劇場公開日 2013年8月10日

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HOMESICK : インタビュー

2013年8月5日更新
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郭智博、廣原暁監督作「HOMESICK」で演じた“さとり世代”のリアル

世界グッドモーニング!!」(2009)で注目を集めた、新鋭・廣原暁監督の長編デビュー作「HOMESICK」が、8月10日に公開される。居場所を失いながらも、小学生との交流を通して自分の道を見出していく男を演じた主演・郭智博に、話を聞いた。(取材・文・写真/編集部)

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ひとりで暮らす実家の引き渡しを目前に控えながら、30歳にして失業してしまった沢北健二(郭)。無為な毎日を送っていた健二だったが、夏休みを迎えた小学生3人組との出会いをきっかけに、活気を取り戻していく。

本作は、長引く不況を経験し、浪費せずに堅実な生活を求めるようになった“さとり世代”の若者の等身大の姿を、リアルに描ききった。廣原監督が飾らない視点で切り取った日常のなか、郭は「こうしよう、ああしようと悩むより、自然にできたらいいなと思っていました」と自然体でいることを心がけた。

キーパーソンとなる子どもたちとの交流には、「子どもたちとの距離感を一番大事にしていたので、休憩中も役柄としてあまり近づきすぎないようにしていました」とことさら気を配った。しかし、相手は活発な子どもたちだ。「僕は話さないようにしていたんですけれど、彼らから近寄ってきて休ませてくれなくて(笑)。子どもたちからは、予測できない動きや言葉が飛んでくるので、対応が難しかったですね。でも、彼らは自然体も自然体なので、それがすごくいいんです」と劇中さながらの関係性を築いた。

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健二と同世代の郭は、役どころに自分との共通点を見出し、力んだ役づくりはせずに自然となじませていった。「(健二は)僕と似ているんですよね。自分から動いたり、自分のことを話すタイプではない性格や、居場所がないところも同じだと思います」。しかし、居場所がないと話す一方で「健二君と違うところは、僕にはやりたいと思えるこの仕事がある」と10代からキャリアを重ねてきた俳優業への思いは強い。

テレビドラマ「聖者の行進」でデビューし、映画「花とアリス」(岩井俊二監督)や「大奥 永遠 右衛門佐・綱吉篇」(金子文紀監督)など、話題作に出演。役者に対する基本的な姿勢は変わらないとしながらも、“作品に沿った演技”を考えるようになったという。「映画は時間の決まりがないから、雰囲気が助けとなることもありますが、ドラマはワンカットにかける集中力が大きく、極端に言えば瞬間芸みたいなところがあると思うんです」。これまではナチュラルな印象の青年役を演じることが多かったが、今後は新境地に挑みたいと笑顔をのぞかせる。「『チェイサー』という韓国映画が好きなんです。あの犯人みたいな、不気味で変わった役も演じてみたいですね」

公開を目前に控え、郭の胸を占めるのは作品がどのように羽ばたいていくのかという思いだ。「子どもたちとガッツリやるのが初めてだったので、子どもたちを見て考えさせられるところもありました。でも、僕は出ていた側だし、最初は自分のお芝居ばかり気になっちゃうので、まだ客観的には見ることができていないんです。ほかの人がこの作品を見たときに、心の中に何が残るのかということがすごく知りたい」

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