劇場公開日 2014年2月22日

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「プラマイでちょっとマイナス出てる」キック・アス ジャスティス・フォーエバー 13番目の猿さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5プラマイでちょっとマイナス出てる

2014年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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口コミで徐々にヒットを飛ばした前作から三年、今度は大々的なプロモーションとともに来日したキック・アスの続編は、前作で欠けていたものが補われたのの、しかしその分差っ引いても前作ほどのインパクトはややなくなってしまっています。

前作では足りなかった、『ゾンビ処刑人』や『スーパー!』で描かれたヒーローの末路のリアリティ、それが本作ではジム・キャリーの最期とキック・アスの親父さんの「現実にしっぺ返しを食らう」という台詞によっていい感じで盛り込まれてはいました。確かに、ちょいとコスプレしただけの人間が、現実に悪と戦ってしまえば無事で済むはずがなく、確実に生活のかけがえのない物が奪われるはずなのです。また悪の演出として、マザーファッカー(クリス)のマフィアの叔父さんの存在も、現実の悪はコミックのそれと違い、あまりにも脈絡がなく冷淡であるという演出に成功しているといえるでしょう。

しかし本当にキック・アスに必要だったのは、そういった因果応報やヒットガールのスクールライフを描いて十代の女の子のリアリティを盛り込むことだったのでしょうか。何というか、あの映画が異彩を放っていたのはなんだかんだ言って年端も行かない女の子が「オ○ンコ野郎」とアウトなスラングを口にし、子供番組のテーマソング「banana splits」をパンク風にアレンジした爽快なリズムとともに悪人を容赦なく切り刻む描写ではなかったのでしょうか。本作ではジム・キャリーが先陣を切ってその爽快感を出す役割を果たしていましたが、どうにも1作目のインパクトに比べたら弱いとしか言いようがないです。おっさんがバット振り回しておっさん殴っても、まあ画面は栄えません。

原作の残酷さやシビアさなどが毒抜きされていたことは前作から指摘されていたのですが、今回を以て改めて映画『キック・アス』には、細かいことを抜きにした痛快エンターテーメントが求められていたということがわかったような気がします。三部作という話がでているものの、その頃にはクロエ・モレッツも流石に成人し、いよいよこの作品の独自性は失われそうなんですけど……大丈夫なんでしょうかね?

13番目の猿