「その気になったら、やり直せる」RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5その気になったら、やり直せる

2011年12月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

笑える

幸せ

先日「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」を観て、いい映画だったので、見そびれていたシリーズ1作目が見たくなった。

この作品、台詞に惹かれるものがある。

肇(中井貴一)「残りの会社人生・・・」に対して川平(遠藤憲一)「自分の人生は・・・」
本当に大事なのはどっちか? 言わずと知れた事だが、
肇「お前も社会に出れば分かる」
と娘の倖に言うように、意外に気づいていないか、そう思うしかないと自分に言い聞かせているのが普通だ。普通というのは正しいとは限らない。それでも、生活のためには普通を選ぶ。この映画は、〈普通〉と〈自分にとって正しい〉を49歳にして天秤にかけた男の物語だ。

車輌課長(渡辺哲)「世の中には無くしてから気づくものがいっぱいある」
物だけでなく、時間(人生)も取り戻すことはできない。自分にとって大切なものとは何か? 考えて実行するのに遅すぎるということはない。そして、それが出来る(可能な)人は幸せだ。いい家族を持っている証だ。

肇「ゆっくりでいい。前に進んでればそれでいい」
急くことはない。とくに若い人は、やり直しがいくらでもきく。自分の将来を20や30で固めてしまうことはない。

肇が辞表を出すときの「夢が叶いました」
なんと気持ちのいい言葉だろう。この〈夢を叶える〉こそ、この映画のテーマだ。
だから、この作品を観て涙が出てしまうのは、運転士試験の合格発表のシーンだ。名前を呼ばれて返事をした後の、あの肇のほくそ笑む顔に「うんうん、わかる、わかる」と、49歳にしての挑戦とその報いに対して泣けてしまうのだ。
せっかくなった運転士だが、潔く辞表を出し「夢が叶いました」と去る姿は、責任を取るとはどういうことか、その身の振りようを周りの人間に教える大事なシーンでもある。

肇「終点までちゃんと乗ってってくれよな」
これは解説するだけ野暮だが、人生の終着点までという意味が込められている。

マスター@だんだん