劇場公開日 2011年1月29日

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「高く評価できる?」冷たい熱帯魚 parsifalさんの映画レビュー(感想・評価)

1.0高く評価できる?

2023年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

 鑑賞後、レビューを少しチェックして、この映画がどんな価値をもっているか考えてみた。浮かんできたのは、でんでんの村田役のような因子を持った園子温監督が究極まで暴力・エロを映画表現として追求したように見えたということ。そうでもなければ、こんな映画は撮れない。
 普通の人間は、上手く行かないことも、「それが人生さ」と受け入れて日々生きている。お互いの気持ちや慣習、思い出などを大切にしている。そんなしがらみを一切取っ払って、人間としてやってはいけないというリミッターを外して生きると、村田のような人間になる。獣以下になるということだ。そんなものを見せて、どうというのだ。生の戦場を映画で見せるのと同じだ。極限の状況になれば、人間、確かに何をするかわからない。でも、それは人間性の崩壊、生命としての生存本能で生じるものだ。そして、それを計画的に行うようできるのが人間の狂気なのだ。本当にあった事件を基にしているといっても、それを脚色して、更にエログロ映画として表現するのは、悪趣味、露悪家、性格がねじれているとしか思えない。自分の悪趣味を誇っているだけだ。
 社本が、最初の殺人を目にした時、逃げようとして何故逃げなかったのか。警察に密告しなかったのかも十分な説明がない。(保護を願い出れば、3人以上殺しているから死刑なはず。事件は短期間で行われ洗脳されているほどではない。)いつでも逃れるチャンスはあった。今までの上手く行かない人生、妻や娘に対する遺恨があったにせよ、急遽殺人鬼に変貌?愛も憎しみも感じていた人たちをいきなり殺す・殺そうとするのも意味不明。
 人間の深さを描いているのではなく、どこまでエログロを振りきった映画を撮れるかを追求したように見えた。

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