帰ってきた木枯し紋次郎のレビュー・感想・評価

　命の恩人である伝吉から、渡世人となった息子の小平次を上州・木崎の五郎蔵（岸部）から連れ戻してほしいと頼まれる。木崎では前代・十兵衛（小林昭二）が5年前に殺されていて、紋次郎はその下手人とされていた。木曽路で殺されそうになったのも、その仇討のために十兵衛の弟が追ってきたためだった。

　展開は平凡ながら、木崎で起ころうとしていた農民一揆の話は面白い。お上からは運上金として桐生の蚕、糸などに税が課せられるというもの。それを阻止したい商人たちは五郎蔵に賄賂を贈り、一揆を起こさせるというのだ。そして、けしかけた渡世人の数人を下手人として始末させ、自分の手は汚さないという腹黒さ。その中心人物に小平次が使われていた。

　五郎蔵の家には先代・十兵衛を養父としたお真知（坂口）が占いに精を出し、死んだはずの紋次郎がやってくると告げる。彼女もまた仇として紋次郎を殺したかったのだった・・・

　歳をとってしまった紋次郎。それでも木こりとして腕力をつけていたのか、何人もの渡世人と斬り合う。市川崑らしい、わざとらしい演出も懐かしさのおかげで気にならない。そして、悪い奴らは皆死んでしまったけど、最後には関八州の浅春（石橋蓮司）だけがほくそ笑む・・・