劇場公開日 2008年10月18日

「報道されない事件のその訳は?」ボーダータウン 報道されない殺人者 カサキショーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0報道されない事件のその訳は?

2009年3月15日

悲しい

知的

アメリカの国境沿いにあるメキシコの町、
ファレス。
この町では、公表されただけで
375人の婦女暴行殺人が起きていた。
たが、闇に埋もれた犠牲者は五千人ともいわれている。
その事件を一人の女性記者が追う。
この事件、どうも実際の事件を基に作っているらしいのです。
ということは、メキシコの国境沿いの有る町で
同じような事が起きている、と言う事なのです。

この事件、どうして公表されないのか?
それは、
国家権力と企業と警察とが結び付き
危険な町と思われるのを回避しているからなのです。
そして、犯人たちは摘発されないことを利用して
どんどん増殖し始める、という悪のシナジーが
働き始めているのです。

この町には
安い女子労働力を求め
外国から工場が進出しています。
政府としても
大量の婦女暴行殺人が有るなどと報道されると困ったことになるし、
そこへ進出している企業はもっと困ったことになってしまうのです。

そんな時、事件に遭いながら、一人の少女が命かながら、
生きて戻って来た。
その少女エバとロペス演じるローレンが
この事件の真実に迫っていく。

この話の背景はこれだけで充分だと思うのに
更にローレンの生い立ちや
彼女と昔のパートナーとの関係も盛り込んでいるものだから
味付けはてんこもり状態。

彼女の生い立ちは
確かに最後の、何故会社を棄て
ここまで少女を助けこの事件を追うのか
という動機付けになっていたと思うし、
重要な味付けになっていた。

映画には関係ないかもしもしれないが、
ロペスの全身を映したシーンでは
やたら腰つきが気になった。
やぼったいのだ。
だが、そのヤボッタさも
最後には
ファレスという町に妙にマッチしてきたから不思議だ。

カサキショー