劇場公開日 1990年12月22日

風の名はアムネジアのレビュー・感想・評価

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4.0魔界都市とバンパイア以外の菊地秀行SF

2023年11月30日
iPhoneアプリから投稿

菊地秀行原作の同名小説をアニメ映画化。
監督は『スレイヤーズ』総監督のやまざきかずお。

【ストーリー】
舞台は北米大陸。
「アムネジアの風」が吹いて人類すべてから「記憶」が消えた近未来、主人公ワタルは文明の滅んだ世界をたった一人で旅する。
ジープでサンフランシスコにたどり着いたとき、治安維持用兵器・ガーディアンが人々を虐殺している場面に出くわす。
操縦者の亡骸を載せたまま自動操縦で動きつづけ、滅んだ文明の守護者として無為に暴徒鎮圧任務を遂行しつづけるガーディアン。
騒動に巻きこまれるワタルだが、危ういところで謎の美女ソフィアに救われる。
「きみ、しゃべれるんだね」
「あなたはとても面白いわ。私と賭けをしない? 旅の終点までに、一人でも旅の仲間を作れたらあなたの勝ち」
二人は共に旅をしながら、アムネジア後の世界を見て回る。
ロサンゼルス、ラスベガスと北米を横断しながら、多くのトラブルに遭い、さまざまな社会や人々、文明のなごりに出会う。
傷つき、成長するワタルとそれを見守るソフィア。
だがニューヨークに向かう彼らを、あのガーディンが自らを凶悪に改造しながら執拗に足取りを追跡してきた。

『風の名はアムネジア』
印象的なタイトルです。
「アムネジア」は記憶喪失の意味。
多くの場合は脳からエピソード記憶が引き出せない症状を指しますが、この物語の人類は運動記憶以外すべて、つまり言語も含めた「知性」を奪われてしまいます。
親も子も兄弟も友達も、自分自身すら何者かわからない状態。
そこからワタルはいかに言葉を手に入れたのか、ソフィアとは何者なのか……。
大作とは程遠いアニメ映画ですが、SFやアクションに定評のある老舗マッドハウスらしい冴えたアニメーションが随所に見られます。
特にラストのラブシーンはなぜかやたら力が入っていて、一瞬のカットですが20世紀アニメのいい乳ベスト3(かせ主観)の一つ。

ストーリーはほぼ原作どおりですが、尺が80分と短く、若干のエピソードが割愛されてます。
菊地秀行作品の中でもさわやかでポジティブな雰囲気、ポストアポカリプスな舞台で、今ならゾンビ物の亜種と分類されそうな自由で原始的な世界観。
セルアニメ時代の映像も味わえますし、もしも機会がありましたら少年の心をもつ純真な青年ワタルの冒険を楽しんでもらえれば幸いです。

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かせさん

4.5とても良い作品だったのだけれど、投げっぱなしみたいな終わり方。風を...

2018年10月24日
iPhoneアプリから投稿

とても良い作品だったのだけれど、投げっぱなしみたいな終わり方。風を吹かせた理由について語った以降バトルものみたいにして有耶無耶な感じ。祝福されてもなぁ。
前半部分はかなり面白い。謎の美女と旅をするのは999に通ずるものがある。2人で何役もするコンピュータ制御のエターナルタウンの話が一番印象に残った。

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