劇場公開日 1983年7月16日

「現代ポップカルチャーに多大な影響を与えた」時をかける少女(1983) ローチさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5現代ポップカルチャーに多大な影響を与えた

2020年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

大林宣彦監督が現代のポップカルチャーに与えた影響は計り知れない。美少女アイドル、SF、ノルタルジックな風景に展開される純愛。今、漫画やアニメなどでもおなじみの設定やイメージが数多く散りばめられている。当時、尾道に観光客がどっと押し寄せたというから聖地巡礼の先駆けでもあったとも言えるだろう。実際、多くの漫画家やアニメ作家がリスペクトを表明している。
映像の魔術師の異名の通りに、斬新な演出も盛りだくさんだ。冒頭、モノクロのスタンダードサイズの画面に始まり、中央から徐々にカラーになっていく。スチール写真の連続で表現されたタイムリープ画面、散る桜をあえて合成で入れ込み、異空間的な味わいを作るなど、、実験精神と娯楽性を高いレベルで融合させている。
運命の相手がいつか会いに来ても、自分では思い出すことのできないというクライマックスの切なさと、大団円のエンディングの多幸感のギャップが心にしみる。

杉本穂高