人形の母

解説

「ペエテルの歓び」「春のパレード」と同じくフランチェスカ・ガールが主演しステファン・アイベンがキャメラを担任した映画で、「ペエテルの歓び」と同じくフェリクス・ヨアヒムソンのシナリオによってヘルマン・ヘルマン・コステルリッツが監督した。助演者は「ペエテルの歓び」のオットー・ヴァルブルグ、フリードリッヒ・ベンファー、アニー・ロザー、エルンスト・ヴェレベス、それから赤ん坊のバンディー、等で、作曲には「ペエテルの歓び」のニコラウス・ブロドスキーが当たった。

1934年製作/ハンガリー
原題:Kleine Mutti

ストーリー

マリーは寄宿学校にいた乙女だったが、或る時、見知らぬ婦人が育児院の前に捨て子した赤ん坊を抱き上げたことから育児院では赤ん坊の母親だと思い込まれるし、一方寄宿学校からはふしだらな娘として追い出されてしまった。よってお金のない彼女は前金の要らないという理由からブリストルという大きなホテルに泊まる事にした。すると立派なホテル住まいをしているなら子供の養育には困らない筈だと、育児院から子供を返して来た。ここでマリーは赤ん坊のためにも稼がねばならぬ仕儀となり、埃取器販売人に応募して、ベルクホフ家に訪れた。ところが此れは散々の失敗だった。ベルクホフ家にはアレクサンダーという息子がいたが、彼は女遊びばかりしているので、父親がかねての頭痛の種だったところ、このマリーの来訪によって父親はてっきり此のマリーも息子の女の一人だと思い込んでしまう。宿料を払えぬことからホテルから追い出されたマリーは途方に暮れるが、これも赤ん坊の事ばかり面倒みて仕事を怠ったという件でホテルを首になった女中のアンネットの家へ引き取られて其処に暫く落ち付く。それからアンネットの紹介で競売屋のさくらになるが、ベルクホフを相手に中国仏像の競売でとても高く値をつけたので、ベルクホフが手を引き、仏像は売れず、またまたマリーは失敗する。そこで仏像を抱えてベルクホフの家に売りに行くがベルクホフは息子の女だと思い込んでいるので、それを断り、マリーは競売屋からもお払い箱になった。が、その時に彼女の様子に心惹かれたアレクサンダーは彼女をバーに誘い、二人の間に恋心が湧くが、アレクサンダーが彼女を家まで送って行ったところ父親不明の赤ん坊がいたので、彼は裏切られたと思って腹を立てて帰ってしまう。その上に、育児院からは真の母親が知れたといって子供を取り返しに来、彼女に職がない時はすぐ取り上げるという。今ではもう赤ん坊が可愛くてならぬマリーは、折柄息子との縁を切らせに訪ねて来たベルクホフが、赤ん坊を息子と彼女との間の子と勘違いしたのを幸い、そうだと云って赤ん坊の保護を頼む。祖父になったというのでベルクホフは大いに誇りを感じ、息子に早くマリーと身を堅めろという。アレクサンダーも一時は呆れたり憤ったりしたが、マリーの顔みれば可愛くなりそれに赤ん坊も己れになつくし、赤ん坊を己れの子だと自認してしまう。そこで万事めでたしに納まる。

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