劇場公開日 2006年10月1日

「過去の遺産を総括し、未来を拓くマスターピースを創った偉業だ」トップをねらえ! 劇場版 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0過去の遺産を総括し、未来を拓くマスターピースを創った偉業だ

2019年11月27日
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鑑賞方法:DVD/BD

SFアニメの金字塔
オタクの金字塔でもある
スタッフ陣の名前にはきら星の様にビックネームが並んでいる

そして過去の膨大なSF小説、アニメ、特撮、戦争映画、少女漫画などなどの遺産を総動員している
オタクとしての一般教養を試されていると言っても良い

SF小説からは、スミスの名はレンズマンの原作者だし、そもそも慣性中和装置も彼のモチーフだ
後半の銀河中心殴り込みの白黒パートはエドモント・ハミルトンの星間パロールの世界だ

アニメからはヤマトは当然、宇宙エースもテッカマンもゼロテスターも鉄人28号も引用されている

特撮からはウルトラQやITC からが多い

戦争映画は日本の一番長い日や海軍特別年少兵など
そもそもエースを狙えの学園アニメを模したのはそこだ

これ等の当時のオタクがありとあらゆるところからかっこいいと感じたものを、さらに選りすぐって凝縮して本作は出来上がっている

当時のオタクはものすごい読書量であった
SF小説や軍記ものなどは千冊を超えるのは当たり前だし、早川文庫や創元推理文庫のカタログの名作群は全て読破しているのは当然であった
映像作品も、SF映画や特撮は言うに及ばず、戦争映画や他のジャンルまで貪欲に面白いものへのアンテナを高く張って観ていたのかの証左でもある

果たして、本作から30年の時を過ぎて振り返ってみれば、如何に本作が大きな影響を与えてきたかがよく分かる
ナディア、エヴァンゲリオンは当然として、ヤマト2199の映像表現は殆ど本作の支配下にある
シン・ゴジラはもちろん会議シーンに、
巨大ロボットを二人で操縦するのはもちろんパシフィックリムにそのまま継承された

過去の遺産を総括し、未来を拓くマスターピースを創った偉業だ

ウラシマ効果で宇宙から帰還したかのように、私たちはこの名作から全く月日が経っていないかのように思える
しかし30年の年月は、本作によってこのような巨大な影響を世界のオタクに与えたのだ

いくら賞賛しても賞賛しきれるものではない

あき240