「何か物足りないと言うか…」オールド・ボーイ みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)
何か物足りないと言うか…
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パク・チェヌク監督による韓国版を知らない人でも、このリメイク版はまあまあ楽しめるでしょうけど、ラストシーンの衝撃度はかなり薄められていた。
姉弟による近親相姦を、父娘に改変しちゃったことが一番悔やまれる。
米国では父娘が肉体関係を持つ方が宗教上タブーだと考えられていて、でも現実社会ではそのパターンの方が断然多いからなのかな。
だけど思春期に最愛の姉を失ってしまった喪失感の方が悲しみの度合いが強く、長年の恨みを晴らす動機としても説得力が勝っていた。
韓国版ではチェ・ミンシクが、金槌を手に大立ち回りを演じる長回しのアクション・シーンが、大変注目されたが、銃社会の米国でそれをそのまんま再現したら嘘になるでしょうよ。
スパイク・リー監督も、せめて銃と金槌を併用した、自己流のアクション演出を新たに構築するべきでしたね。
ここは腕の見せどころだったかもしれないのに勿体ない。
理由もわからぬままテレビだけが置かれた部屋に監禁されてしまうジョー・ドーセットは、酒浸りのダメ男から肉体改造を施し、精悍なタフガイへと生まれ変わる。
演じるジョシュ・ブローリンは顔つきまで変わってしまう熱演でした(そこはかとなくニック・ノルティの面影を感じさせてくれる)。
彼自身、この難役にだいぶ入れ込んでいたのではないでしょうか。
再び自分の殻(監禁部屋)へと舞い戻る時に見せる、不適な笑みが印象に残りました。
韓国版に対抗意識を燃やし、それを成し遂げたと言う充実感なんでしょうか。
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