さすらいの旅路(1970)

解説

生前に父を失い、辛酸をなめつくして育った男の愛とさすらいの青春を描く。製作はフレデリック・ブロッガー、監督は「ミンクの手ざわり」のデルバート・マン、英国の文豪チャールズ・ディケンズの同名小説をジャック・パルマンが脚色、撮影をケネス・ホッジス、音楽は「大列車強盗団」のマルコム・アーノルドが各々担当。出演は本邦初見参のロビン・フィリップス、最近は「素晴らしき戦争」等の監督も手がけるリチャード・アッテンボロー、「天使のいたずら」のエディス・エヴァンス、「ミス・ブロディの青春」のパメラ・フランクリン、「モンテカルロ・ラリー」のスーザン・ハンプシャー、「素晴らしき戦争」のローレンス・オリヴィエ、その他ラルフ・リチャードソン、シンニード・キューザック、コリン・レッドグレーヴなど。

1970年製作/イギリス
原題:David Copperfield

ストーリー

自ら志した外遊から三年ぶりに英国に帰ったデビッド・カッパーフィールド(R・フィリップス)は、暗い影をひく過去を背負った二十八歳の男だった。彼は幼くして父を失い、寮制学校に入れられた。クリークル校長(L・オリヴィエ)やタンゲィ教師(R・アッテンボロー)が厳格な学校生活に耐えられるか危ぶんだ年頃にである。母が死ぬと養父は学校を中退させ、自分の経営する酒業商会で働かせる事にした。デビッドはミコーバ(R・リチャードソン)家に身を寄せたが、負債に苦しむミコーバとの生活も短かく、ドーバーに住む金持のベッツイ伯母(E・エバンス)に頼る事になる。そこで養子になった彼はアグネス(S・ハンプシャー)という娘と知り合う。十八歳の時、彼はロンドンの代弁人事務所の年期奉公に出された。ロンドンで幼ななじみのスティーアフォース等の友人と会った。或る日、友人を連れて、デビッドは幼い時の乳母の家を訪ねるが、その家に居たエミリー(S・キューザック)に一目惚れしたスティーアフォースは、後にヨーロッパに彼女と駈け落ちする。デビッドは雇主の可憐な娘ドラ(P・フランクリン)と結婚するが、間もなく彼女は不慮の事故で死んでしまう。一方、彼はジャーナリストとしての道を順調に歩み始める。駈け落ちしたエミリーが、結局は棄てられて、ロンドンに帰って来た。彼女は立ち直ったミコーバ夫妻とともにオーストラリアに移住する事になる。しばらくしてデビッドは波止場の人混みの中で、スティーアフォースを見かける。彼はエミリーを棄てたが忘れられず、ロンドンに戻って来たのだ。そして嵐の夜、「可愛いエミリー」と名付けたボートもろとも海に沈んだ。旧友を救おうとデビッドは駆けつけるが遅かった。心許せる親しき人々が去り、空虚な気持ちで外遊に出て、英国に戻った彼に、優しく微笑みかけるのは、たまたま近くの宿屋から彼を見つけたアグネスだった。荒涼たるデビッドの心に愛を満たすのはアグネスしかいない事は他ならぬ彼が一番良く知っていた。

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