劇場公開日 2009年6月27日

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「官能的な脚本でスゲー。」それでも恋するバルセロナ 幸ぴこリンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0官能的な脚本でスゲー。

2017年12月12日
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ウッディ・アレンっぽさが全開の作品だなー と、直近の『カフェ・ソサエティ』を思い出しながら観ていた。

情緒溢れるスペインのバカンス風景と、それを彩る「バルセロ〜ナ〜♫」の音楽が好印象で耳にも残る。芸術好きならば、人生の一夏をオビエドで過ごしてみたいと誰もが思うに違いない。スペインの芸術と情景をこれ程までにロマンティックに魅せてくれようとは!結論から言えば、私はこの映画は好き。
ペネロペ・クルスの奔放さと情熱的な美しさは見事だったし、クリスティーナとヴィッキーもそれぞれ可愛らしく時にウザく。アントニオは言葉の1つ1つが官能的な詩を読んでいるかのようで、スペインの男の人ってこうなの…?という変な観念をウットリと持ちかけた。

ただ、ウッディ・アレン特有の「キャラクターそれぞれが愛に対する哲学を持っていてそれを定義したがるが、結局は自分勝手なので上手くいかない。でもそれも人生と受け止めるように映画は幕を閉じる」というちょっとお決まりな展開が、この映画だとオチにしっくりこなかった。しっくりこない場合、「うん……だから何だよっ!」と言いたくなるわけで。
愛に対する定義において、さすがにそりゃ無理があるだろ という部分が中盤から目立ち過ぎたからかな。クリスティーナが理性的な思考を取り戻すくだりに、もう少し説得力が欲しかった。

幸ぴこ