「意外な掘り出し物」パラサイト・バイティング 食人草 Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5意外な掘り出し物

2022年8月1日
Androidアプリから投稿

いかにもな邦題だが、きちんと原作のある作品である。日本では未公開だったが、今なら「未体験ゾーンの映画たち」なんかで上映しそうである。
物語の序盤は良くあるホラー的展開であり、若い二組のカップルと弟を探す男が地図にも乗ってない遺跡に行き、現地の住民が立ち入り禁止とするエリアに入って酷い目に逢うというもの。冒険心が強いメンバーだとは思うが、しっかりと「弟を探す」という明確な目的があり、どこかしこでもイチャつく馬鹿な連中では無い為、かなり気の毒に思えてしまう。そこに自生する蔦(つた)に触れた途端、話せばもしかしたら分かるかもしれない現地の住民らが牙を剥く。このシーンで現地の言葉に字幕が入らないのが不気味さを煽る。

邦題のサブタイトルに「食人草」とある様に、その蔦は人を喰らうのである。蔦が化け物の形になってガオーッと襲い来るのではなく、人体への侵食という生理的に不快な攻め方をして来るのである。ここで怖いのが、極限状態に置かれた人間という物だ。この構成としては自然であり、疑心暗鬼に陥るシーン等、かなりの恐怖度であった。また、蔦が傷口から侵入するシーン等、グロめな映像がかなりあり、人体破壊シーン等この手のワンシチュエーション作品の味付け役としてかなりの効力を発揮している。Blu-rayは未発売だが、DVDに特典が付いており、別エンディング版が存在する。個人的には別エンディング版の方が絶望的で好みだった。蔦の正体や、周りを取り巻く住民等の描き込みが足りない気もするが、背筋がゾクッとするホラーを観たい人にはオススメ出来る作品だ。

Mina