆を折って長いこと作品を発表していない。
その理由は映画の中で主人公自らが明かしてくれるのだが、その倦む気持ちは何となく私には分かる。
主人公は私よりほぼ一回り年上だが、人生も終盤になると、現世に対する達観や諦念に囚われてしまう。
作家としてその著作により一角の人物となり、ローマのセレブ界でも有名な主人公であれば尚更だろうと思う。
自らを「俗物の王」と名乗る彼に、ある日初恋の人の訃報がもたらされる。
彼女の死によって虚無に陥った彼は、人生の価値や「偉大なる美」を求めて魂の彷徨を始める。
主人公が彷徨するローマは、登場する夫々のシーンが一幅の絵のように美しい。
その絵に寄り添うような音楽が、時に切なく甘く響き心の琴線に触れる。
本作品でアカデミー賞やゴールデングローブ賞の外国語映画賞を受賞したパオロ・ソレンティーノ監督は様々なメタファーやキーワードを鏤めて、世俗に塗れたこの世の中にある一瞬の美や尊さを垣間見させてくれる。
魂の彷徨の果てに主人公が見出したもの、そして再び筆を執るかどうかは観客の想像に委ねられている。

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玉川上水の亀