劇場公開日 2012年8月4日

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「韓国映画人の心意気」トガニ 幼き瞳の告発 tochiroさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5韓国映画人の心意気

2012年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

 昨今の竹島問題や大統領の反日発言で、韓国に対しては悪感情が募っていたが、この映画を観ている間はそんなことは一切忘れてしまった。
実話を元にしているとしてもドキュメンタリーではない以上、多少の脚色はあるだろうけど、自国の恥ともいうべき事件をここまでしっかり映画化してしまう、韓国映画人の心意気には感心する。
 この映画では身体障害者に対する差別だけではなく、韓国社会が抱える問題も同時に描かれているように思う(高層ビルに隣接するスラムのような家に済む貧しい人々もその一例)。そこには国(社会)の在り様に対する冷静な視点が感じられる。
 日本にも年間3万人以上の自殺者や、また顕在化してきた学校のいじめ問題、教師などによるセクハラ・盗撮事件や、東日本大震災の被害者への言われなき被爆者差別など、もっと自分たちが関心を持つべき暗部が存在している。日本の映画人も娯楽作品の合間に、多少重いテーマでも心意気を示す作品に取り組んで欲しいものだ。

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tochiro