「偉大な父親の話です。」プロジェクトX さぽしゃさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0偉大な父親の話です。

2015年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

楽しい

高校スクールカーストの最下位にいるトーマス(トーマス・マン)、コスタ(オリヴァー・クーパー)、JB(ジョナサン・ダニル・ブラウン)の3人。
トーマスの誕生日パーティを、両親不在時に計画。ネット、ラジオ局、DJ達に宣伝させたりして集客を実施。
で、最初はいい感じに賑わってきたパーティ。
けど、どんどん雪だるま式に人数が増え、閑静な住宅地の一軒家周辺に、1500人集まる大規模集会に!

怯えるトーマスに「伝説を作ろう」って話すコスタのバックには、R.Kelly - Bamp N' Grindが流れる。
これは1994年のRケリーのヒット曲で、"いや別に、ただ腰が動いちゃうだけなんだ"っていうお馬鹿なエロR&Bなんですが(コメント欄に貼っておきます)、コスタ曰く「これが俺を表す曲」=「このパーティの趣旨」とご理解くだされば幸いです。
トーマスはコスタの説得とエクスタシーのお陰で、この後は更にハイになります。
DJは主にエレクトロ&90年代のエロHIPHOPやR&Bを中心に爆音プレイ!
女子はトップレスでプールにダイブ!
お酒!
エクスタシー!
部屋では誰かが、Hをしてる!
って……、ここまでは厨二が夢見るパラダイス・パーティでしょう(笑)?

でも段々とパーティはエスカレートし、トーマスのパパの愛車がプールにドーン!
火炎放射器を持ち出す奴が登場して、通りを燃やし、トーマスの家をburned down!
自分自身も火だるまに!
1500人が暴徒化して、収集つかない状態に。
ヤバイよヤバイよヤバイよ……、って出川さん発令された時には遅く、警察が大群で押し寄せる。ヘリからは消化剤が振ってくる!
3人はなんとか現場から逃走!の一部始終を、モキュメンタリー方式で撮っています。
本作の90%は、このパーティーの乱痴気騒ぎとなっております。
え!そんなクソ映画、誰が観るかよ!と思った方。

ちょっとお待ちください。

私がこの映画を素晴らしい!いや、テーマはここだな!って思った瞬間を、今からお話します。
それは、トーマスの父親が戻ってからですよ。
「この家を元通りにする為に、どんだけ金がかかるんだ!?お前の為に積み上げた
家が!お前の大学資金の為に積み立ててたお金を、自宅の修繕費にあてなくちゃならないぞ!」
って怒るんです。当然です。
でもね。冒頭、母親がトーマスを一人で家に置いて行くことを心配していると、父親がいうんです。
「あいつはルーザーだ。何もできるわけない」
だからパパは、自分の車がプールから引き上げられた状態を見ても、ちょっと満更じゃない感があるんです。※運転者を限定した保険契約なら車両免責ですね(すみません職業病です)。
「お前がまさか、こんなことができるとは思わなかったよ。凄いパーティだったんだろ?1500人だって?ワオ……、だけど、許さないからな(笑)」って。

アメリカ初代大統領ワシントンの、桜の木の話があるじゃないですか?
ワシントンが正直に言ったからって、父親が許すんです。これね、正直者でいこうみたいな話じゃないですか?
でもね父親の大事にしてる桜の木を斬るなんて、とんでもない悪ガキですよ。それに、何かやらかして、それを正直に言えばいいってもんじゃないと思うんですよ。
この話は正直に言ったワシントンはすげーって話ではなく、それを許した偉大な父親の話ですよね。
本作のテーマも、間違いなくそうだと思います。
都会の喧噪の中をずっと爆走し続けたら、急に目の前にでっかい海が広がるみたいなラストです。
予想外の、爽快感。気持ち良い!!
パパがトーマスに下した罰が、"パーティで半燃えな車で通学しないさい"ってのも、なんか暖かくて、洒落てていい。
そしてこのパーティをきっかけに、カースト最下位から駆け上がる3人の表情の変化。
あ、びっくりしたのは、映画「セッション」に出演してたマイルズ・テラーが、なかなかなお馬鹿役で出演してたことです。
本作に高評価つけてる方達の感想でさえ"楽しいパーティ映画"って切り口のようなので、そうなるとビデオスルーはやむなしと思います。

が、本作は偉大な父親の話です。
きっとトーマスは、大成することでしょう。って点で、私はオススメしておきます。是非!

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さぽ太