ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q : 映画評論・批評

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q

劇場公開日 2012年11月17日
2012年11月20日更新 2012年11月17日より新宿バルト9ほかにてロードショー

救いなき展開でファンをどん底に突き落とす庵野の帰還

巻頭に古めかしい東映ロゴが出た時点で不穏な気配を覚えた。今回の配給会社の親会社ではあるが、旧劇場版の配給ロゴが付くのは新劇場版で初めてのこと。たちまち、エヴァ終幕をめぐり熱狂と嫌悪が渦巻いた90年代後半の記憶が脳裏をよぎる。予感は的中した。極上のアニメーション体験であることに変わりはないが、前作で高みへと向かったポジティブな生命感はない。躁のあとに鬱に襲われた感覚。ヱヴァを愛するファンを、どん底に突き落とすかのような毒気。あの庵野秀明が還ってきた。

世界はほぼ終末を迎え、惨憺たる状態のまま前作から14年も経っているという残酷。3・11後とのシンクロ率も高い地獄絵に息を殺すなか、ヒト型兵器搭乗者は“EVAの呪縛”によって成長しないという悲哀が明かされる。その時間経過は最後の旧劇場版公開からの歳月と同じであり、ヱヴァに依存しすぎた観客へ現実感を促す仕掛けにも思える。衝撃的なのは、主人公シンジに対する拒絶の言葉だ。「もう乗らないでいい」。自我の殻に籠もっていた少年がロボットに乗り戦うことで、現実の重みや生の痛みを知る物語の否定。少女を救うための決死の行為が引き金となって、世界が崩壊寸前に陥ったことへの代償だ。英雄的行為が仇となり、疎外され贖罪を背負った苦悩が重苦しく全編を覆う。何という救いなき展開なのか。

新劇場版とは旧作の変奏曲ではなく、ループやパラレルに思える瞬間もある。シンジを慰撫し真実を告げるカヲルは連弾の際、「気持ちいい音が出るまで同じことを何度でも繰り返せばいい」と諭す。この反復の精神にこそ、庵野が創り続ける真意が込められているのは確かだろう。愛と希望を見出す、絶望からの再構築の完結を見守りたい。

清水節

関連コンテンツ

関連ニュース

関連ニュース

フォトギャラリー

DVD・ブルーレイ

映画レビュー

平均評価
3.3 3.3 (全87件)
  • 面白い シンジとカヲルのくだりで友だちと笑ってしまった… ...続きを読む

    alice aliceさん  2015年12月29日 17:47  評価:4.5
    このレビューに共感した/0人
  • 40点 映画評価:40点 なんじゃこりゃーーーっ!!!! せっかく破で褒めたばかりなのに 出たよ!観衆を置いていくスタイル 映像は最新作だけあって凄く綺麗なんだけど、今までの雰囲気と違うし、登場人... ...続きを読む

    ヨコタス@名作探検家 ヨコタス@名作探検家さん  2015年12月6日 23:01  評価:2.0
    このレビューに共感した/0人
  • これぞエヴァ!! 昔の映画とは全然違うストーリーなのには驚きました。これぞエヴァという感じでどんどん引き込まれていきます。続編が気になる! ...続きを読む

    coppelion coppelionさん  2014年12月7日 03:15  評価:3.5
    このレビューに共感した/0人
  • すべての映画レビュー
  • 映画レビューを書く
このページの先頭へ

最近チェックした履歴

映画の検索履歴

他の映画を探す

映画館の検索履歴

他の映画館を探す

特別企画

新作映画評論

  • ディーパンの闘い ディーパンの闘い 社会問題を見据えながらも描かれる、任侠映画とも通じるやさしさの美学
  • 火の山のマリア 火の山のマリア 遠くグアテマラの高地で生きる母娘の姿が、根源的な命題をはらんで間近に迫る
  • X-ミッション X-ミッション エクストリームな監督がエクストリームを求める男たちの特別な関係を描く
新作映画評論の一覧を見る
Jobnavi