劇場公開日 2012年1月21日

  • 予告編を見る

「ローワン・アトキンソンの作品でいちばん好きだ」ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ローワン・アトキンソンの作品でいちばん好きだ

2012年6月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

邦題のサブタイトルはダニエル・クレイグによる現行007シリーズのタイトルをパクったものと誰でも分かる可笑しさで上手い。
けれでも内容は、冷戦で大国の政治が絡んだミッションを扱いながら、紳士的で優雅なロジャー・ムーア版ボンドの流れを色濃く汲んだパロディとなっている。
歴代ボンドの中でもいちばんロジャー・ムーアが、ローワン・アトキンソンのドタバタぶりと対比が容易で、いじれる要素が多いのだろう。

おそらく、経済がどん詰まりの今の世界情勢に焦点を合わせていたら、コメディでなく風刺になってしまう。

本家がQの工房で使い物になりそうもない新兵器を見せられる、あのお馴染みのシーンもしっかりある。
車椅子に乗るのがブロフェルドでなくジョニー・イングリッシュだったり、飼い主は別だが猫も登場する。007ファンなら「ユア・アイズ・オンリー」のオープニングを連想するはずだ。

ときにマジになるが、ことごとくドジばかり。それでもなんとなく事件の核心に迫っていくジョニー・イングリッシュ。運がいいのか、ただの“まぐれ”か、はたまた持って生まれた才能か?
周りが本格的?スパイを演じれば演じるほど、ローワン・アトキンソンが浮いて、笑いの渦となるのはお馴染みのパターンだ。だが今作は、話のプロットがしっかりしていて脚本がよく、ほかの作品に見られるような国民性による笑いのツボが外れてしまうシラケたところがない。全篇、おもしろい。

悪役の中では、ピク・セン・リムの「掃除婦の殺し屋」がいい。無茶する婆さんで、登場するたびにジョニー・イングリッシュにトラブルが振りかかる。その際たるがラストシーンだが、先がわかっていても爆笑する。
ローワン・アトキンソンの出演作で今作がいちばん好きだ。

マスター@だんだん