チルチの唄

解説

劇中劇として、ジョヴァンナ・テリビリ・ゴンザレスが得意としていた『クレオパトラ』が挿入されている。無声。

1920年製作/イタリア
原題:Song of Circe

ストーリー

セルジォとピエロは互いに仲睦まじき芸術家で二夫婦は仲よく暮らして居た。病弱なセルジォの妻は当時有名なる女優エンナの為にクレオパトラの脚本を書き終わると間もなく死んでしまったので、一人淋しく残されたセルジォをピエロ夫婦は美しき友情を尽くして慰めた。いよいよエンナ一座がクレオパトラ劇を演出した時、亡妻の面影のみも偲ぶべくピエロ夫婦に伴われてセルジォは観客の一人となった。此の女優エンナはジプシーの群の女を母に持つ者で、遺伝的に男の頼るべからざるを信じ出来心の動くがままに男を弄ぶ女であった。運命の手は此の呪われの女を動かしてセルジォとピエロの身に限りなき誘惑を投げた。友を思うの情に溢れたピエロが、セルジォの其の女に溺るるを止めんとしつつ、己れの心さえ怪しくも乱るるを覚えた。やがてセルジォはピエロの妻ララに護られつつ憐れ深き死を遂げた。悲劇は悲劇を生み、ピエロは己れの妻の過ちの刃にたおれ、女優エンナも遂に空しき眼を広げて狂い笑うのであった。

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