劇場公開日 2010年3月27日

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「突っ込みどころ満載だけど、戦いのスリル感や駆け引きの面白さは、充分に堪能されてくれると思いますよ。」アーマード 武装地帯 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5突っ込みどころ満載だけど、戦いのスリル感や駆け引きの面白さは、充分に堪能されてくれると思いますよ。

2010年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 6000ものシナリオコンペから選ばれたという脚本にしては、少々疑問に残る、突っ込みどころ満載の作品でした。しかし骨太な俳優陣を揃えて、絶体絶命のピンチから主人公が脱出する展開は、手に汗を握るアクションの連続で、見応えありました。

 物語は、前半と後半でがらりと様相が変わります。信じがたいほどに。犯罪アクションにアクシデントはつきものです。そうでなければ話は面白く転がっていきません。だけれど、本作の展開は本当に予想外でした。

 舞台は、伝説の警備員が起こした警備会社の現金輸送チームのお話し。冒頭いきなり現金輸送車が襲われるドキッとさせるシーンからはじまります。実は、これは訓練でした。 そして、このチームが使用しているのが完全防備の装甲輸送車であることがポイント。この設定は、後半の展開に重要になってきます。プロローグでは、そのさわりとして、いかにこの輸送車を襲うことが困難かを見せつけました。
 この訓練では、鉄壁のチームワークと信頼し合った男たちが描かれます。面倒見のいいリーダー格のマイク、銃マニアのペインズ、物静かなクインなど、ひとくせあっても根は良さそうな男たちばかりです。
 事務所に戻ってから、男たちはイラク帰還兵でもある新入りのタイを仲間として迎えます。ほのぼのとした男たちの情景が続いたので、ついウトウトしました。

 ところが、会社に全面的に忠誠を尽くしていたはずのチームの男たちは、一攫千金を狙って、自ら運ぶ現金4200万ドルの強奪を計画をしてからは、話が一変していきます。
 なにしろ現金輸送専門のプロであるし、裏事情を知り尽くしているスタッフばかりだけに、強奪はとんとん拍子にいくように思えました。

 余りの激変ぶりに唖然(納得できず)とさせられつつも、物語はここからが本題に。金のために我を失ってしまった仲間を横目に、タイはたったひとり反抗します。自ら鉄壁の装甲車に立てこもり、脱出のチャンスを伺うのです。
 でも、あのほのぼのとした仲間同士が、いくら金に目が眩んだとは言え、手のひらを返したように、殺し合うほどの仁義なき攻防を繰り広げてしまうものかどうか、今でも納得できません。

 ところで孤立したタイは、無線や携帯を使えば、すぐに警察の救援を呼べるのになぜと疑問を持たれるでしょう。彼らが犯行に選んだ場所は、倒産した鉄鋼工場の中だったのです。どうも鉄鋼場の中は、電波障害が起こって入りにくいようなのです。着眼点が、グッドアイデアだと感心しました。
 完全武装した6人の男達に囲まれて、さらに輸送車の弱点である扉のかんぬきを力任せで落とされつつあったクライシスな状況で、タイは脱出のきっかけすら全くないと思うほど完全包囲されていました。

 けれどもタイが鳴らした警報を聞いた警官が、立てこもる廃工場に立ち寄って男達に、職務質問したことから、状況が変わっていきます。
 犯行がバレそうになって、男たちはつい警官を撃ってしまいます。瀕死の警官を警備車内に引っ張り込むタイの機転ある行動が小気味よかったです。そして警官から警察無線を入手したことが、タイの活路を開きます。
 屋上の電波が届くところまで駆け上がるのはいいとして、何でまた輸送車に戻る必要があったのか理解できません。
 その後警官を担いで脱出を試みようとしますが、そんな危険を冒すよりも、屋上からそのまま屋外に止めてあったパトカーまで直行した方がも、安全に逃げられるのにです。

 それと、欲を言えば、タイがなぜ仲間に刃向かい続けたのかについて、もう一ひねりが欲しかったです。きっかけは人命を傷つけたくないという正義感からだったにしても、もっとイラクでのトラウマが被っていったらよりドラマとして深くなったのないかと残念に思います

 戦いのスリル感や駆け引きの面白さは、充分に堪能されてくれると思いますよ。

流山の小地蔵