「深淵」ファイ 悪魔に育てられた少年 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
深淵
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なんとも分厚い脚本だった。
犯罪のスペシャリスト達に誘拐された少年。
狙撃、運転、格闘、銃、ピッキング。
それぞれのスペシャリストが彼の父親だ。
幼少期から遊びの延長で、それらに馴染み会得していく。
面白いのが、愛を与えられ続けている点。
彼は彼らに愛され続けてた。
本当の父親を、自らの手で撃った事により、父親たちへの復讐が始まる。
見応えある。
それぞれの分野で、父親達を凌駕していく少年。英才教育を施した自らの作品が相手。
スピーディなボディアクションもさる事ながら、カーアクションも臨場感があり絶品だった。
何より、日本では規制がかかる「血」の表現力はやはり見事。
凄惨だし、憐れだし、凄みも十二分。
濃密な作品で見応えあった。
そして、タネはこれだけではない。
彼の本当の父親は、彼を誘拐した主犯格の男だったのだ。
この設定があるが故に物語は螺旋を描くかのように複雑さを帯びる。
その父親からの目線が後半ぐっと存在感を増す。技術は伝えられる。でも、覚悟は芽生えるものなのだ。
同族を育て上げるとでもいうのだろうか?
父親は孤独だったのだと思う。
彼は、本当の意味で彼の息子。彼の血を引き継ぐ誰かを残したかったかの様に見えた。
理解者なのか、無条件に自分らしさを注げる対象なのか。
この辺りに、韓国映画の血脈を感じる。
重厚なテーマをガッツリはめ込んでくる。
かくして
心優しき冷酷な殺人者が出来上がった。
目をひいたのが、会長の側近。
彼はいわゆるその筋の人間なのだが、表向きは青白い几帳面なイケメンにしか見えない。
だが、刑事に脅しをかける時の豹変ぶりときたら鬼気迫る。
勿論、そのやり方も、それを見せる編集も見事なのだけど、このギャップこそが、韓国映画の生命線にも思え見応えあった。
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