劇場公開日 2013年4月27日

図書館戦争 : インタビュー

2013年4月24日更新
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榮倉奈々、成長を助長する根源にある“課題”とは?

著書の映像化が相次ぐ人気作家・有川浩のベストセラー「図書館戦争」が、「V6」の岡田准一と榮倉奈々を迎えて実写映画化された。ふたりは映画化決定を前に、文芸誌「ダ・ヴィンチ」の読者アンケートで募った“希望キャスティング”ランキングでそれぞれ第1位に輝いており、本作ではファンも納得のキャスト陣がスクリーンを躍動している。それでも榮倉自身は「アンケート結果は意外でした。私ってこういう風に見られているんだって。共通点はショートカットで背が高いことくらい。運動神経も良くないですし(笑)」と当初は戸惑いもあったという。人気小説の映画化に参加するのは、今回が初めてではない。「毎回、原作がもつイメージを壊してはいけないという責任感はあります。私が演じる以上、榮倉奈々の要素が入ってしまいますから」。(取材・文/内田涼、写真/片村文人)

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映画は、公序良俗を乱す表現を取り締まる法律が施行された日本を舞台に、武力行使もいとわない「メディア良化隊」による不当検閲から、読書と表現の自由を守る自衛組織「図書隊」の命がけの戦いを壮大なスケールで描くアクション大作。同時に、図書隊員の鬼教官・堂上篤(岡田)と新米女性隊員・笠原郁(榮倉)の恋愛模様がコミカルで瑞々しいタッチで描かれる。

「原作そのものはSFファンタジーだと思いますが、そこに描かれる登場人物の心情がとてもリアルで、ページをめぐるたび、本当にある話なんじゃないかって不思議な感覚になりました。私が演じる郁ちゃんは『図書館戦争』の中で一番ふつうの女の子。すごくまっすぐでピュア、それにガムシャラですね。原作から受け取ったリアル感を、映画でも感じてもらうために、私ができるのは目の前のことに全力で立ち向かうことだけ。郁ちゃんの目線で、作品の世界観に感情移入してもらえたらと思いました」

メガホンをとるのは、「GANTZ」シリーズで斬新なアクション描写が高く評価された佐藤信介監督。本作でも、図書隊とメディア良化隊が繰り広げるハリウッド顔負けの戦闘シーンが大きな見せ場になっており、榮倉もその渦中で奮闘することに。「撮影には陸上自衛隊と航空自衛隊が協力してくださって、私たちキャストの訓練も指導していただきました。正直、今までいかに自分が体を動かしていなかったか思い知りました(笑)。それに体を動かすのって、気持ちいいんだなって」と初の本格アクション挑戦を振り返る。

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初共演となった岡田は、「SP」シリーズで培った身体能力にさらに磨きをかけ、ヒロイン・郁との恋愛模様では“ツンデレ”な一面も垣間見せる。「もともとストイックな方という印象がありましたが、今回ご一緒して想像以上のストイックさに驚かされました。現場では自分の立ち振る舞いだけではなく、現場の空気や映画の流れを考えている方。取材などでは、格闘技やアクションの話をしている時が一番楽しそうでしたね」。そんな榮倉=ヒロイン・郁の視点があるからこそ、「図書館戦争」は世代や性別を問わずに楽しめる“等身大”の物語に仕上がったといえるだろう。

「確かに郁ちゃんの等身大な姿、というものは演じる上でも意識はしました。ただ、スクリーンに映っている姿や聞こえてくる声はやっぱり、榮倉奈々ですよね。一方で、郁ちゃんという存在は脚本家さんのセリフだったり、監督の演出だったりがあって生まれているので、葛藤することもあります。見終わった後、『郁ちゃんがいたね』って錯覚してもらえたらうれしいなと思っています」

2004年にテレビドラマで女優デビューを果たし、08年にはNHK連続テレビ小説「瞳」のヒロイン役に抜てき。その後も数多くの映画、ドラマに出演し、女優としての存在感は増すばかりだ。当の本人は「もともと女優さんを目指していたわけではなかったし、仕事を始めた当初は驚きや戸惑いの連続だった」というが、出演作を重ねるなかで心境の変化も表れたという。

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「子どもの頃から不器用じゃないというか、どんなことも平均点でこなせるタイプだったんです。通信表は“3”ばっかり、みたいな(笑)。だから逆に、何かひとつのことを深く突き詰めることもありませんでした。でも、女優という仕事をさせていただくと、もうできないこと、わからないことの連続。作品を終えるたびに、課題が生まれてゴールがないんですね。だからこそ、こうして女優を続けられていると思っています」

それでは「図書館戦争」で向き合った課題は? 「やっぱりアクションですね。基礎的な体力作りやト レーニングは日々の積み重ねですし。もし(映画の)続編があるなら、もう少し上達した状態で臨みたいです。岡田さんみたいに? それは無理です(笑)。とてもじゃないけれど追いつけないですし、遠すぎて見えません! 今回、本格的なアクションを経験したことで、演技の幅が広がればうれしいですね」。原作シリーズはすでに6冊刊行されており、続編製作の可能性が大いにある。今後、笠原郁、そして女優・榮倉奈々のさらなる躍動に期待がかかる。

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