劇場公開日 2011年6月25日

「昨年のサンテレビの新春映画劇場では「柴公園」が放映され、今年は「犬...」犬飼さんちの犬 Koheiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0昨年のサンテレビの新春映画劇場では「柴公園」が放映され、今年は「犬...

2022年2月11日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

幸せ

昨年のサンテレビの新春映画劇場では「柴公園」が放映され、今年は「犬飼さんちの犬」が放映された。「柴公園」に引き続き、犬と人間との関わりを描いた作品であり、犬猫好きなので必ず見ようと思い、録画したものを消さないように取っておいた。今作の主演は小日向文世である。シリアスな役からコミカルな役まで何でバイプレーヤーの主演作というのは貴重である。小日向が演じる犬飼さんの部下役・鳥飼さんに木南晴夏、ペットショップの店員役に佐藤二朗、といったように、現在活躍中の俳優の姿も見える(小日向文世や佐藤二朗は、さして今と雰囲気が変わっていないように思う。これを安定感と呼ぶのだろう)。

内容はさておき、演出として目に留まったのは、人々がスマホではなくガラケーを使っていたということである。今作は、2011年、つまり、10年前に製作されたので、2000年代終わりから2010年代初めの時代の雰囲気を小道具やら女性のメイクやらを通じて確かめることができる。この年代の映画やドラマを見ると、私たちが当たり前のようにスマホを使っているのと同じようにガラケーを使っている。当たり前と言えばそうなのだが、10年経てば社会はがらりと変わるものなのだ、と今になって驚く。小日向が勤めるスーパーマーケットの朝礼でガラケーをいじりながら店長の話を聞いている社員の姿が特に象徴的であった。これは今の時代であれば、確実にスマホに置き換わっているはずである。それだけではなく、もう一つ注目すべきは、単身赴任中の犬飼さんと家族と一緒にリモートで食事を共にしているところである。これは、現在の私たちであれば、何ら自然に思えることだが、2011年当時の人たちの目にはまだ目新しく映ったのではないだろうか。

離島勤務・単身赴任の犬飼さんが久々に家に戻ると、なぜか見知らぬ犬がいた。犬が苦手な犬飼さんは、家族が相談もなしに犬を飼い始めたことに戸惑うが、紆余曲折を経て、犬との絆を深めていく、というのが主なあらすじである。「紆余曲折を経て」というところが肝ではあるが、ネタバレを避けるためにあえて書かないでおく。一つだけ言えることは、犬飼さんはたんなる犬嫌いではなかったということである。これから犬を飼おうとしている人はもちろん、すでに犬を飼っている人にもぜひ見てほしい。

Kohei