悪の法則(ネタバレ)のレビュー・感想・評価

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悪の法則

劇場公開日 2013年11月15日
29件中、1~20件目を表示 映画レビューを書く

価値観を共有できない相手に恐怖するアメリカ人の姿 ネタバレ

マイケル・ファスベンダー、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム、ブラッド・ピットと豪華キャスティングに、ハリウッド大作系の作品かと思いきや、実に哲学的な台詞の連続で、脚本を担当してコーマック・マッカーシーと、監督のリドリー・スコットの2人の作家性が全面的に展開する作品。
ただ、哲学的な台詞が連続するとはいえ、難解な作品ではない。
要するに、「自分が信じて疑わない絶対的な価値観すら通用しない相手に対して、人は何ができるのだろうか」という事を問うているのだと僕は理解している。

さらに、今のリドリー・スコットが監督をしているという点から、少しうがった味方をすると、本作は現在のアメリカの立場をそのまま描いた作品だと考えると面白い。
自分の価値観や想像力を越える相手と、「ヤバい」仕事や交渉を行う。ヤバい事だとは分かっていても「自分は大丈夫」と自己を過信する。しかし、ほんの少しボタンを掛け違っただけで、相手は突然、終わらない恐怖で追いつめていく。
「いちど動き出すと、だれも止めることはできない。選択肢はない」
「ただ現実を受け入れることだけ」
「お前の悲しみでは、何も買えない。なぜなら、悲しみには価値がないから」
どれも、今のアメリカを象徴するような台詞で溢れている。

殺人器具「ポリート」や殺人ビデオ「スナッフ」は、中東で現実に起きている事の象徴だ。
南米の麻薬組織機の人間は、それが殺人であっても、それぞれが自分の役割を割り切って、淡々と仕事をしているに過ぎない。
アメリカは、そんな中東や南米を「相手」にして、外交をコントロールしているつもりになっている。
ところが、そんな相手には、アメリカ的な価値観は通用しない。
“ブツ”と一緒に死体を送りつけることをギャグだと思っている相手。
車とファックするなんて性的価値観すらまったく違う相手。
そんな相手は、キリスト教に入信しているわけでもなく、牧師が「懺悔は出来ない」と拒否をしても勝手に語りかけてくる。
否、「相手」と考えると人間のように思うが、もしかしたら相手はチーターのように人間でさえないかもしれない。
そんな相手は「死」でさえも、同じ価値観を共有していない。

主人公(アメリカ)は、弁護士として助けているはずのクライアントから嫌われている。主人公の価値観は、クライアントに受け入れられていない。だから数年ぶりに出会った元クライアントからは罵詈雑言を投げかけられる。主人公は、「何かあればすぐに怒る」という欠点を指摘され、恋人(身内=アメリカ国民)に対しては「あんな奴もいる」と自己弁護になってない言い訳で、その場をやり過ごす。

そして、主人公は、自分の周囲にいる知人たちも巻き込んでいく。無垢な恋人も、何についても「知りたくない」と見て見ぬ振りするビジネスパートナーも、裏社会に精通している仲介人も、主人公に助けられた代りに協力する運び屋も、皆殺される。殺されたくないセレブ達は、もう気がついているため、「巻き込まないでくれ」と言う。

主要登場人物の中で唯一生き残った人間が、ラストシーンで「自分は飢えている」とつぶやく。
さて、飢えている相手に狙われて、主人公(アメリカ)と一緒に殺されるのは、はたして誰(どこの国)なのだろうか……。

CRAFT BOX
CRAFT BOXさん / 2014年10月31日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い 知的
  • 鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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悪女 ネタバレ

キャメロンディアスの体当たりシーン?(見てる男のアホヅラもスゴイが)もあり気持ち悪いくらい悪女悪女してて凄い。人相がいつもと違う。魔女にも見える。演技力か。ブラピもブラピ自身好きそうな殺され方。DVD1枚であんなに恐怖を感じさせるのは良かったがそれだけ。

がい
がいさん / 2014年10月1日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 1.0
  • 印象:  怖い
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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35点 ネタバレ

まとめると悪い事したら、取り返しがつかなくなるよ!
ってことやんね?わら
絶対にバレないなんてない!
罰は必ずくださるってこと!
自分が理解出来てないだけかもやけど、内容ないな〜と思った!!

コウセイ
コウセイさん / 2014年7月5日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  単純
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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悪女ほど怖いものはない! ネタバレ

豪華キャスティングにもかかわらず、キャメロンの性悪で育ちの悪さの演技っぷりに度肝を抜いた。若い頃は、可愛い女性役が多かったが、こういう役をする齢になったんですね。

yoite
yoiteさん / 2014年5月29日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  悲しい 怖い 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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「後悔先に立たず」を教えてくれる ネタバレ

経験した事は無いだろうか?

まぁ大丈夫だろう。何とかなるだろう。と思って手を出したら、とんでも無い目に遭ったこと(自分は何度かあります笑)。

本作はそれを最悪の結末[死]を持って教えてくれるのです。

会話劇という形を取りながら、前半は主人公に、「本当に悪の世界に踏み込むの?」「しくじると首切られるんだよ!」首切られた後めちゃくちゃにされた女もいるんだよ!」と、忠告とも警告とも取れる発言する登場人物たち。
後半は、「後悔先に立たずなんだよ」と諭してくれるカルテルのボス。

この不条理劇を、自分の過去の経験に置き換えて考えられない人、自分の思慮の浅さから恐ろしい目に遭った事の無い人は、ピンとこないかもしれませんね。

おそらく過去にヤバい経験が無いであろう事は、主人公の前半の緊張感も覚悟も無い顔を見れば明らか。
前半のある意味アホ面と後半のひきつりまくった顔の落差を見せてくれる、マイケル・ファスベンダーの演技は絶品!

何かをやる時は、必ず良い結果だけでは無く、最悪の結果を想定しておくべき!そのリスクを考えてから行動するかしないか決めましょう。という教訓になる映画です。

たぁ〜ちぃん
たぁ〜ちぃんさん / 2014年5月15日 / フィーチャーフォンから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  怖い 知的
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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なにこれ? ネタバレ

なんでこんなに評価が低いのか
わからないんですけど?
って位、自分ははまりました。

キャメロン・ディアスって
すごい女優さんになりましたよね。
チャーリーズ・エンジェルの時は
こんな演技派女優になるとは
思いませんでした。

ブラッド・ピットは
やっぱりこういうクセのある役を
やらせたら見事に演じてくれます。

この映画は本当に悪いのは誰だ?
主人公をハメタのは誰だ?
的な映画ではありません。

一度選んだ選択肢により
後戻りできない事態に陥る主人公と
それに巻き込まれる婚約者
その他関係者の話です。

主人公は軽い気持ちで
裏の商売に手を出しますが、
後悔したときには、もう遅く
ただの弁護士が麻薬組織から
逃げられるわけがありません。

その点は現実世界でも同じで
後悔したときには遅いことは
多かれ少なかれあることです。

最後に勝ったのはマルキナでしたが、
それまで勝っていたのは
ウェストリーだったんでしょうか?

ニセ保安官の雇い主は麻薬組織?
ウェストリー?
どっちだったんでしょう?

ちなみに一番好きなシーンは
ウェストリーの最後のところです。
音楽もカッコいいし
ここでこれを使ってくるのか!
っていう驚きと
そしてブラッド・ピットの演技が
最高でした。

Tyler
Tylerさん / 2014年4月27日 / Androidアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  悲しい 怖い 難しい
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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会話 ネタバレ

主に会話なので、ワンシーン見逃すと途中でわからなくなります。わからなくなってしまえば、もちろん、おもしろくないです。

でも、内容をしっかりと理解しながら見ているとすごくおもしろい作品だと思います。
特に、最後の方のシーン。「Hola!」は、精神的な怖さが半端じゃなかったです。

また、役者さんも豪華でした。もっと違う役者さんなら「悪」がでないなと。そう感じました。

評価が悪いので、見んでええやと思っていましたが、実際見てみると素晴らしい映画でした。

大畑
大畑さん / 2014年4月5日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  怖い 知的 難しい
  • 鑑賞方法:-
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おもろない! ネタバレ

豪華俳優やから、楽しみにしてたのに
残念やったなぁ。ストーリーが単純て
いうか、話しがとんでなんか、えっ
終わったん言う感じやな

マイク・タイソン
マイク・タイソンさん / 2014年2月9日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  単純
  • 鑑賞方法:映画館
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臆病者ほど残酷 ネタバレ

リアルなサスペンスというよりも、寓話的な話。
別に弁護士とメキシコマフィアの騒動を描きたかった訳ではない。
あらゆる時代、あらゆる国に当てはまる普遍的なテーマを描いている。
--

主人公の弁護士に、周りの人間は麻薬マフィアの残虐さを長々と話す。
彼らは、弁護士に危険を「忠告」したのではなく、
麻薬ビジネスに加担しているオマエもその残虐さの一員なんだと罪の「告発」をしていた訳だが、
そのことに弁護士は気づかない。
いや、気づかない振りをしている。
周りもやっているからと流されている。自分は残虐ではないと勘違いしている。
そうやって罪から目を背けている。

目を背けた結果、惨劇が起きる。


流される事、目を背ける事、その先の悲劇を想像しない事、自分の責任だと分かっていない事

それは、歴史的に繰り返し起きている。(唐突すぎる例かもしれないが、現在公開中の映画「ハンナアーレント」のナチス親衛隊アイヒマンだって同様なのかもしれない。彼が特別な極悪人だった訳でなく流されてしまう凡庸さが苛烈な歴史を生んだのかもしれない。)

そういった大きな時事や犯罪だけではなく、もっと些細な事であっても
日常的に、気づかずに、もしくは気づかない振りをして、他人を踏みつけにしている事はないだろうか。
罪の意識もなく流されている事はないだろうか。

全く無いと言い切れる立派な人は、この映画を必要としていない。
(もしかしたら気づいていないという点において、最も必要としている人なのかもしれない。)


自分の残虐さから目を背ける者こそが一番残酷。
ラストのセリフ「臆病者ほど残酷」が耳に残る。

小二郎
小二郎さん / 2013年12月12日 / PCから投稿
  • 評価: 4.5
  • 印象:  悲しい
  • 鑑賞方法:-
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長話の法則。 ネタバレ

かなり前から大宣伝予告していただけあって、宣伝効果は
あったものの、これだけのスターを起用してこの仕上がり?という、
なんかもう、纏まりに欠ける脚本の法則?を感じてしまった本作。
原作には忠実なんだろうけど、まぁ~とにかく陰惨な話の連続で、
そのうえ85%強がダイアローグときてる。長い、長い、長い、長い…
一体コイツの話をどれだけ聞いてりゃいいんだよ?と堪え性のない
私のような人間には不向きな作品かもしれない。。

しかし観終えてしばらく経つと、確かに邦題通りかもしれないな~
という、妙な説得力は芽生えてくる。
野生の法則じゃないけど、確かに悪の上には、さらなる極悪が
存在していて、お前らなんかクソ同然。とばかりに脅しにかかる。
今作の黒幕の存在は(どう見ても)まったく謎ではなかったので、
あの顔つきといい、やってること、言ってることといい、コイツが
陰でなんか企んでるんでしょ?という具合だった。加えて主人公の
カウンセラーが、何だか気の毒というよりあんたバカ?と思うほど
まんまと罠に引っかかる。あれで敏腕弁護士なの?ホントにー?
真面目なウサギを餌食にする強欲動物がすぐ近くにいるのに。
キャー、怖い!でもゼンゼン話が進んでいかないんだわ。
ブラピが出てきて延々とカウンセラーに説教するその言葉が、
後でまんま効いてくるところも、エェ~という感じでひねり感ゼロ。
怖い話はそのまんま怖くて、怖い存在はそのまんま怖い。
だったら初めからよく心得ておけ。と素人の私でも申し上げたい。

某国を悪く言いたくはないが、先日観たドキュメンタリーにもあった
ように、簡単に人が殺されて、さらにはゴミとして捨てられる現実。
生まれたばかりの赤ん坊ですら、あの場所に遺棄されるんだそうだ。
そんな場所で生活している(例え永住じゃないにしても)外国人なら、
外でなにが行われているのか、少なくとも勉強しておくべきだし、
周囲に何らかの悪が存在することにアンテナを張っておくべきだろう。
幸せボケしているのは日本人だけじゃなかったんだー。なんて、
こんなところで納得したくないほど、首へのホラーが襲いかかる。

(キャメロンの車上シーンはまさに悪夢^^;想像するだけで怖すぎ~)

sean
seanさん / 2013年12月6日 / PCから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  怖い 知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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ウェストリーについて ネタバレ

ブラット・ピットが演じたウェストリーについて。
ここにあるレビューを拝読して、誤解もあるようなので記します。

ウェストリーが最後になぜマルキナによってあのような陰惨な手段で殺されたかというと、ウェストリーがマルキナを出し抜いたからです。

映画後半でのマルキナの電話の相手が誰であるかは示されませんが、(麻薬が)どこに運ばれるかは分かっていると、感情的にマルキナが伝える相手はウェストリー以外にはありません。麻薬組織の手によってではなく、マルキナによってウェストリーは殺されるのですから。
ウェストリーから奪ったPCの画面に写し出される銀行口座には、おそらく報酬の2000万ドルが振り込まれているでしょう。
シカゴに届くまでに麻薬を奪い返すことはできないと悟ったマルキナは、即座に考え方を変えて、ウェストリーの口座自体を狙ったのです。

ウェストリーは、もしものことがあれば修道院にでも入るなどと冗談を言っていましたが、元々計画していたかのようにロンドンに降り立ち、リムジンに乗り、ひっそりと身を隠すでもなく堂々と高級ホテルに入り、受付で女性を口説いていることからも、足を洗う気などなく、まだ計画が進行中であることがわかります。うまく出し抜いて、大金が入り、気持ちも緩んでいるように見えます。

唯一ウェストリーが感情的になるのは、登場の最初のシーンで、カウンセラーの口からマルキナの名前が出たときです。もしかしたら、サングラスを外したときに見える目元の痣は、マルキナ絡みのものかもしれません。マルキナの計画を一緒に進めていた、もしくは何らかの事情で知っていたウェストリーが、マルキナが奪った下水処理車をさらに奪ったのです。

最後に登場する投資コンサルタントの男性の元々の顧客はウェストリーでしょう。ウェストリーはこの世を去り、代わりにマルキナが現れた。彼はマルキナと組むしかなく、だから、あのような探り合いの会話になるのでしょう。
これから始まる殺し合いは、元の組織と、ウェストリーが裏で組んだ組織、マルキナが率いている組織によるものと推測されます。マルキナが裏で動いていたことが判明する可能性は大きいので、アメリカには戻らないのでしょう。おそらく香港でもない。

バイカーが殺されたあと、ウェストリーがカウンセラーをわざわざ呼び寄せて助言をしたり、アメリカからの去り際に再び電話の相手をしているのは、自分が裏で動いていることのカムフラージュだと考えられます。多少の良心の呵責もあったのかもしれません。最初からウェストリーは、カウンセラーに助言のようなことをしていますから。目の前の男の行く末を、最初から知っているのですから。

この作品でもっとも惹かれたのは、メキシコの国境近くのカフェで、カウンセラーと店主が話すシーンでした。妻も娘もなくして生きている自分がもっとも無意味な存在だと語る彼に、カウンセラーのその後を見るようです。映画では描かれることがない、10年、20年先を生きているカウンセラーの姿。国境の外れにある町の片隅の小さな店で、寝入ってしまった客を起こし、食器を片付け、シャッターを閉める、次の朝にはまたそのシャッターを開け、その繰り返しのなかでただ時間が過ぎるのを待っている。

最後に余談です。
カウンセラーは、ローラのスナッフフィルム(DVD)が届くことで絶望のどん底に落とされますが、それ以上のどん底が、10年以上前の日本映画に映っています。
哀川翔・香川照之主演、黒沢清監督の『修羅の極道 蛇の道』。
どうやら規定でリンクが貼れないようです。
この映画、おそろしいですが、おそろしいくらいおもしろいです。
もしもリドリー・スコット監督が『悪の法則』の制作前にこの作品を見ていたら、きっと脚本に手を入れ直していたでしょう。

杉田協士
杉田協士さん / 2013年12月5日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  悲しい
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パンフレットに寄稿する評論家も大変だ ネタバレ

 先だって公開された『ワールド・ワーZ』といい、映画配給会社は短期決戦でとりあえず集客ができればいいとでも思っているのか。もちろん、集客は大事だし何よりそれがビジネスではあるが、『悪の法則』という邦題、「黒幕は誰だ?」的な煽り、いずれもこの『The Counselor』には相応しくなかった。あまりにも作品とかけ離れた邦題を付けて見当違いな煽りを入れるのは、映画に対する敬意が欠けていないだろうか?とはいえ、そういう配給会社対する不信を覚える一方で、ぶっちゃけそうでもしないと結構きつい映画であるのもまた事実だ。

 この映画、肯定的に言うなら「俳優の贅沢な使い方」であり否定的に言うならば「俳優の無駄使い」だ。マイケル・ファスベンダーは相変わらずいい演技をしていたし、見ようによってはペネロペ・クルスもブラッド・ピットも「彼らがああいう使われ方をする」というのもある意味斬新かもしれない。しかしバビエル・バルデムはどう見ても松阪牛をウェルダンに焼いたぐらいのすごい無駄使い感がハンパない。どうしようもない肩透かしで悪い意味で仰天してしばらく開いた口が塞がらなかった。加えて構成がどうもおかしい。そもそも何故キャメロン・ディアス扮する悪女は薬の売買のルートを知り得ることができたのか?主人公が担当していた受刑者は国選であてがわれたのであくまで偶然だし、その運び屋の息子の身元引受人になるのも偶然だったはずだ。それを何故計画的に奪うことができたのか?ペネロペ・クルスは主人公の女だから「ああなった」のにメキシカンから見たら同位置にいるようなキャメロン・ディアスはなぜ無事なのか?さらには語られないことも多過ぎる。男達三人の関係も、主人公がどれほどコアに薬物の売買に手を染めていたのか、「危ない危ない」みたいなことばかり皆口々に言うが(そのくせ絶体絶命だというのに主人公以外妙に冷静だったり)、当の危ないことが一切描かれていなかったりと、つまりはこの映画には観客を説得するという手段が尽く抜けているのである。そのせいで、ただ単に残虐な描写をして観客を陰鬱な気持ちに落とし込みたいだけの、製作者の性格の悪さがにじみ出ているかのような印象すら受けてしまうのだ。その製作側の残虐性の最たるものがブラピの末路だ。劇中で説明されていたように、あの処刑方法はメキシカンが見せしめにやるやり方であって、別にキャメロン・ディアスがその方法をやる必然性はどこにもなく、ノートPCが欲しいならひったくるなり後ろからナイフでぶっ刺すなりすればいいだのであって、あんな陰惨な死に方をする必要などはどこにもないのだから。

 別に自分が善人だといいいたいわけではない。ただ映画の造りとして安易なハッピーエンドが胡散臭いのと同様、安易なバッドエンドも十分に胡散臭いのである。特に不条理という受け入れがたいものを観客に飲み込ませるなら、ハッピーエンド以上に構成や主題に気を使わなければならない。少なくとも同じコーマック・マッカーシー原作の『ノーカントリー』にはそれがあったのだが……。

13番目の猿
13番目の猿さん / 2013年12月4日 / PCから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  悲しい 怖い
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後味は悪い ネタバレ

終始会話メインなので
字幕で見たこっちはストーリーを
必死に追ってる∑(゚Д゚)

裏社会がどんなものかというよりも
それぞれ皆さん個性が豊かで(笑)
そちらの方に目がいった(笑)

キャメロンディアスは車と○○○www

ブラピはあんだけ逃げ足早かったのに
すごーくあっけなくご臨終。
首締め装置や首飛ばしワイヤーなど
見た目は地味だけどエグい。
ここまで地味にエグいなら
カウンセラーの婚約者ローラも
ブラピが語ったエグい方法で殺られちゃう
のかと思いきやゴミの中でポイ?
あのドラム缶漬けの死体は?
カウンセラーが最後に手にしたCD-ROMは
一体何が映ってたの?

なんだか後味悪いスッキリしない
結末でした…
もう一度見たらわかるかなー?
でももう見たくないなー(-。-;

まみむ
まみむさん / 2013年11月30日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  悲しい 怖い 難しい
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行間たっぷりの映画 ネタバレ

哲学的詩文が言の葉に乗って、登場人物達の口からこぼれでる。
このセリフが、キャメロン・ディアスの口から出ずると、滅茶苦茶にかっこいい。

劇中、この世に存在する沢山の「世界」について長口上をふるう人物が登場する。
はめられた主人公カウンセラーに対して、彼の言いたいことは結局、陳腐な言い方をすれば「裏社会」に足を踏み入れたお前が悪い、ということ。失敗したことは取り返しがつかないが、死を迎える準備ができるかできないかの岐路にいると言う。

なぜ仲買人のウェストリーは殺されてカウンセラーは殺されず、婚約者のローラが殺されたのか。
「住んでいる世界」をわきまえずに足を踏み入れた彼への罰だろう。
ウェストリーを生かしておいたら示しはつかないが、彼を生かしておいてもなんら脅威ではない。
とるに足らない相手と見下しておきながら、報復というのが妻を主人公にしたスナッフフィルムを届けるという残酷極まりない仕打ち。

「自分の存在価値があった世界」がもうどこにもなくなってしまったカウンセラー。
あるリッチな世界に生きていた平凡な男が、生きる屍になった瞬間を目の当たりにし、戦慄する。

しかし、それもこれも全て最初に忠告を受けていたこと。
マルキナはせせら笑うだろう、忠告を聞かなかったあんたが悪い、と。

特に高度な推理は必要としないが、めまぐるしく登場する沢山の人物たちが、どこで誰をはめようとしているのか、また、麻薬がどういったルートを通って運ばれていき、秩序を乱した者がどのタイミングで殺されるのか、一部始終、目が離せないスリリングな展開だ。

観客は安全圏にいながら別世界を恐る恐る垣間見る。
そこには観客に対しての無駄な説明は一切なく、時折与えられる台詞から事態を推測せざるを得ない。行間たっぷりの映画。

余談だが、ペネロペ・クルスとキャメロン・ディアスはバニラ・スカイでも共演していたが、その時もペネロペは主人公の運命の女で、キャメロンは悪女だった。

美貌も金ももっている女が、嫉妬とも妬みとも違う、他の女に対しての純粋な破壊衝動。
平凡な世界に満足する相手に苛々しながらも、絶対に自分のいる世界には足を踏み入れてほしくないという、矛盾した感情。
そんな機微を演じるキャメロンには悪女がすこぶる似合う。
悪女であることで、セクシーさがひときわ増す。チャリエンよりこっちの方がずっといい。
チーターをペットに荒野で狩りの姿を楽しんでいたマルキナが、「思い出に温度はない」と言い放つ瞬間、彼女の冷たい笑みを眺めながら、つくづく「こちら」の人間でよかったと胸をなでおろした。
原題をカウンセラーとしつつも、真の主役は全くもって彼女であった。

dandara
dandaraさん / 2013年11月28日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い 知的
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良質の小説のような示唆に富むセリフに満ちている。 ネタバレ

「悪の法則」。リドリースコット監督。R-15。いや、社会人二年目くらいからがいい。全体でR-24くらいの内容。

日本人は物語に教訓を求めすぎる。
そうして、理解できないと傷つき、否定する。

共感があれば何でもよい。面白ければそこからリアリティのボーダーラインが生まれるものだ。
つじつまとはそういうものだと思う。なんとも利己的で個人的でいい。面白ければ・・・。

これ、もしかしてカルトになるかも。でも、一般的には薦められないなぁ。

ストーリーは複雑ではないが、キャラクターの役割を説明せずに進むドライなスタイル。
物語背景や現状、キャラクターの状況説明が少ないかわりに、小説のような示唆に富むセリフに満ちている。このスタイルがこの映画の代えがたい魅力。

この映画は「読む」映画。表情ではなく、示唆に富んだ比喩ばかりのセリフを読むことでかみしめるように楽しむのだ。

正直、字幕訳者は時間内の理解を選んだらしく、比喩表現を無視して短い文章で状況を説明する意訳を多用していた。

文学性に富む原語の表現は字幕スーパーに表されていなかった。聞き取りやすい英語なので是非堪能してほしい。

メタファーが意図する本能に食い込むセリフの不安の暗示は、すべて現実になるようしむかれている。

役者も主人公3人の他にブラピ、ブルーノ・ガンツやらチョイ役でERのジョンレグイザモやら、これまたERのゴラン・ヴィシュニックやらアンダードームのディーンノリスやら妖しいのがいっぱい出てくる。

ブラピはいかがわしさ満点で、マイリーサイラスのお父さんそっくりに仕上げてきた。

ラスト前シーンは、このいかがわしさをいかんなく発揮してくれる。

まるで小説を読むような映画。これで原作なしだから脚本力と演出力のコラボがスゴい。

ただ・・・映画館観客の1割はついていけなくて爆睡。ラストも不満お方たちが6割くらいはいる。

特に映画体力とか映画遺伝子とかは、タランティーノのようなオマージュや引用もないし妙な時間軸交差もないので全く不要。

クラッシュのような時間交錯因果応報サスペンスでもなく、ユージュアルサスペクツのような切れ味のあるミステリーサスペンスとも言い難い。ジャンル分けの難しさがある作品。

しいて言えばあれに近いか。キューブリックのアイズワイドショット。
シュニッツラーの不安心理劇。

でも。それを超えたセリフの示唆に目力が加わる。訳も分からず涙が胸の奥からこみあげる作品でした。

<ネタバレあらすじ>
メキシコ国境間の乾いた土地、太陽、悪徳なThe richの面々。
原題は「The counselor」。相談役、ということで。劇中では「弁護士」と訳されていた。

マイケル・ファスベンダー扮する弁護士。ファビエル・バルデムはエルパソの下水業者を隠れ蓑にした麻薬ディーラー。

ドラッグは中米内の原価とLAでの末端価格差がとても大きい。
カルテルから仕入れて安定供給すれば豪華な暮らしが約束される。
毎日がパーティの暮らしのディーラーの隣には銀のマニキュアと金の八重歯が光る謎の女。キャメロン・ディアス。 プールで泳ぐ肩にはネコ科の肉食動物柄の斑点タトゥ。
2頭のチータを飼い、Cat、と呼ぶ。野生が好きなのだ。本能の赴くまま。バイセクシャル。

そして、ファスベンダーは交際中のペネロペ・クロスに夢中。

午後2時。昼か夜かもわからない気怠い寝起き。

「七日で戻るから。」と白いシーツの中で女の股に顔をうずめながら語りかける。

「どこで覚えたの?そんなこと・・・。」と貞淑な彼女を辱めるR-15のセリフ。

愛する恋人に勝負をかけたギフトを。
宝石商は年老いたベルリン天使の詩。ブルーノ・ガンツ。
「宝石は欠点を評価していくもの。」とダイアモンドの4Cを手ほどきする。
レコメンデーションは3.9カラット、カラーはD、クラリティはVSだと説明する。
「ダイアモンドの最高級は何もないこと。光そのものが最上級。「欠陥」が少しずつ光を損ない、評価のポイントとなる。そして、警告の色を放つ。」

Sweet daiamond for your hand・・・。

ダイヤモンドは国際シンジケートのにおいがする・・・。

マイバッハを駆るファスベンダーは愛する恋人のために3.9カラットを買ったのか他の推奨品を買ったのかは明らかではない。だが、苦渋の表情。経済的な問題が最近起きたことを示唆する。
そして、麻薬カルテル関係者の古い親友ブラピに近づき、ハビエルとの闇商売を開始する。

ブラピは警告する。「俺は助言はできない。が、こんな警告を聞いたことがある。それを聞かせる「ここから先は来るべきじゃない。」と。」

ハビエルは銀の爪の女にハマりながらも不安を覚える。フェラーリをファックする女。

「表情の読めない女とは付き合うべきじゃない」と。「話すべきじゃなかった」と。

一方、キャメロンはプールサイドでペネロペと過ごす。
バイセクシャル。ペネロペの身体は何度も重ねた熱い夜を忘れられない。

「結婚するの。」
「指輪、外して見せてよ。カラーはG、クラリティはSV2、大きさは3.5もしかして3.8かも。」
肉眼視だけでズバズバとダイヤ評価を辛辣にあてていく。ブルーノ・ガンツが示した1ランク下ずつを正確に。

カルテル、シンジケート、銀行・・・。個人の情報を操り罠を周到に繰り広げ展開していくのは野生の狩猟本能からか・・・。

そう。全てはキャメロンが仕掛けた罠に皆がハマっていく。
だが、ラストを見る限り、計算を清算するような映画ではない。

これは本能の残酷と美しさを示唆とともに叙事にした詩なのだ。

CYNDY
CYNDYさん / 2013年11月25日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  泣ける 悲しい 知的
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CMを見てしまうと… ネタバレ

テレビで流れているCMを見てしまうと「この後CMのあのシーンに続くんだろうなぁ」と予想出来てしまうので、出来るだけCMは見ないでおきましょうw
内容としては良くある「君子、危に近付かず」です。

とおる
とおるさん / 2013年11月23日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 2.5
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世界はその一端しか知ることができない。 ネタバレ

この映画の肝は『世界はその一端しか知ることができない』ということではないだろうか。

弁護士の主人公は恋人との生活をより豊かにするために、麻薬取引という『闇の世界』へ踏み込んでしまう。どんなに警告されても、まさか自分がそのような目に遭うとは露ほども思っていなかったのだ。

そうして彼は唐突に、二度と引き返すことの出来ない所にまで堕とされてしまう。

『世界は一端しか姿を見せない』それを象徴するように、物語もまたその全貌をなかなかつかませてくれない(少々やりすぎかな、とも思ったけどw)。

バキュームカー(?)の中に隠して密輸する通常の取引に、マルキナ(キャメロン・ディアス)の一味が横取りするが、後にまた麻薬カルテルに取り戻される。
そのかわりにマルキナはウェストリー(ブラッドピット)を嵌めて、その資産を横取りする。

あらすじだけでも難解だが(自分は最後までわからなかったw)、この映画はさらに、説明をしないのだ。

誰が何をやっている人なのかも説明しないし、どれが偶然で、どこまでが計画されていた事なのか何も説明しない。

またマルキナの背後にどれほどの組織があるのかも語られず終いだし、麻薬カルテルの女を弁護したことも偶然なのか誰かの策略だったのか…。

それは主人公が垣間見ている世界と同じなのだ。
リドリー・スコット監督は僕たちに『神の目』を持たせてくれない。
その主人公と共に『世界の一端』を垣間見ることしか許してくれないのだ。

物語を語らない代わりに、彼らは世界を語る。
ある者は「本当は金がなくたってやっていける。女だけはどうしようもないがな」と言い、ある者は「君は岐路に立っていると思うだろう?けれどもう随分前にすでに選択はされているんだよ。君に出来る事は受け入れることのみだ」と語る。

たどり着いた結末は決して楽な場所ではなかった。

でもね。

それでも世界はほんの一端しか見せていないんじゃないかな、と思うのだ。
僕たちはその全てを知ることではなく、一端から学ばなくてはいけないのかもしれない。

そんな風に思ったり、思わなかったり(笑)。

kappa
kappaさん / 2013年11月23日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い 難しい
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陽光きらめく地獄へようこそ ネタバレ

全米での収益の悪さに加え、ここでの不評の嵐を見て
よっぽど不出来な映画なのかと思っていたが、
個人的にはかなり面白く見ることが出来た。

いや、まあ、確かに話のスジは追いにくい。
僕自身、完全に物語の流れを理解できた気はしていない。
主人公があの死刑囚と出会った経緯とか、バイカーと
主人公のつながりは偶然だったのか謀略だったのかとか、
あのメキシコの弁護士を主人公が頼った理由とか、
最後マルキナが談笑していた男の正体とか。

だが、何が起こっているかは十分理解できる。
主人公とその周囲の人間が、自身の欲望とひとりの
貪欲な女によって地獄に叩き込まれるまでの物語だ。

* * *

マイケル・ファスベンダー演じる主人公が憔悴し、
絶望する様。取り戻しのきかない人生の無慈悲さを
語るダイアローグの数々。
一般人には狂っているとしか思えない裏社会での
流儀の恐ろしさ。じわりじわと主人公たちを
追い詰めるカルテルの、濁った空気のような存在感。
淡々としていながらもサスペンスフル。
ブラッド・ピットが殺害される直前の、
視界を極端に狭めたようなカメラワークなんて、
特に緊張感に満ちていて素晴らしい。

そしてこの監督ならではの、
コントラストが映える映像も見事なものだ。
砂漠の殺伐とした空気、渇ききった強烈な陽光、
青白い石壁の冷たさ、夜の闇の底知れな い深さ。
特筆すべきは終盤付近。
いよいよ追い詰められた主人公が彷徨う怪しい街並みは、
陽光きらめく冒頭とはまるで別次元の淀んだ暗黒世界。
D・クローネンバーグ監督作品にも通じるような、
現実と薄皮一枚隔てただけの空間に存在する悪夢だ。

* * *

キャラクターも魅力的。全員について触れるのはやめるが、なんといってもC・ディアス演じるマルキナが絶品。

いつか他のレビューでも書いたが、R・スコット監督はとある
雑誌のインタビューで「銃が好きだ」と語ったそうだ。
「銃は存在自体が機能だ。一切の無駄が無く、だから美しい」

本作でその“機能美”の象徴として登場するのは、豹だ。
獲物を追う事に特化した豹のしなやかな動作。
優雅さと残忍さを併せ持つその容姿。

豹柄のタトゥーを入れ、常に腹が空いたとのたまう
マルキナは、いわば底なしの胃袋を持つ豹だ。
まさしく獣の如き冷酷さで己の腹を満たそうとする。
獲物を取り逃がしても、すぐ次の獲物を狙おうと貪欲に動き続ける。
映画内で誰よりも優雅に立ち回る彼女は、
美しいほどに磨き抜かれた悪だ。

残忍な獣は、獲物をなぶって遊ばずにはいられないのかも
しれない。マルキナや麻薬カルテルの人間たちは、
ある意味で人の生死の価値を一般人よりもよく理解している。
自分の命は死んでしまえば無価値だが、親しい者の死には
とてつもない哀しみと恐怖が伴うということを。
主人公はあの結末の後で殺されるだろう。だが、
あのふざけた挨拶の記されたDVDを目にした時点が、
彼にとっての絶望のピークだったのだと思う。

* * *

思うに、『豪華スターを配したハリウッド大作』と
認識されなければ、本作がここまでの低評価を受ける事は
無かったのではないか。

一から十まで見せないと納得がいかないという方には
この曖昧なストーリーは不満だろうし、
バイオレンス描写や派手なドンパチが好きな方にも
全く食い足りない出来だろう。

宣伝で『悪の法則を操るのは誰か?』という
コピーを印象的に用いたのも不味かったと思う。
このコピーでは大部分の人間が、犯人探しや
ドンデン返しありきのサスペンスを期待してしまう。
主人公を窮地に追い込んだ一番の悪党がマルキナで
あることは開始30分で分かってしまうのに、である。

* * *

個人的な不満点もここで挙げておこう。
主人公の背景や麻薬ビジネスに手を染めようとした
動機についてだけは、もう少し明確に描いてほしかった。
主人公の転落と絶望を描くなら、落下開始地点の彼を
描くことは不可欠だったと思う。
恐らくは単に金銭欲からか、恋人との生活を維持するのに
金が必要だったのか、あるいはその両方だとは思うのだが。

それと豪華キャストの中で、ペネロペ・クルスだけは
別のキャストの方が良かったんじゃないかな。
情熱的な役柄の多い彼女にしては、今回はおとなし過ぎる
というか純情過ぎるというか。
どうも彼女のイメージにそぐわない感じを受けたし、
周りのキャラも強烈過ぎて霞んでしまって見えたかな。

* * *

だが、ハリウッドエンタメのようなストレートな面白さを
期待さえしなければ、本作はかなり面白いと思う。
この映画の肌触りは大作映画ではなく、
インディーズ映画のそれに近いのだ。
コーマック・マッカーシーの著作は読んだ事が無いが、
この映画からは長編小説ではなく詩のような匂いがする。
こちらから理解を求めなければ意味を掴めない、
一種突き放したような抽象性。個人的には
そのぼんやりとした雰囲気も魅力だと感じる。

* * *

主人公がダイヤを購入しようとするシーン。うろ覚えだが、
ダイヤの鑑定士とこんなセリフのやり取りがあったと思う。
「あなたの眼からすれば、このダイヤは最高級ではない?」
「私に言わせれば、どんなダイヤにも違った魅力があります」

完全無欠のダイヤにこだわらず、多少の雑味が付いていようが、
身の丈に合ったダイヤで満足するべきだったのだ。
それ以前に結婚を約束できる恋人がいて、
その人にダイヤを買うことが出来るというだけで
十二分に幸福だと思い直すべきだったのだろう。

強欲な者は、さらに強欲な者に狩り殺される。
金儲けの世界においてはそれが摂理なのかもしれない。
そりゃお金は欲しいけど、この無慈悲な食物連鎖、
できれば参加せずに済まして生きたいすね。

判定3.5~3.75といった所だが、
作品を擁護する意味も込めて4.0判定で。
面白かった!

〈2013.11.17鑑賞〉

浮遊きびなご
浮遊きびなごさん / 2013年11月22日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い 難しい
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一体誰が、彼らを狂わすのか? ネタバレ

今年公開されているペンロペ・クルス出演の作品は何故か、必ずみんなラブシーンが登場する。
正直3度も連続して、そんな彼女を見せ付けられる事にうんざりしてしまい、それだけで、この作品に早くも赤信号が点滅した。
最初のウディ・アレン監督の「ローマでアモーレ」は役柄的には必然なので文句は言えない。
そしてつい先頃公開した、「ある愛へと続く旅」それも、20数年の長い間に及ぶ一人の女性の人生を描いているラブロマンス映画なのだから、有る意味ラブシーンが登場しても、必然なのかもしれない。

だが、本作品に於いて、いきなりマイケル演じるカウンセラとペネロペ演じるローラの2人のベッドシーンから始まるこのファーストシーンを観た瞬間から、何だか嫌な予感がしていたが、その嫌な予感は見事に的中した。

つまり、いくらピュウリツァー賞受賞作家のマッカーシーに寄る書き下ろしのオリジナル作品と言われても、こんなベッドシーンからいきなり始まる作品には、全然魅力を感じられないのだ。
ステレオタイプの映画の演出にはつい
「ブルータス、また、お前もか!」と言った感じで大声を挙げて、叫びたい気持ちになる。

製作される映画作品のほぼ、60パーセントはオリジナル脚本の書き下ろし作品と言われているハリウッド映画界でも、こんなステレオタイプのラブシーンから始まる演出を見せ付けられてしまうと本当に、それだけで、作品の質の粗悪さを感じてしまい、最近のハリウッド映画作品はネタ切れでダメなのかも知れないと落胆する。

客寄せパンダの様に、魅力的な女優のハダカさえ魅せれば、それだけで、客足が増員出来ると願う単純思考こそが、根本的に、ハリウッド映画を劣化させ、客足を遠のかせている事に気がつくべきだ。
それとも、アメリカ人が単純思考なのか、製作サイドが一般観客層をナメテ、古臭いステレオタイプの作風から、脱却出来ずに、バカなハダカで妄想に耽っているのだろうか?

そして、案の定1時間もするとこの歯切れの悪い作品の演出にはすっかりうんざりして疲れ果て、睡魔だけが大きくのし掛かるのであった。

確かに、人間は誰でもカネと欲には弱いのだが、しかし、そんな欲に塗れた、低俗な輩を見せ付けられても観客は、感情移入出来る筈もない。
善良で平凡な一般庶民は、いくら贅沢なセレブな生活に憧れ、お金が欲しくても犯罪に手を染める事は簡単にはしないのだ。
だから、出来心から、犯罪に手を染めましたと言う、そんな道を外したエリート人間の弱さを、主人公の姿に、自分自身を投影してみる事はないので、そんなヒーローや、ヒロインの心理に今更何の面白みも無い。
たとえ自分勝手で、低俗な欲望に勝てない人間の弱い性を描いても、そんな主人公の葛藤に感情移入しろと言う奴
の頭の中って一体どうなっているの?と製作者サイドの人間の視点のズレを感じるだけだ。

だが、ハリウッド映画は、やっぱり巧いと納得する事の一つが、予告編のテクニックの素晴らしさだ。
単純な性格の私は、またしても、この作品の予告編にまた、騙された一人だ。

確かに、キャメロン・ディアスが身も凍るような冷酷な、怖さを漂わせていて、彼女自身を演じる側からみれば面白さの有るキャラクターと言う事になるのだろう。だが、そんな彼女が冷酷で欲望塗れの悪女になる動機も説得力に欠ける演出で何とも納得が出来ないキャラクターだった。

Ryuu topiann(リュウとぴあん)
Ryuu topiann(リュウとぴあん)さん / 2013年11月22日 / PCから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  怖い 単純 寝られる
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会話劇を楽しめる人に ネタバレ

原作はマッカーシ。「地と暴力の国」を読んでいるかのような、延々と続く会話劇。
これを楽しむことができる人なら、退屈することなく楽しめると思います。
けど、バルデム、クルスの使い方としてとてももったいない映画になっているとも思います。
スコット監督の映画としても決して最良のものとはいいがたいとも思います。とはいうものの、暗く暴力に満ちた世界を描かせてマッカーシに匹敵する人もまたいないとも改めて感じます。

mayura
mayuraさん / 2013年11月21日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  単純
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