特急にっぽん

劇場公開日:

解説

週刊誌に連載された獅子文六「七時間半」の映画化。「続サラリーマン忠臣蔵」の笠原良三が脚色し、「縞の背広の親分衆」の川島雄三が監督した。撮影は「河内風土記 おいろけ説法」の遠藤精一。

1961年製作/85分/日本
原題:The Romance Express
配給:東宝
劇場公開日:1961年4月4日

ストーリー

特急“こだま”は十二時半に東京駅を出発する。食堂車ガールのサヨ子とコック助手喜一は恋愛中だ。サヨ子の夢は、喜一と父が昔やっていたアイノコ弁当屋を大阪で開くことだった。が、喜一には東京の一流ホテルのコックになりたい夢があった。サヨ子に返事を大阪に着くまでにすることになっていた。サヨ子は、元華族のスチュワーデスの今出川有女子が喜一に時々ささやきかけるのが気になっていた。真先に乗りこんだのは、げんと息子の恭雄。げんはサヨ子が気に入り恭雄の嫁にと思っている。だが、恭雄は有女子に参ってしまった。有女子は五号車の客岸和田がレストランを出してくれるというので、喜一にコックになってくれるよう交渉中。その実業家岸和田の隣りに、太股もあらわな中国服の女が坐った。伊藤ヤエ子である。岸和田は上機嫌だった。食堂車には、酔いどれ老人が、列車に乗っている政界の黒幕を狙って殺し屋が時限爆弾をしかけていると放言していた。名古屋でこの老人が降りてから、車内は列車爆破の噂で不安な空気に包まれた。有女子のレストランの話は、ヤエ子の出現で駄目になった。爆破の噂は、捜査の結果まったくのデマと分った。その時、公安官に追われて殺し屋スタイルの下谷と上野が食堂車に逃げこんできた。喜一は二人を叩きのめした。京都駅で、サヨ子をあきらめたげんと恭雄が降りた。ヤエ子が捕えられた。彼女がスリとった岸和田の財布を、下谷と上野が持っていたのだ。九分遅れて“こだま”は大阪駅へ到着した。喜一はサヨ子とアイノコ弁当屋を開く決心をした。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0冒頭でまず賑やかな女子トークを映すのはお洒落な川島らしい。 真鍋理...

2024年3月2日
Androidアプリから投稿

冒頭でまず賑やかな女子トークを映すのはお洒落な川島らしい。
真鍋理一郎の音楽も良くて、画面と相まって生き生きとして聞こえる。
特急電車のバックヤードの描写が面白く、車内全席禁煙となって久しい現代からすると、カリカチュアライズされているにせよ、昔は相当カオスだったんだなあと思い知らされる。
車窓越しのサイレントのドタバタも良かったし、時折挟まれる夜の暗闇の中を列車が走る遠景のショットは美しく、ハッとさせられた。

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抹茶

4.0特急こだま

2020年1月21日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

東京と大阪を6時間半で結ぶ特急こだま、コックのフランキー堺と食堂車ガールの団令子は付き合っていたが、結婚に踏み切れない。
ここに元華族のスチュワーデス(古い!)の白川由美が加わりややこしくなる。
エッチな社長や酔っ払い、息子の嫁探しに頑張る母の沢村貞子などてんやわんやとなる。
とても楽しいテンポのいいコメディ。

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いやよセブン

5.0特急こだまと食堂車とドタバタ

2019年4月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

映画の箱根山を見てから、原作者の獅子文六に興味を持ち、文庫化された原作を読んでの感想。

原作だと七時間半の道のりと架空の「特急ちどり」になっているなどの違いはあるが、350ページ近い長編を手際よくまとめ感心。駆け足になるところはあるが、上映時間を考えると悪くない。

冒頭のアニメーションを使ったタイトルデザインも楽しい。

自分の鉄分は薄めだが、当時の特急こだまの姿に、とても胸踊りました。

もう少し食堂車のディテールを見せてくれると最高でしたが。

主演のフランキー堺の体型に、似合わない機敏な動きや女性陣二人のそれぞれに魅力的な演技で、後半の見せ場である車外から、覗く横移動のカメラワークを生かしたサイレント映画のような表現も良かった。

川島雄三監督作としては、標準的かもしれないが、古い映画の楽しみである既に見られない、鉄道風景や情景も堪能出来る作品。

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ミラーズ

1.0在りし日の鉄道

2016年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

萌える

 品川の大きな車両基地の俯瞰から始まるこの映画は、在りし日の鉄道に携わる人々の姿を今に伝えてくれる。
 まずもって大浴場を備えた日本食堂の寄宿舎に驚愕。食堂車の調理係、ウエイトレス、社内販売係の若者たちが大勢いたことが分かり、鉄道の抱える雇用の大きさに感嘆する。
 東京から大阪の旅は、現在では新幹線に乗って昼寝をしている間に終わってしまうが、この当時は在来線の特急こだまで7時間以上と一日がかりの旅である。車中で2食摂ることも珍しくないわけで、食堂車が欠かせない旅であることが実感できる。

 先日亡くなった白川由美の颯爽たるアテンダント姿に見惚れる。現在の水準を当てはめても素晴らしいスタイル。昭和30年代でこのプロポーションは異次元であっただろうことは想像に難くない。それは、冒頭の大浴場のシーンで映るたくさんの大根脚との対比でも示されている。
 この時代の先進的なプロポーションの持ち主として、北原三枝と双璧をなす。

 昭和の懐かしい鉄道の旅を楽しめるこの川島雄三監督作であるが、お得意の男女のドラマはおざなりな感が否めない。小沢栄太郎と白川の絡みが少なく、あまりドラマが盛り上がらない。
 こだまの長い旅、たくさんの乗客・乗務員を描こうとしているが、90分の映画にはおさまりがつかなかった。

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佐分 利信
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