愛染草

劇場公開日:

解説

川口松太郎原作の恋愛小説「かりそめの初夜」の映画化で「花の日月」に続く土井逸雄の企画。監督は「満月(1949)」に次ぐ田中重雄。主演者の上原謙は「四谷怪談(1949)」水戸は大映京都の「わたしの名は情婦」に次ぐ作品。その他「花の日月」の星三千子、岡村文子、「大都会の丑満時」の船越英二「虹男」の暁テル子等が出演。撮影は「満月(1949)」の山崎安一郎。

1949年製作/83分/日本
配給:大映
劇場公開日:1949年10月9日

ストーリー

元侯爵本庄家の嗣子茂は窮地に陥った家の体面や家族の生活を保証するという成金の阿部徳蔵の長女頼子との縁談を承諾した重い心を抱いて銀座に出た彼はバー「ジョルジュ」でマダム夏枝を相手に酔う品の良い女に出会った。彼女もはやり没落華族の令嬢で明日は家を救うため心ならずも愛情のない結婚をせねばならない身の上であった。二人はともすれば込みあげてくる複雑な感情のとりことなったが、漸く自制して名も知らぬまま別れた。その後茂は阿部の親族の近づきのパーティーで、阿部の長男と婚約者として紹介されたのが意外にも銀子だった。二人は何気なく踊ったが、金のために結婚するお互いを自嘲し自己嫌悪に陥った、だが踊る手はしっかり握り合っていた。茂の妻となる頼子の恋人だった神崎は、頼子の結婚相手たる茂に会いたいと酔って来ているという知らせに銀子は頼子に代って神崎に会い愛情がないと宣言し手切金十万円を渡したが、怒った神崎は仲間と乱暴を働こうとしたが、老力士大碇がその場を納めてくれた。秋晴れの日に二組の結婚式が同時にあげられたが、神崎は写真屋に化けて現われ、せめて頼子の花嫁姿を写させてくれと銀子に真情あふるるばかりに訴えた。茂はもう馬鹿げた芝居はやめて真剣な気持に返ろうと決心し、銀子と新橋駅での再会を約して、茂と銀子は別々に失そうした。しかし銀子は妹春子に引とめられて約束の時間に間に合わず、銀子が新橋駅に着いた時は、茂の姿は見られなかった。呆然と歩む銀子は疾走して来た自動車にはね飛ばされたが、その車には銀子に好意を持つ原哲次がいて、銀子は原が経営する信州のバター工場に痛めた身体を休めていたが、茂の影像が強く焼きつけられていた。その秋の一日この工場の慰安会に訪れた衣笠リリーレヴュウ団のバンドマンに荒んだ茂の姿を見出して銀子は狂喜したが、茂は銀子と原の仲を誤解して一層荒んだ気持で酒に酔いしれた。だがその夜襲った暴風雨で原の住宅はがけ崩れの危険にさらされ銀子ががけ下に転落する時、駆けつけた茂の努力で銀子は救われ、陽光の下に胸のしこりをも流し合った二人の姿が見られた。

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