劇場公開日 2011年11月26日

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「テーマは旅立ち…それでも残る朝食シーンの謎」フェイク・クライム cmaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0テーマは旅立ち…それでも残る朝食シーンの謎

2012年2月7日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

不思議な映画でした。まず、キアヌファンらしき若い&あまり若くないお姉さんと暇潰しっぽいおじさんの入り交じった不可思議な客層にびっくり。(とは言え、自分もその一人ですが…。)さらに、観終わった直後は正直「なんだこりゃ?」と思いました。「あなたはもう騙されている!」という宣伝コピーに、ある意味騙されてしまったせいかもしれません。原題は「Henry's Crime(ヘンリーの罪)」であり、邦題の「フェイク」はキアヌの前作「フェイク・シティ」に絡めただけのこと、とはよくわかっていましたが、「クライム」に引きずられてしまいました。それでも腑に落ちなさすぎるのでちょこちょこ調べてみたところ、制作開始を報じる記事等では「ロマンチック・コメディ」とされています。…そのくくりはさすがに疑問ですが、脚本が「ターミナル(脚本)」「アンヴィル!夢を諦められない男たち(監督)」のサーシャ・ガバシですから、「ヒューマン・コメディ」くらいがぴったりくるかと思います。
たぶん、この映画の軸はチェーホフの戯曲「桜の園」です。この物語の筋書きを予習しておくと、より楽しめるかと思います。…というわけで、実は「旅立ち」がテーマだったんだなあ…と、次第に晴れ晴れした気持ちになれました。夏(夏休み)や春(新生活)に似合う映画かもしれません。
それでもいまだに個人的に気になっているのは、二度も登場するキアヌの朝食シーン。メニューはいずれもスクランブル・エッグ。冒頭では「うまそうだ」と一応言いますが、いずれもフォークをさかんに動かすだけで、なかなか食べません。なぜ?
仮説A:実はスクランブル・エッグは好みではない。(となると、自分で料理したらしい二回目のつじつまが合いません。却下。)仮説B:卵より付け合わせのベーコンにこだわりがある。(二回目はベーコンの焼き方の好みを仲間に確認しています。一回目は妻に気遣い「うまそう」と言いますが、実は好みのクリスピーではなかったのかも。二回目は、嬉々として卵をベーコンに載せ、食べる準備をしているとも見えます。)仮説C:リテイクが多すぎて、卵を食べあきた。(「夢見るように眠りたい」のゆで卵みたいですが…。)…と、実は元々の脚本には朝食をめぐるエピソードがあったのでは?と勝手ににらんでいます。いかがなものでしょう? 些細なことではありますが、「朝食」はあなどれません!

cma